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2019年7月8日~14日は「漫画村元運営者、逃亡先で拘束」「作家や出版社の法務を支援するリーガルテックサービスとは」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
国内
APL、日本語書記技術WG報告書を公開 ~ W3CでのCSSやEPUB規格に日本語組版要件を適切に反映し実装を促進するために〈HON.jp News Blog(2019年7月8日)〉
非常にボリュームのある、重厚なレポート。記事を書くより、読むほうに時間がかかりました。ただ、日本語の組版に少しでも関わっている人は、目を通しておいたほうがいいでしょう。
ニコニコ漫画、作品を応援するスタンプギフト機能を追加 ~ クリエイター奨励スコアも加算〈HON.jp News Blog(2019年7月9日)〉
事前に予告されていた「春」より少し遅れましたが、追加機能がリリースです。スタンプが「投げ銭」とほぼ同じような機能を兼ねる形になっています。
オーディオブック定額サービス「audiobook CAMP」が個人向けの利用受付を開始〈HON.jp News Blog(2019年7月9日)〉
法人向けを先に出したら、個人から使いたいという要望があって、追加することになったそうです。ラインアップが気になっていたので、リリースに添付されていた画像から拾い出してみました。
活字文化議員連盟公共図書館プロジェクトが答申を公開 ~ 司書の社会的地位向上や地域書店を優先した図書納入などを提言〈HON.jp News Blog(2019年7月9日)〉
図書館関連の方々は、目を通しておいたほうがよさそうな答申。地域書店を優先すべしというのは、税の域内還流という観点からの提言。なるほど。
講談社、海賊版リーチサイト「はるか夢の址」運営者に損害賠償請求〈ITmedia NEWS(2019年7月9日)〉
今年1月に実刑判決を受けた主犯格の3人に、1億6000万円の損害賠償請求。興味深いのは「編集著作権が侵害された損害」についての請求のみであるという点。単行本の権利侵害も、電子出版権が設定されている作品は、出版社が当事者になれるはず。なぜ編集著作権だけなのか。もっと言うと、恐らく講談社は2015年1月改正以前の契約でも、書協の2010年版テンプレートを使って電子出版に対応していたのではないかと思われるのですが……? 様子見なのでしょうか?
「漫画村」元運営者、フィリピンで拘束〈共同通信(2019年7月9日)〉
漫画村」関与の2人逮捕 運営者?にも逮捕状、友人か〈朝日新聞デジタル(2019年7月10日)〉
サイト閉鎖直後に出国逃亡か 「漫画村」運営主導の男〈日本経済新聞(2019年7月11日)〉
先週の業界関連で最も話題になったニュースと言っていいでしょう。Cheena氏が個人調査により、運営者の名前を「星野路実」であると2017年8月2日時点で突き止めていたのがすごい(↓)。
海外逃亡したのが2018年5月とのことですから、警察はそれまでのあいだになんとかできなかったのか……という気も。しかし、27歳とは、想像以上に若かった。2ちゃんねるまとめブログ「今日もやられやく」分裂騒動のころは、まだ20歳前後だったということに(↓このソースは真偽不明の匿名ブログであることをお断りしておきます)。
メディアドゥ、AWSで構築した電子書籍の新流通システムをpixivコミックとマンガBANG!に提供開始〈HON.jp News Blog(2019年7月10日)〉
リリースでは触れられていませんでしたが、これが2019年2月期の決算説明資料に記されていた、出版デジタル機構とメディアドゥ合併に伴う「基幹システム統合」や「合従連衡フェーズに備えた基盤整備」(の一部?)ということになるのでしょう。「紙に比べて電子書籍が劣っている点(所有権や二次流通がない点など)」を解消するための取り組みだと理解しています。
好きな本を誰かにギフトとして贈ることが可能な電子書店〈HON.jp News Blog(2019年7月11日追記)〉
エイシス「DLsite」を追加。自分が購入済みの作品に限られるという点が、他にはない特徴です。なぜそういう形にしたのかを問い合わせてみたのですが、本稿執筆時点までに回答は得られませんでした……。
近代科学社Digital、理工系教科書の原稿を募集中 ~ 創立60周年記念で出版分担金がいまなら無料に〈HON.jp News Blog(2019年7月11日)〉
周囲に理工系の先生がいたら、ぜひ教えてあげてください。在庫を持たないので、毎年改訂してもモーマンタイというのが大きい。なお、文系については別途、座組みが少し違う「アスパラ」という支援サービスがあります。
小学館と集英社とFringe81、複数のマンガアプリへ一元管理で広告出稿や運用が可能な共同プラットフォーム「MangaAdPlatform」を8月提供開始〈HON.jp News Blog(2019年7月12日)〉
出版社自ら広告運用プラットフォームを用意。汎用的なアドネットワークを使うより、マンガアプリ専用で作ってしまったほうがいいという判断なのでしょう。それは良い判断だと思うのですが、マンガアプリに広告を入れること自体の是非も考えておきたいところ。カカオジャパンの「ピッコマ」が、もし広告を入れるとゲームが中心になって可処分時間を奪われかねないから、収益が上がるのはわかっていてもやらない、というスタンスなのとは好対照です。どっちが正しいかは、私には判断できません。しかし、紙のマンガ誌には広告がほとんど入っていなかったことを思うと、うーん……。
違法サイトと印鑑文化をテクノロジーで駆逐 ~ 作家や出版社の法務もITで支援する“リーガルテック”サービスのいま〈HON.jp News Blog(2019年7月11日)〉
当初、法律(Legal)とテクノロジー(Tech)を組み合わせた造語「リーガルテック」から始まるタイトルにしていたのですが、あまりに反響が薄かったため、タイトルを変更することに。出版社の業務改善に関わるツールなので、もうちょっと関心が高いかと思っていたのですが。竹書房の竹村氏が「中小だと法務担当者がいない可能性も。うちも実はつい先日までいなかった」と言っていたことを思うと、本来強い関心を持つべき分野なのに、おざなりにされている可能性がありそうです。
経産省、ブロックチェーン活用コンテンツを支援するJ-LOD補助金採択事業11件を発表 ~平成30年度補正予算「コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金」事業者一覧公開〈仮想通貨 Watch(2019年7月12日)〉
「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツの流通に関するシステムの開発・実証に関する間接補助事業を行う事業者」の採択事業。コンテンツの権利処理と収益配分に関するものが多く、出版関連も複数あります。ビットコインなどの暗号通貨に興味がない方も、いま最先端の技術を使ってどんな試行が行われているのか、という点においては把握しておいたほうがいい動きだと思います。
海外
米風刺雑誌「マッド・マガジン」事実上の廃刊へ〈HON.jp News Blog(2019年7月8日)〉
雑誌スタッフはSNSで職探しをしているそうです。Oh…
AI処理による偽ヌード写真を掲載するかどうかというメディアの選択の是非が議論に〈HON.jp News Blog(2019年7月8日)〉
そういえばつい先日、アドビが加工画像かどうかをAIで検出する技術を開発した、というニュースがありました。こういうニュースに接すると、フェイクを見破る技術の向上も、今後必要不可欠になってくるな、と思います。
禁書目録データベースがカナダの大学で公開〈HON.jp News Blog(2019年7月9日)〉
確かに、なにをもって「禁書」とするかの定義こそが難しそう。残念ながら日本の本は検索しても見つかりませんでしたが、もし入れるとすると青少年健全育成条例で有害図書指定された本あたりでしょうか?
バーンズ&ノーブルのエリオットによる買収話、株主承認へ〈HON.jp News Blog(2019年7月11日)〉
続報。リーダーリンク社による再オファーの可能性は、ほとんどなくなったとのことです。
英図書館で本の貸し出し数が落ち込み、原因はITか蔵書の劣化か?〈HON.jp News Blog(2019年7月11日)〉
日本の統計はこちら。
なお、複数の方から指摘を受け、IMLSによる調査という箇所を削除してあります。
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