「アマゾンが仲間卸を開始」「noteサークル機能提供開始」など、出版業界気になるニュースまとめ #410(2020年2月3日~9日)

出版業界気になるニュースまとめ
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 2020年2月3日~9日は「アマゾンが仲間卸を開始」「noteサークル機能提供開始」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

ポッドキャスト

国内

BOOK☆WALKER同人誌・個人出版サービスで作品登録キャンペーン〈HON.jp News Blog(2020年2月3日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/27890
 このキャンペーン、実は昨年11月頭から行われていたそうなのですが、1月末にプレスリリースが流れてくるまでまったく気づいてませんでした。不覚。

U-NEXT、電子書籍サービスの統合リニューアルから1年で売上9.3倍に〈HON.jp News Blog(2020年2月3日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/27886
 1年前に、旧東芝BookPlaceを統合、リニューアルしています。プレスリリースのグラフを見ると、統合直後の2月に売上が急増しており、そこは統合で会員が急増した影響であることが想像できます。ただ、その後も順調に伸びており、2月と12月を比べても3倍くらいにはなっている(縦軸に数字の無いグラフなので目分量ですが)ので、まごうことなく急成長と言えるでしょう。

KADOKAWAの児童書サイト「ヨメルバ」オープン〈HON.jp News Blog(2020年2月3日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/27882
 ブラウザで試し読みをクリックするとBOOK☆WALKERのロゴが表示されたので、なるほどと思い記事化しました。

漫画村元運営者、犯罪収益の隠匿を否認 福岡地裁〈日本経済新聞(2020年2月5日)〉

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55273310V00C20A2ACYZ00/
 続報です。著作権法違反は認めているのですが、犯罪収益には当たらないとして犯罪収益隠匿については否認しているとのこと。少し気になって、法律を調べてみましたが、別表五十五に「著作権法」は確かに明記されてますね。

noteが月額会費制コミュニティを簡単に作れる「サークル機能」公開〈TechCrunch Japan(2020年2月5日)〉

https://jp.techcrunch.com/2020/02/05/note-circle/
 交流がメインの、いわゆるオンラインサロンです。NPO法人HON.jpでの利用を検討してみたのですが、現時点で作成できるのは有料サークルのみ(月100円以上)なのと、サークルへの無料招待枠的な機能もないため、必ず追加料金をいただく形になってしまうのがちょっと厳しい。既存会員への特典増強とか、NovelJamアラムナイサークル、みたいな使い方を想定していたのですが。残念。無料機能の追加を待ちます。

海賊版サイト運営者の「特定」に光明か…米ディスカバリーで「最短3日」の開示命令も〈弁護士ドットコムニュース(2020年2月5日)〉

https://this.kiji.is/597601390751253601?c=491375730748638305
 アメリカの証拠開示制度「ディスカバリー」を使うことで、発信者情報開示にかかる時間が猛烈に短縮された、という話。記事には「まさに編み出されようとしている」なんて書かれていますが、2018年に同じ手法でクラウドフレア社から漫画村の運営者情報を開示させた前例があります(↓)。その点にはちょっと「あれ?」と思った記事ですが、手法が認知されるのは良いことだと思うのでピックアップしました。

Chromeが「5秒後にスキップできます」などのムービー広告を2020年8月からブロック開始〈GIGAZINE(2020年2月6日)〉

https://gigazine.net/news/20200206-google-chrome-adblock-video/
 YouTubeも例外ではない、というのがちょっと驚き。ただ、合計表示時間が31秒以上という条件があるので、30秒くらいの動画広告が今後は増えていくのであろうと思われます。TV CMみたいになっていくのでしょうか。

LINE、日テレ、アニプレックスによる文学賞「第1回 令和小説大賞」の最終選考作品が決定 ~ 対象作品の発表は3月3日〈HON.jp News Blog(2020年2月7日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/27918
 応募総数は4440作品とのこと。電撃大賞の応募数に匹敵する規模です。すさまじい。

アマゾンが小規模な書店に「仲間卸」 事実上の「取り次ぎ」業務開始へ〈毎日新聞(2020年2月7日)〉

アマゾン 書店向けに出版物を卸販売〈日本経済新聞(2020年2月7日)〉

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55342000W0A200C2916M00/
 業界関係者が騒然としていたニュース。出版社向けの事業説明会が開催される日の朝にこういう記事が出るという、広報戦略もしたたかです。日経の記事には「販売価格は卸値ではなく、一般のECサイトとほぼ同額で書店にとっては仕入れ価格が高くなる」とあり、アフィリエイト(本は3%)と大差ないようです。

 なお、トーハンには「ブックライナー」、日販には「Quick Book」と、それぞれ書店向け速達サービスがあり、取次在庫を3日で取り寄せ可能です。それでも、届くのがより早いアマゾンで購入し、利益ゼロでユーザーに売るみたいなことをやっている書店もあると聞くので、「仲間卸」扱いでほんの少しでも利益が出るならありがたい、ということなのでしょうか。その先は地獄が待っていると思うのですが。

アマゾンと直接取引の出版社、3千超に 欠品率が改善〈朝日新聞デジタル(2020年2月7日)〉

https://www.asahi.com/articles/ASN267HQHN26UCVL01R.html
 直接取引がさらに拡大しているようです。欠品率の改善については、マッチポンプを疑う出版社の声もチラホラ。ところで、経済産業省 平成30年特定サービス産業実態調査(確報)の出版業全規模の部では、個人経営含め「3058」という統計があります。アマゾンの「3631社」という数字は、どう捉えればいいのか。経産省が、1人出版社/者を把握仕切れていないだけかもしれませんが。

海外

ヘッジファンドによる買収から1年で米トリビューン新聞社のCEOが解任〈HON.jp News Blog(2020年2月4日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/27905
 かつて「新聞の破壊者」の異名をとったヘッジファンド。リストラを予期した記者が何人かの富豪に「白馬の騎士」になってくれるようアプローチしていたらしいのですが、間に合わなかったようです。

写真美術出版社のM&Aでファイドンがモナチェリを買収〈HON.jp News Blog(2020年2月6日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/27907
 モナチェリは、建築家のレム・コールハースとデザイナーのブルース・マウによる『S, M, L, XL』などを手がけている出版社です。

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CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。
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著者について

About 鷹野凌 823 Articles
NPO法人HON.jp 理事長 / HON.jp News Blog 編集長 / 日本電子出版協会 理事 / 日本出版学会理事 / 明星大学 デジタル編集論 非常勤講師 / 二松学舍大学 編集デザイン特殊研究・ITリテラシー 非常勤講師 / デジタルアーカイブ学会 会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。
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