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2020年2月10日~16日は「日本の電子図書館事業OverDrive Japanはどうなるか?」「同人誌の海賊版サイトに賠償命令」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
ポッドキャスト
国内
NewsPicksパブリッシングと草思社の協業から生まれた成果 ~ 伝統的出版社と新興出版社が手を組んだ理由〈HON.jp News Blog(2020年2月12日)〉
なかなか面白いコラボ。出版ジャーナリストの成相裕幸さんに取材いただきました。
楽天の株式譲渡で日本の電子図書館事業「OverDrive Japan」はどうなるか?〈HON.jp News Blog(2020年2月13日)〉
昨年末に、楽天がOverDriveを売却するというニュースが流れ、買収側のKKRについては大原ケイさんにコラムを書いていただきました。では、日本で展開されている事業はどうなるのか? という観点で書いたコラムです。実は、年末の時点でほぼ書けてたんですが、当事者からの情報が入るまで寝かせてありました。ひとまず、大勢に影響はなさそうです。
アマゾンジャパン、「第1回 Kindleインディーズマンガ大賞」の最終候補作品を発表 〜 授賞式は3月に開催予定〈HON.jp News Blog(2020年2月13日)〉
応募総数1000作品超。選考には読者からの声や反響が反映されているそうです。LINEノベルの令和小説大賞もそうですが、まず公開して読者の反応をいわば「下読み」的に使うというのは、とても合理的だと思います。投稿サイトと文学賞の中間に位置するようなイメージ。
インターネット白書ARCHIVESで2019年版が無料公開に ~ 最新版『インターネット白書2020』発行に合わせ〈HON.jp News Blog(2020年2月14日)〉
毎年この時期恒例となった、前年版の無料公開。ありがたいことです。なお、2019年版の10大キーワードは、「キャッシュレス社会」「買い物革命」「DApps」「バーチャルYouTuber」「データエコノミー」「プライバシー保護」「5G」「LPWA」「サイバー戦争」「インターネット文明」でした。
同人誌の「海賊版サイト」に賠償命令…ウェブ広告をたどって「運営会社」を割り出す〈弁護士ドットコムニュース(2020年2月14日)〉
二次創作でも違法アップロード駄目――“違法同人誌サイト”運営会社に219万円の賠償命令 過去の取材には「存じ上げないサイトですね」〈ねとらぼ(2020年2月14日)〉
論点がいくつもあって、興味深いニュースです。まず、広告代理店を辿ったら、海賊版サイトの運営事業者が特定できたこと。その運営事業者は、2018年6月時点で「ねとらぼ」が特定していたこと。また、海賊版サイトとは別に、「Comi★コミ」という正規版電子書店を運営していたこと(昨年11月末で閉鎖/インターネットアーカイブを確認したらABJマークが貼られていました……)。
また、被告の「二次創作同人誌は、著作権を主張できない」という主張は、見事に却下されていること。そして、「SimilarWeb」のトラフィック分析を元に算出した被害額は、認定されなかったことです。2018年にブロッキング法制化の検討が行われていた時にも、「SimilarWeb」のデータを根拠とした3000億円という被害額が信用できる/できないと議論になっていました(↓)が、今回の地裁判決では「信用できない」に軍配が上がりました。
海外
電子版の購読者が200万人に ウォールストリート・ジャーナル〈共同通信(2020年2月11日)〉
電子版定期購読の成功事例としてはよく、ニューヨーク・タイムズ(総契約数490万件超)が挙げられますが、ウォールストリート・ジャーナルもスゴイですね。対抗意識もスゴイようですが。
米アマゾンがひっそりナチス本狩り〈HON.jp News Blog(2020年2月12日)〉
どういう基準で消されているのか明示されていないので、出版業者側が懸念しているそうです。GAFA系のBAN基準は、振れ幅が大きくて曖昧、という印象があります。ちなみに日本のアマゾンには、東京都の青少年保護育成条例で「不健全図書」に指定されると、規約で取り扱いが禁止される(成人向けには販売できる)という、ある意味分かりやすいラインが1つあります。
米バーンズ&ノーブル、加インディーゴが暮れのクリスマス商戦で苦戦〈HON.jp News Blog(2020年2月12日)〉
昨年8月からジェームズ・ドーントをCEOに迎えたバーンズ&ノーブルですが、まだ立て直しは図れていないようです。イギリスのウォーターストーンズのように再起できるといいのですが。
児童書ブックフェアで今年からグラフィック・ノベル賞設立〈HON.jp News Blog(2020年2月13日)〉
実は、ボローニャ児童書ブックフェア公式サイトには「category: Comics」と表記されています。ただ、この受賞作品を「コミック」と訳すと日本の漫画のようなものと勘違いされそうなので、「グラフィック・ノベル」としています。
30紙の地方新聞を持つマクラッチー社が会社更生法を申請〈HON.jp News Blog(2020年2月14日)〉
累積赤字7億ドルとのこと。昨年夏にはゲートハウス・メディア社がガネット社を統合吸収し、ローカル紙250紙以上を抱える大所帯に、というニュースもありました(↓)。どこも生き残りをかけて必死ですね。
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