米バーンズ&ノーブル、加インディーゴが暮れのクリスマス商戦で苦戦

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 イギリスの書籍チェーン店・ウォーターストーンズを立て直し、昨年8月からアメリカの最大手書籍チェーン店・バーンズ&ノーブル(以下B&N)のCEOに就任したジェームズ・ドーントは「2011年のウォーターストーンズがそうだったように、B&Nは書店としてもいい状態ではないし、台所事情もメチャクチャだ」と発言した。

 iNewsの取材に対し、イギリスのウォーターストーンズでは、クリスマスシーズンにミシェル・オバマ前ファーストレディー著「BECOMING(邦題『マイストーリー』)」のような大ヒット作がなかったのはマイナスだったが、店内併設のカフェ「W」やギフト用品などの売り上げに押され、2019年の総売上げは39億2800万ポンドになったという。

 「(アメリカでは)ひどいクリスマス商戦になったが、私が急に見捨てた部分もあったからだ」と答えた。その部分とは、アマゾンのように BN.com のサイトで第三者が古本を取引できる「マーケットプレイス」も含まれているようだ。ドーントはこれまでなんどもB&Nの店舗にはアップデートが必要だと繰り返してきた。

 一方で、年末までの第3四半期の売り上げが前年比マイナス10%、3億8400万加ドルに落ち込んだのがカナダの最大手書籍チェーン、インディーゴだが、こちらはコストカットと利幅を上げる努力で年間総売上げは微増したと伝えている。

 インディーゴのヘザー・ライスマンCEOは「10万部を超える大ヒット作もなく、おもちゃ部門でも子どもが夢中になれるような商品が出なかった」としている。さらにはコロナウィルスの影響で、中国産が多い玩具の輸入についても先行きが不透明だと危惧する。

参考リンク

英iNewsの記事
https://inews.co.uk/news/business/waterstones-james-daunt-barnes-noble-1392237
パブリッシャーズ・ウィークリーの記事
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/bookselling/article/82375-waterstones-shows-profit-but-b-n-is-a-mess.html
インディーゴ社の決算レポート(PDF)

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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