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2019年11月25日~12月1日は「ダウンロード違法範囲拡大再検討の有識者会議が開催」「トーハン日販中間決算資料の差異」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
国内
JEPA電子出版アワード2019一般投票受付開始 ~ 締め切りは12月6日23時〈HON.jp News Blog(2019年11月25日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/27106
毎年恒例のJEPAアワード。当法人の「NovelJam」もノミネートされています。なお、私は選考委員ですが、「NovelJam」は自薦ではなく、他の選考委員からの推薦です。ほんとだよ?(※注:投票は既に締め切られています)
ペンタブメーカーのワコムとスタートバーンが提携 ~自筆サイン×ブロックチェーンで作品の権利保護と流通基盤の構築へ〈仮想通貨 Watch(2019年11月26日)〉
https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1220740.html
ワコムのデジタル署名認証技術と、スタートバーンのアート流通管理基盤「アート・ブロックチェーン・ネットワーク」の連携。Ethereumのスマートコントラクトを用いています。
業績以上に、資料が伝えること ~ トーハン日販の中間決算資料から見えた発信力の差〈HON.jp News Blog(2019年11月27日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/27115
出版ジャーナリストの成相裕幸氏にコラムを寄稿いただきました。株式市場に対するディスクロージャーとしては問題なかったとしても、ステークホルダー全体に対しては情報不足なのでは? という指摘です。
スクショも違法?著作権の線引きは きょう有識者会議〈朝日新聞デジタル(2019年11月27日)〉
著作権侵害物写り込む「スクショ」はOK 文化庁が転換〈朝日新聞デジタル(2019年11月27日)〉
ダウンロード違法化、検討やり直しスタート…「スクショ適法」案が示される〈弁護士ドットコムニュース(2019年11月27日)〉
https://this.kiji.is/572203531590435937?c=491375730748638305
パブリックコメントを受け、有識者の検討会が開催。朝日新聞の1本目はこれまでの経緯まとめで、2本目は検討会開始時刻の8時ジャストに配信されています。資料事前リークの予定稿でしょうか。弁護士ドットコムニュースの記事には、パブリックコメントの回答とりまとめや、検討会のメンバー一覧が載っています。
ビューン、期間限定で雑誌の無料配信を行うテストマーケティングを開始〈HON.jp News Blog(2019年11月27日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/27120
現時点では「実話ナックルズ 2019年12月号」が無料で読めます。ビューアはボイジャー「BinB」のようです。
これから出る本 2019年12月〈HONZ(2019年11月27日)〉
https://honz.jp/articles/-/45459
日販の古幡瑞穂氏(ほんのひきだし編集長)による新企画。書店店頭での予約数が増えてきたのに伴い、ランキングを作ってみたそうです。発売予定日まで20日以上の日数があるタイトル限定。今後ますます、本の発売前プロモーションが重要になりそうです。
SF作家が描くクルマ社会『答え合わせは、未来で。』 日産がアンソロジー発行〈レスポンス(2019年11月27日)〉
https://this.kiji.is/572295816527103073?c=491375730748638305
「自動運転社会の未来」とテーマとしたアンソロジーを、日産自動車がKindleのみで発売。「日産未来文庫編集室」の名義で、発行所も日産自動車株式会社。Kindleダイレクト・パブリッシングっぽい?
スクショは一転して適法に、違法ダウンロードの線引きは?〈日経ビジネス電子版(2019年11月28日)〉
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/112800913/
「検討会では、文化庁が規制対象を絞り込む新たな提案を示し、おおむね了承された」と、すでにほぼ決まったかのような報道であること、また、文化庁著作権課へのQ&Aで、「権利者から許諾を得ている2次創作物はほとんどないと言っていい」と断定している点が、気になるところ。特に後者は、初音ミクや東方プロジェクトなど、二次創作を事前許諾(パブリックライセンス)することでブームになったケースがあるにも関わらず、「ほとんどない」としてしまっている点が、ちょっと雑ではないかと。
海外
パブリックドメイン資料の複製物はパブリックドメインのままとすべきである(記事紹介)〈カレントアウェアネス・ポータル(2019年11月25日)〉
https://current.ndl.go.jp/node/39579
元記事が英語なので、海外ニュース扱いで紹介。デジタルアーカイブがCC BYなどのクリエイティブ・コモンズ・ライセンス付きで公開されているケースがよくありますが、それは無効であるという記事が紹介されています。「著作物にCCライセンスを適用できるのは著作者のみである」がポイント。なにか創作性を追加して二次的著作物を作成したのであれば話は別ですが。
また、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスには「あなたは、資料の中でパブリック・ドメインに属している部分に関して、あるいはあなたの利用が著作権法上の権利制限規定にもとづく場合には、ライセンスの規定に従う必要はありません」という注意書きもあります(↓)。
だから、パブリック・ドメイン作品がCC BYで公開されていても、無視して利用しても問題はありません。ただ、まあ、デジタル化の労力に対する敬意を払い、データ出典を記すことくらいは、やってもいいのかなとも思いますが。あくまで「お願い」レベルの話になるかと。
ティム・バーナーズ=リー氏、より良いウェブ実現に向けた行動指針を発表〈CNET Japan(2019年11月26日)〉
https://japan.cnet.com/article/35145911/
ウェブ(の未来)を守るための契約(Contract for the Web)。政府、企業、一般市民にそれぞれ、「ウェブのオープン性を維持するために戦うこと」など3つの責任が掲げられています。。なお、ITmediaには支持を表明している企業の一覧が載っています(↓)。アマゾンとアップルは、参加していないとのことです。なぜだろう?
米バーンズ&ノーブル、新CEO就任後の再建へ向けた動きあれこれ〈HON.jp News Blog(2019年11月27日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/27140
8月には就任直後のインタビューがありました(↓)。その際にも言及されていますが、ウォーターストーンズの再建時と同様、バーンズ&ノーブルでも「コアップ」と呼ばれる宣伝費を止める意向のようです。
冨田健太郎 斜めから見た海外出版トピックス 第28回 ナオミ・ウルフとファクト・チェック〈DOTPLACE(2019年11月28日)〉
http://dotplace.jp/archives/37778
新刊のPRイベント中に誤りが発覚したという事例。アメリカでは出版社がファクト・チェックをせず、作家が自腹でやるのですよね。以前、大原ケイ氏に「歴史を扱う本にウソが見つかった時、アメリカの出版社ではどう対処しているのか?」(↓)で詳しく解説いただいてます。
米教育出版社5社が教科書の海賊版サイトを告訴〈HON.jp News Blog(2019年11月29日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/27160
アメリカでの海賊版対応事例。即時停止命令の保全処分(審判前の暫定的な処分)を受けたとのことです。
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