「活版・写植時代の岩波新書が初めて電子化」「米自己出版が40%成長」など、出版業界気になるニュースまとめ #395(2019年10月14日~20日)

出版業界気になるニュースまとめ
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 2019年10月14日~20日は「活版・写植時代の岩波新書が初めて電子化」「米自己出版が40%成長」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

ボイジャー、ブラウザビューア「BinB」をバージョンアップし広告配信に対応〈HON.jp News Blog(2019年10月15日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26666
 コンテンツ内広告とオーバーレイ広告に対応。これで新規の導入先が増えるかどうか。また、すでに導入先されている電子書店で広告配信が行われるかどうかが気になります。

市場半減の出版不況でも、紀伊國屋書店は「11期連続黒字」のワケ〈現代ビジネス(2019年10月15日)〉

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67724
 紀伊國屋書店の海外展開が成功している、という話で、とても良いです。ただ、本文では、海外事業は総売上の6分の1程度(200億円)であると明記されているのに、タイトル・サブタイトルでは、海外事業が連続黒字の「ワケ」や「カギ」であるかのように書かれていて、ちょっと違和感があります。

 ちなみに、株式会社紀伊國屋書店の会社綱要2018(↓)には、「売上高の6割弱を店舗が、4割強を営業が上げています。(営業の扱い商品は、高額商品が多いため、売上・利益に大きく貢献しています。)」と書かれています。営業=外商部門です。顧客は大学など。

岩波新書の青版・黄版など100タイトルが初めて電子化、ほぼすべてがリフロー型の新字体で配信〈HON.jp News Blog(2019年10月16日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26683
 相当な苦労があっただろうと思いメール取材をしたら、とても丁寧な回答をいただきました。そのおかげもあって、この記事、非常によく読まれています。こういう前向きな良い話をもっともっと紹介していきたい、と思いました。なお、100タイトルで終わらず、継続的に電子化していく予定とのことです。

アマゾンジャパン、賞金総額500万円の「第1回Kindleインディーズマンガ大賞」を開催 ~ 審査員に中川翔子氏、コミケ共同代表、代アニ代表など〈HON.jp News Blog(2019年10月16日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26701
 このリリースで、インディーズ無料マンガ基金によってこれまで合計5475万円が分配されていることが明かされています。2018年は2000万円で、2019年は5000万円用意されている(↓参照)ので、残り1525万円。9月までの数字として、10月以降は月500万円強の分配ということになるのでしょうか? KDPコミュニティのお知らせでは、7月の1周年以降、分配金のお知らせが出ていないのが少し気になります。

「漫画村」元運営者を再逮捕 「キングダム」無断公開容疑 福岡県警など〈西日本新聞(2019年10月16日)〉

https://this.kiji.is/556948683104683105?c=491375730748638305
 続報。ひきつづき認否を留保しています。

ワコム、液晶ペンタブレットPC「Wacom MobileStudio Pro 16」の最新モデルを発表〈HON.jp News Blog(2019年10月18日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26713
 フラッグシップ機のアップデート。41万8000円ナリ。

絶版小説の復刊で町おこし、滋賀 井上靖の「星と祭」〈共同通信(2019年10月19日)〉

https://this.kiji.is/558212465002824801?c=491375730748638305
 復刊費用は「勧進」で集めたとのこと。昔ながらのクラウドファンディング!

古文書のデジタル化推進 城端別院善徳寺 5年間で1万1500点〈北國新聞(2019年10月20日)〉

https://this.kiji.is/558342865798038625?c=491375730748638305
 NPO法人がデジタル化。国・県・市の補助金で足らない分を、会員や寄付で賄う予定とのこと。デジタルアーカイブのための資金調達(ファンドレイジング)手法として、興味深いです。

逮捕歴ツイート、削除命じる 裁判所が示した「ツイッター」と「グーグル」の違い〈弁護士ドットコム(2019年10月20日)〉

https://this.kiji.is/558478477929284705?c=491375730748638305
 ちょっと気になる地裁判決。「インターネットの投稿記事に関しては、それが容易に閲覧可能な状態に置かれ続ける限り、新たな投稿がされた場合と別に解釈するべき理由はない」という判断に、引っかかってしまいました。これ、Twitterに限った話じゃないですよね。過去記事をずっと公開したまま残しているウェブメディア(うちもそうです)とか、デジタルアーカイブ系にもいろいろ影響が出そうな気がします。あと、「容易に閲覧可能な」という判断は、どこまで広がりうるのか。図書館は? 記事データベースは? と、いろいろ心配になってしまいます。

海外

英ブッカー賞はM・アトウッド、B・エヴァリストの女性2人に〈HON.jp News Blog(2019年10月15日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26662
 ダブル受賞! どうしても1冊に絞れなかったそうです。

アメリカでセルフ・パブリッシングが引き続き40%成長〈HON.jp News Blog(2019年10月16日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26696
 ISBNのないKDPを含まない数字にもかかわらず、160万タイトルに。日本とは桁が1つか2つ違う感じです。

フランクフルト・ブックフェア開催中に発表されたドイツ書籍賞にS・スタニシチ〈HON.jp News Blog(2019年10月16日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26705
 中国語、韓国語の出版社は決まっているようですが、日本語は……? デビュー作『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか』は、白水社から2011年に出版されています。

スティーブン・キングが自宅を資料館として開放、執筆の場として作家を招待へ〈HON.jp News Blog(2019年10月18日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/26717
 ファンに自宅がばれちゃってるので、こういう措置になった模様。ここで執筆したからといって、人気ホラーが書けるわけではないでしょうけど。

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著者について

About 鷹野凌 823 Articles
NPO法人HON.jp 理事長 / HON.jp News Blog 編集長 / 日本電子出版協会 理事 / 日本出版学会理事 / 明星大学 デジタル編集論 非常勤講師 / 二松学舍大学 編集デザイン特殊研究・ITリテラシー 非常勤講師 / デジタルアーカイブ学会 会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。
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