「学校図書館とデジタルトランスフォーメーション」「電子図書館サービス大幅伸張」など、出版関連気になるニュースまとめ #428(2020年6月14日~20日)

出版関連気になるニュースまとめ

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 2020年6月14日~20日は「学校図書館とデジタルトランスフォーメーション」「電子図書館サービス大幅伸張」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版関連ニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

司書教諭が図書室という場を失って取り組んだこと ~ 学校図書館の存在意義とデジタルトランスフォーメーション(DX)〈HON.jp News Blog(2020年6月16日)〉

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、全国の小中高校などが臨時休校となった。そんな中でも「学びを止めない」ため、学校図書館はどのような取り組みを行っているか? また、そこにはどのような問題があるのか? 司書教諭の有山裕美子氏(工学院大学附属中学校・高等学校)に寄稿いただいた。前中後編の短期集中連載でお届けする。改めて学校図書館を問い直す〈前編〉学校図書館の使命とは 私は学校図書館に関わり始めて、10...

生徒向けの使えるリンク集が「学校図書館の自殺行為」と言われた ~ 学校図書館の存在意義とデジタルトランスフォーメーション(DX)〈HON.jp News Blog(2020年6月17日)〉

 学校図書館は、紙の本を貸出したり本を紹介するだけの場所ではないと、司書教諭の有山裕美子氏(工学院大学附属中学校・高等学校)は訴える。では学校図書館には、どのような役割があるのか? 短期集中連載の、今回は中編。前編はこちら。改めて学校図書館を問い直す〈中編〉 その一方で、先に挙げた使えるサイトのリンク集を作った学校図書館の仲間の一人から、こんな話を聞いた。同業の仲間から、こうしたリンク集を作るこ...

デジタルネイティブの生徒たちは自発的にオンラインイベントを企画した ~ 学校図書館の存在意義とデジタルトランスフォーメーション(DX)〈HON.jp News Blog(2020年6月18日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/29558
 有山裕美子氏による渾身の訴え。コロナ禍を受け、文部科学省から例示された「学校休業中の学校図書館の取り組み事例」が紙本貸出と本の紹介だけだった(連載前編で触れられています)ことに嘆いてらっしゃるのを見て、「うちでそういう声、発信しませんか?」とお声がけしたのがきっかけでした。前中後編の本文だけで1万2000字くらいありますが、驚くほど読まれています。大反響。

 私は、中編冒頭の「学校図書館の自殺行為」というフレーズが最も印象的だったのですが、「便利なリンク集なんて作ったら、図書室に来てもらえなくなる」とか「紙の本を読まず、ネットばかりする子に育ってしまう」といった発想なのでしょうか? もしかしたら「図書/館」あるいは「図書/室」という名称が、考えを縛り付けているのかもしれません。

政府、ネット広告の適正化に本腰 巨大IT規制で中間報告〈共同通信(2020年6月16日)〉

https://this.kiji.is/645431350978724961?c=491375730748638305
 本件、経産省や総務省ではなく、内閣官房が主導しています。ネット広告市場の健全な成長には透明性確保が欠かせない、のは確かですが、これを機に妙な規制を入れられても困る。7月27日までパブリックコメントが実施(↓)されているので、中間報告にはしっかり目を通しておきたいところ。90ページ以上あります。

図書館流通センター(TRC)が提供する電子図書館サービスの2020年5月貸出実績が前年同月比526%に増加:新型コロナウイルス感染症拡大による公共図書館の休館等の影響〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年6月18日)〉

https://current.ndl.go.jp/node/41260
 3カ月連続で、大幅な増加です。日本電子図書館サービスの「Librarie」が、導入200館に到達したという報道もありました(↓)。公共図書館での導入事例報道も、急増している実感があり、電子図書館サービスに強い追い風が吹いています。問題は、弾不足。電子化に消極的な出版社も、そろそろ前を向いて欲しいところ。「売れそうなものだけ電子化」とか、ほんと勘弁してください。

海外

台湾における公共貸与権の試行導入〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年6月11日)〉

https://current.ndl.go.jp/e2266
 今年から試行導入されている、紙の図書への公共貸与権について、現時点で分かっていることについてのレポート。立法院法制局からは、補償金が一律なので貸出回数の多い通俗小説がどうしても有利になってしまうので対策すべしとか、高価な図書には高額な補償金を設定すべきといった政策提案が出ているそうです。

 商業サービスでさえ、マンガばかり大量に読まれ慌てて追加報酬を打ち切った「Kindle Unlimited」みたいな前例もあるわけですし、確かに紙の貸出でもエンタメばかりに偏る可能性は高いでしょう。ただ、どうバランスをとるかが難しそうでもあります。販売価格に応じた補償金は、妙な制度ハックが生まれそうな悪寒も。日本でも、納本制度をハックした「亞書」のような事例があります。

マサチューセッツ工科大学(MIT)図書館、Elsevier社との新たなジャーナル契約の交渉を終了〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年6月15日)〉

https://current.ndl.go.jp/node/41226
 エルゼビア社から、オープンアクセス方針に沿った提案がなされなかったため、契約を打ち切ったとのこと。電子ジャーナルの購読料高騰に反発して、ボイコットする動きが目立つようになっています。

EU、アップルの本格調査へ 電子決済で独禁法違反か〈共同通信(2020年6月16日)〉

https://this.kiji.is/645602806890546273?c=491375730748638305
 EU対Google、EU対Amazonに続いて、EU対Appleも。本件については英FT紙の報道で、Rakuten Koboによる申し立てだというのが判明しているそうです(↓)。

楽天グループの電子書籍サービス会社「Kobo(コボ)」は、「アップル・ブックス」を展開する米アップルが「アップストア」経由の電子書籍販売に30%の手数料を課している慣行が、競争を阻害しているとして、欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会に調査を求めた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。

 アプリ内から、いわゆるApple税を回避するようなリンクが禁じられている(Androidは問題ない)ことについての訴え。これ、不便を被っているのはユーザーなので大義名分は立つのですが、仮にRakuten Koboの訴えが通って外部へリンクが貼れるようになると、いちばん得をするのはAmazon(Kindle)という皮肉な結果に繋がりそうな気も。さて、どうなるか。

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 運営体制変更に伴い、しばらくお休みし、企画を練り直します。

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CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0

※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 596 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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