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2020年8月30日~9月5日は「アマゾン星1つやらせ投稿の依頼者に刑事罰」「BOOK☆WALKER海外利用が8月単月で1億円突破」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版関連ニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
国内
グループ初「株式会社メディアドゥ 統合報告書 2020」を発行〈株式会社メディアドゥのプレスリリース(2020年9月1日)〉
https://mediado.jp/corporate/3094/
最近は、年次財務報告だけでなく、経営戦略や社会貢献など財務情報以外もくわえた「統合報告」が、アニュアルレポートの主流になっているそうです(↓)。知らなかった。
メインの電子取次事業以外では、自社運営の電子書店「コミなび」のマーケティング強化とか、子会社ではインプリント事業のジャイブ、米MyAnimeList、要約配信サービスフライヤーなどが、重点領域として積極的な投資を実施する対象として名前が挙がっています。
個人的には、この報告書では“触れられていないこと”も気になるところです。資本業務提携しているメディバン、戦略提携している読み放題の米Scribd、電子図書館事業OverDrive Japan、子会社として名前だけは出ている「マンガ図書館Z」のJコミックテラス、など。
首相退陣表明後の週末2日間でよく売れた本5選!!キーワードは「潰瘍性大腸炎」「民主主義」「池上彰」〈カドブン(2020年9月1日)〉
https://kadobun.jp/feature/readings/5i8x51m25xss.html
こちらの記事、KADOKAWAのデキる編集者・菊地悟さんが、Facebookの一般公開で経緯について明かしていた(↓)のでピックアップ。素早いPR施策の裏側でどんな動きがあったのか、その一端が伺えます。
首相退陣表明という“事件”に際し、売り伸ばせそうな銘柄をすぐに探して施策を打ち、実際に売上が伸びたのでオウンドメディアで記事化したとのこと。昨年4月1日、元号が「令和」と発表され、すぐに「出典は万葉集」とリリースを出して売り伸ばす施策を打った際もそうですが(↓)、ほんと動きが素早い……いつも感心させられます。
WEB特集 その広告 行き過ぎていませんか?〈NHKニュース(2020年9月2日)〉
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200902/k10012596121000.html
外見のコンプレックスを刺激して商品を宣伝する「コンプレックス広告」問題について。9割が不愉快になるような広告は、メディアの価値を確実に棄損します。勘弁して欲しい。8月10日のまとめでもピックアップしましたが(↓)、ヤフーが2019年度に約2億3千万件の広告素材を非承認としているように、まともなプラットフォームでは対策が進められています。
なお、HON.jp News Blog では Google AdSense を使っていますが、メディアの矜持として当初から「デリケートなカテゴリ」はすべてブロック済みです。「一般カテゴリ」でも不快な広告が目につく「健康」「美容」などはブロック済みのうえ、行動追跡する「パーソナライズド広告」も最近ブロックしました。メディア側にも広告を選ぶ権利はあるのです。
アマゾン、「協力金」取りやめ 独禁法違反疑い、返金へ〈朝日新聞デジタル(2020年9月4日)〉
https://www.asahi.com/articles/ASN936W72N93UTIL03H.html
2018年2月に日経新聞がスクープした(↓)、アマゾン直販事業での取引先への「協力金」要求。
優越的地位の乱用の疑いで公正取引委員会が調査を進めていましたが、アマゾンが自主的な改善計画を提出、実効性が認められれば行政処分を免れるようです。調査開始から1年半も経ってコレというのは、正直、釈然としないものを感じます。
電子書籍、被災者に無料開放 八代市立図書館 市外4市町村も〈熊本日日新聞(2020年9月4日)〉
https://this.kiji.is/674442840956240993?c=491375730748638305
熊本県八代市立図書館へ導入されているのは、TRC-DL(LibrariEコンテンツ)。提供エリアは契約で縛られているはずなので、災害時特別対応なのでしょう。
8月初旬に、神奈川県座間市の電子図書館サービスが、始まる前に「座間市だけでなく、相模原市など9市町村の住民が利用できる」と発表していたのを、座間市民と通勤・通学者のみと訂正した(↓)のを思い出しました。
国会図書館デジタル化の実情!非公開エリア含めた視察レポート(中編)〈山田太郎(ヤマダタロウ)| 選挙ドットコム(2020年9月3日)〉
https://go2senkyo.com/seijika/68604/posts/164368
山田太郎参議院議員による、国立国会図書館の視察レポート。前編でデジタル化能力が乏しい問題点を指摘していたのですが、スキャナー2台……まあ、館内では取り扱いが難しいものだけを扱っているようですが。自前でやらずとも、外注すればいいわけで。根本的な問題は「予算」ということでしょう。余談ですが、スキャナの写真を見て、映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』でも同じようなシーンがあったのを思い出しました。
アマゾンで「星一つ」やらせ投稿 依頼者に異例の刑事罰〈朝日新聞デジタル(2020年9月4日)〉
https://www.asahi.com/articles/ASN9463F1N92TIPE01L.html
ライバルを蹴落とす不当な低評価レビューが、信用毀損で刑事罰に。しかし、罰金20万円は安い……民事訴訟は別途やるでしょうけど。投稿者と依頼主を「苦労の末特定」とありますが、どうやって調べたのか非常に気になります。
また、本件の投稿者が「請け負ったのは高評価をつける投稿ばかり」「低評価の投稿を依頼されたのは初めて」と言っていることにも注目。アマゾンでは「星5つ」やらせ投稿も氾濫していますが、その一端が伺えます。
海外
グーグルとFB、香港とのケーブル接続計画を撤回 中国の情報収集を懸念〈BBC NEWS JAPAN(2020年9月1日)〉
https://this.kiji.is/673408630973989985?c=491375730748638305
米中の政治・経済対立がこんな形でも。米司法省が国家安全保障上の懸念を表明しており、海底ケーブルの敷設は終わっているけど、FCCから許可が出ない状態でした。
香港にはさまざまな企業のデータセンターがたくさんありますが、香港国家安全維持法施行以降、例えば韓国NAVERがデータバックアップセンターをシンガポールへ移転するといった動きもあります(↓)。
金融機関も拠点を移す検討を始めているようで、日本政府も受け入れのための環境整備を検討しているという報道(↓)もありました。「表現の自由」に限らず、さまざまな方面へ影響が広がっています。
フェイスブック、豪でニュース共有禁止へ 使用料法成立なら〈ロイター(2020年9月1日)〉
https://this.kiji.is/673346183494026337?c=491375730748638305
8月3日のまとめ(↓)でピックアップした、オーストラリア政府がGoogleとFacebookに記事使用料の支払い義務を課そうとしている動きの、続報です。
初報では、スペインで対Googleの「スニペット税」が成立した時のことを想起したんですが、Facebookはユーザーの利用に制限をかける方針に。ニュースの共有禁止って、とても不便なことになりそうです。
アマゾンは反トラスト法(独占禁止法)で裁かれるか?〈HON.jp News Blog(2020年9月2日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/29738
おなじみ、大原ケイさんによるコラム。反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査を受けているアメリカの巨大IT企業4社のうち、アマゾンを取り巻く状況について。アメリカは、大統領選挙の行方次第で大きく情勢が変わりそうとのこと。しかし、ジェフ・ベゾスがトランプ大統領から目の敵にされているという一方的かつ私怨要素が、なんとも言えねぇ……。
総合電子書籍ストアBOOK☆WALKERの海外からの利用が8月単月で1億円突破…日本発のマンガ・ライトノベルへの需要が伸長〈Social Game Info(2020年9月2日)〉
http://gamebiz.jp/?p=275500
マイルストーンとしてピックアップ。2020年4~6月の第1四半期、英語圏向けの「BOOK☆WALKER Global Store」は昨対比210%、「台湾BOOK☆WALKER」は同202%と、国内以上の成長率になっているそうです。素晴らしい。
ラノベがマンガの10倍売れている、というのも興味深いところ。7月20日のまとめ(↓)でピックアップした「米Amazonで日本の作品が複数販売停止」といった米巨大IT企業による表現規制も、BOOK☆WALKERには追い風になりそうです。
偽装メディアの「編集長」はAIが合成、ダマされたのはユーザーだけではなかった〈新聞紙学的(2020年9月3日)〉
https://kaztaira.wordpress.com/2020/09/03/ira_uses_ai_generated_editors/
アルゴリズムによる自動生成顔写真によって非実在編集部員によって信頼性を演出、読者のみならず、実在するライター200人の目もくらませたとのこと。それが、ロシアからの工作だというのが恐ろしあ。またしても、大統領選挙へ影響を及ぼそうと画策しているようです。
米アップル、広告向けプライバシー保護強化を来年初に延期〈ロイター(2020年9月4日)〉
https://this.kiji.is/674332370421843041?c=491375730748638305
今秋にリリースされるiOS 14から、アプリに対し追跡承認をユーザーに求めるポップアップ通知の表示義務が課せられる予定でした。ゲームに限らず、広告収益に依存する基本無料のアプリには収益にも強い影響がある変更と思われますが、アプリ改修に必要な時間的猶予が与えられることになったそうです。
8月26日にFacebookがAppleに対し「ソフト会社に打撃と警告」するという、まとめにはピックアップはしなかったニュースがありましたが(↓)、その影響があったのか、なかったのか。
ブロードキャスティング
毎週日曜日21時から配信する、30分間のライブ映像番組。上記のニュース紹介や解説をゲストとともに、より掘り下げた形でお届けしています。9月6日のゲストは株式会社メディアドゥ 取締役CBDOの溝口敦さんでした。
次回のゲストは株式会社BCCKS 代表取締役COOの山本祐子さんです。ライブ配信終了後、交流会もあります。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。
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