「リツイートも権利侵害」「読売新聞社説で電子図書館」「毎日新聞社説で読書バリアフリー」など、出版関連気になるニュースまとめ #433(2020年7月19日~25日)

出版関連気になるニュースまとめ
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 2020年7月19日~25日は「リツイートも権利侵害」「読売新聞社説で電子図書館」「毎日新聞社説で読書バリアフリー」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版関連ニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

電子図書館 補完的活用で読書機会保とう : 社説〈読売新聞オンライン(2020年7月19日)〉

https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200718-OYT1T50349/
 読売新聞が社説で、電子図書館について論じています。コロナ禍を受け注目されつつありますが、それでもまだ「補完的活用」なのかという思いもあります。ただ、公共図書館向けには普及していない現状を踏まえると、まずは補完的な活用でも構わないから最初の一歩を踏み出して欲しいとも思います。

 また、国立国会図書館の電子図書館事業にも触れている点は特筆すべきでしょう。先週のまとめでも触れましたが、これから文化審議会著作権分科会では、図書館での権利制限規定をデジタル・ネットワーク化に対応する検討が進められていくことになっています(↓)。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/58/index.html

 いまの制度でも、絶版等により入手困難な資料は国立国会図書館でデジタル化され、国立国会図書館の館内限定、あるいは「図書館送信」という形で各地の公共図書館・大学図書館などの館内限定で閲覧できるようになっています。この「館内限定」という縛りがあるため、コロナ禍で一斉に臨時休館が行われたときには、デジタル化された資料なのに、一般の方は物理的にアクセスできない状態になってしまったわけです。

 社説の末尾で「著作権者や出版社が不利益を被らないよう」とあるように、恐らく今後、補償制度の議論が進められることになり、公共貸与権の議論が再燃することになるのでしょう。「絶版」なら出版社には権利が存在していないはずだけど、商慣行で「品切重版未定」状態にある(と主張されている)本に対し、補償金制度が果たして成り立ちうるのかどうか。今後の議論を注視したいです。

リツイートによる写真の切り取りは「権利侵害」、最高裁「発信者開示」認める〈弁護士ドットコムニュース(2020年7月21日)〉

https://this.kiji.is/658195539864487009?c=491375730748638305

リツイート画像による「権利侵害」…原告代理人が注目する「最高裁判決」のポイント〈弁護士ドットコムニュース(2020年7月23日)〉

https://this.kiji.is/658810794594698337?c=491375730748638305
 日本のTwitterユーザー全員に関わる、影響範囲の広い判決。とはいえ、2年前に知財高裁で出た判決が、最高裁でも支持されたという話でもあります(↓当時の解説記事)。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/22/news016.html

 ただ、誤解が多いようにも思えるのですが、今回認められたのは、リツイートによる著作者人格権(氏名表示権)の侵害です。リツイートによる著作権(財産権)侵害や著作権侵害幇助は、知財高裁判決でも否定されています。また、Twitter社に対する発信者情報開示請求が認められたとはいえ、損害賠償請求等はまだこれから、という段階。

 いずれにしても、話題の画像や映像は、まず無断転載を疑うこと。そして、疑わしい画像や映像は、リツイートしないこと。疑わしい画像や映像を発信する人はもちろん、リツイートする人にもなるべく近づかないようにすること。いまは、誰もがそういうリテラシーを必要とする時代になっている、ということだと思います。

集英社、新たな漫画ビジネス求める アイデア持つ起業家へ呼びかけ〈ORICON NEWS(2020年7月21日)〉

https://www.oricon.co.jp/news/2167463/
 集英社の新しい試み「集英社スタートアップアクセラレータープログラム マンガテック2020」。以前開催された「少年ジャンプアプリ開発コンテスト」では、入賞企画から実際に「マワシヨミジャンプ」などが世に出ていますが、これをビジネスプランコンテストに拡大したものと言っていいでしょう。例として挙げられている「AI/ハードウエア/XR」はいまどきな感じですが、「建築/美容/農業」は面白い。個人的に、あらゆる題材はマンガになり得ると思っていますが、それはつまり、あらゆるビジネスがマンガとコラボし得る、ということでもあります。

社説:読書バリアフリー法 文字文化の恩恵を誰にも〈毎日新聞(2020年7月24日)〉

https://mainichi.jp/articles/20200724/ddm/005/070/074000c
 先週ピックアップした、文部科学省と厚生労働省による「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」についての毎日新聞社説です。一定の評価をしつつ、計画に数値目標が盛り込まれていないことや、財源の確保がこれからであることなど、問題点を鋭く指摘しています。文字モノ電子書籍市場はまだ極小であること、儲からないからと電子化が進まないこと、また、音声読み上げに対応しているビューアも、現状では海外事業者が中心であることなど、課題は山積みです。

海外

無料かつ簡単に本の3Dモデルを作成できる「3D Book Image CSS Generator」を使ってみた〈GIGAZINE(2020年7月25日)〉

https://gigazine.net/news/20200723-3d-book-model-generator/
 面白いサービス。カバー画像の3Dモデルというか、3Dっぽく見えるHTMLとCSSを書き出してくれます。カバー画像をクリックした時のリンク先も指定できるので、ランディングページなどに用いると良さそうです。ソースはGitHubで、MIT Licenseで公開されています。

Twitterのサブスクリプション「年内にもテスト」…ジャック・ドーシーCEOが明らかに〈Media Innovation(2020年7月25日)〉

https://media-innovation.jp/2020/07/25/twitter-subscription-this-year/
 7月初旬に求人情報からリークしていて、ジャック・ドーシーCEOがそれを認めたというニュース。リークの時点でいくつか記事が出ていたようですが、見落としていました。まだ開発初期段階だし、広告収益を代替するというより補完的なものだ、という話のようです。ポイントは、有料だとできることが新たに追加されるのか、あるいは、無料だとなにかできなくなるのか、というサービス設計がどのような形になるか、でしょう。パッと思いつくのは、1日あたりのツイート数や文字数、画像の保存容量や期間など、一部のヘビーユーザーに対する制限、でしょうか。

ブロードキャスティング

 毎週日曜日21時から配信する、30分間のライブ映像番組。上記のニュース紹介や解説をゲストとともに、より掘り下げた形でお届けしています。7月26日のゲストはシンガーソングライターの池田敬二さんでした。

 8月2日のゲストは編集者・文筆家の仲俣暁生さんです。配信終了後はZoom交流会もあります。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。

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CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。
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著者について

鷹野凌
About 鷹野凌 517 Articles
HON.jp News Blog 編集長。NPO法人HON.jp 理事長。明星大学/二松學舍大学/実践女子短期大学の非常勤講師で、デジタル編集論/表象メディア演習/デジタル出版論/デジタル出版演習を担当。出版学会員/デジタルアーカイブ学会員。主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)。アイコンは©鈴木みそ氏
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