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2020年6月21日~27日は「デジタル広告市場の問題点や解決策について政府が中間報告」「2019年中国出版市場の動向報告」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版関連ニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
国内
ポプラ社「低返品高利幅」実験 実売維持し返品半額に〈文化通信デジタル(2020年6月22日)〉
https://www.bunkanews.jp/article/219041/
返品率に応じて報奨金の還元率を設定するインセンティブ方式によって、返品率の大きな減少が見られたとのこと。成功事例が出たなら、他社も追随すべきでしょう。実際、今年度はポプラ社以外に、翔泳社、TAC、童心社が参加して取り組みを開始しているそうです。書店側としては好むと好まざるとにかかわらず、少しでも条件が良いほうを優先する「圧」が自然とかかるでしょうから、低利幅商品の返本率は徐々に悪化していくことに。条件面による棚スペースの奪い合いが熾烈化しそうです。
政府、デジタル広告市場の問題や解決策について中間報告・・・プラットフォーム事業者のあり方やパーソナルデータ利用について踏み込む〈Media Innovation(2020年6月22日)〉
https://media-innovation.jp/2020/06/22/interim-report-of-japanese-governments-digital-advertising-market-problems-and-solutions/
政府の意見募集(パブリックコメント)が出ていたので、中間報告書(案)にざっと目を通してみたのですが、パブリッシャー側にも「コストをかけて配信した記事に、メディアのブランドを棄損するような広告が掲載されるリスク」が存在するのに、報告書(案)では広告主側のリスクだけが指摘されている点が非常に気になりました。
実際、HON.jp News Blogで言えば、たとえば「学校図書館」の記事の最後にエロ広告が表示されては困るわけです。だから、事前に管理画面で危険度の高めなジャンルや、場合によっては広告主のドメインでブロックする措置を取っています。「儲かればなんでもいい」というパブリッシャーには、なりたくない。ところが運用型広告は、そういう事前チェックが難しいプラットフォームも多いのだ、という意見を送信してあります。
学校図書館の存在意義とデジタルトランスフォーメーション(DX)〈Romancer(2020年6月23日)〉
https://r.binb.jp/epm/e1_149381_18062020141257/
有山裕美子氏に寄稿いただいたすばらしい論考が、ボイジャー・ロマンサーでデジタルの本になりました。縦書きになってます。
箕輪氏のセクハラ騒動で問題視された「原稿料未払い」問題、契約書がなくても請求可能か〈弁護士ドットコムニュース(2020年6月23日)〉
フリーライターの出版契約トラブル回避テク…無料の企画リサーチを頼まれたらどうする?〈弁護士ドットコムニュース(2020年6月23日)〉
https://this.kiji.is/647965715735512161?c=491375730748638305
本件、世間の目がセクハラばかりに向いているのが気になっていました。もちろんセクハラもダメだけど、原稿料未払いもダメ。HON.jp News Blogでは先月末時点ですでに下請法解説の記事を配信していますが(↓)、法律専門メディアが同じ視点でガッツリ切り込んでくれたのは嬉しかった。
ライター専門誌『ライターマガジン』が創刊!〈NEWSCAST(2020年6月25日)〉
https://newscast.jp/news/068645
このリリース、HON.jp News BlogのTwitterアカウントで流したら、エンゲージメントがそこそこ多かったです(いいね! やRTはそれほど多くないのに、リンククリックが多い)。よくあるようなライターハウツー本ではなく、人気ウェブメディアの編集部に直接、いま必要なコンテンツやライティングの流行などを聞いているとのこと。「Amazonほか、全国書店にて販売」とあるので、他のネット書店でも探してみたのですが、見つからない……7月1日発売です。
海外
米ニュースメディアの「Slate」、収益の半分はポッドキャストから〈Media Innovation(2020年6月21日)〉
https://media-innovation.jp/2020/06/21/slate-half-of-revenues-from-podcast/
サブスクリプションモデルとの合わせ技のようですが、実に興味深い。「ポッドキャストは文脈に沿った記事コンテンツに埋め込む事が効果的」とのこと。記事の最後で「詳細は~」と誘導するのが、続きのテキストではなく、音声メディアだという点がポイントですよね。うまく応用したいところです。
2019年中国出版市場の動向報告(前編)――新刊点数減、ベストセラー志向、既刊書優勢が顕著に〈HON.jp News Blog〉
2019年中国出版市場の動向報告(後編)――オンライン書店・電子書籍・オーディオブックが好調〈HON.jp News Blog〉
https://hon.jp/news/1.0/0/29587
6月30日にJEPAのウェブセミナー(↓)へ登壇する馬場公彦氏による、予習的コラム。国土の広さもあるでしょうけど、リアル/ネット書店の売上比率が日本とは逆なこと。また、新刊点数を国が抑制できてしまう恐ろしさ、などが印象的でした。
ポッドキャスト
運営体制変更に伴い、しばらくお休みし、企画を練り直します。
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