「冬コミ中止」「Twitterで著名人が乗っ取り被害に」「米Amazonで日本の作品が複数販売停止」など、出版関連気になるニュースまとめ(2020年7月12日~18日)

出版関連気になるニュースまとめ
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 2020年7月12日~18日は「冬コミ中止」「Twitterで著名人が乗っ取り被害に」「米Amazonで日本の作品が複数販売停止」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版関連ニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

コミックマーケット99の開催について(2020年7月12日現在)〈コミックマーケット準備会(2020年7月12日)〉

https://www.comiket.co.jp/info-a/C99/C99EventDate1.html
 夏から移行してゴールデンウィークに開催予定だった98は「中止」になりましたが、冬は「開催しない」ことが発表されました。これで、2020年はコミケが無い年に。三密を避けるのが困難なイベントなので、この状況下では致し方ない。なお、ゴールデンウィークにオンライン上で開催された「エアコミケ」の、発展版が検討されているそうです。

「出版界が廃れる前に、合従連衡の心構えを」|アフターコロナの岐路〈週刊東洋経済プラス(2020年7月12日)〉

https://premium.toyokeizai.net/articles/-/24096
 紀伊國屋書店 高井昌史会長兼社長へのインタビュー。会員登録が必要ですが、無料で読めます。Kinoppyについて「まだまだ収益が上がっていない」というコメントがあって、まだ赤字なのかとちょっと衝撃を受けたのですが、言い回し的に「(思っていたほど)収益が上がっていない」という可能性もあると指摘され、なるほど納得。まあ、他にもいろいろ事業がありますから、内部的に経費をどう按分するかによっても変わるでしょうからね。

文部科学省及び厚生労働省、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」を公表〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年7月14日)〉

https://current.ndl.go.jp/node/41502
 読書バリアフリー法に基づく計画。基本方針として「アクセシブルな電子書籍等の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供」「アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上」「視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮」の3つが掲げられています。

ブロックチェーンサービスのGaudiyとマンガアプリのコミックスマートがイーサリアム基盤の電子書籍事業を推進〈TechCrunch Japan(2020年7月14日)〉

https://jp.techcrunch.com/2020/07/14/gaudiy-comicsmart-ethereum/
 新たなブロックチェーン×電子書籍のプロジェクト。「パブリック・ブロックチェーンを活用して所有権の提供」と「書籍データを暗号化した上で各自が所有できる形式」を両立するのは「世界初の試み」とうたっています。実際のところどうなんでしょう? ちなみに今年の2月、東洋経済で掲載された記事「ついに動き出した電子マンガ「中古売買」の成算」(↓)では、メディアドゥ、アソビモ「DiSEL」が取り上げられていました。
https://toyokeizai.net/articles/-/327399

国立国会図書館デジタルコレクションで資料2点が臨時的にインターネット公開:著作権者・出版者及び一般社団法人日本出版者協議会の協力により実施〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年7月15日)〉

https://current.ndl.go.jp/node/41508
 日本出版者協議会は4月に「緊急措置としての国立国会図書館のデジタル化資料の公開について可能な限り協力したいと考えます」という声明を出していましたが、実際に公開が開始されました。良い試み。2点ともこぶし書房で、黒田寛一(通称クロカン)の著書です。国立国会図書館デジタルコレクションで「公開範囲:インターネット公開(許諾)」という珍しい表記を見ることができます。

 本件と前後して、6月26日に開催された文化審議会著作権分科会の資料や議事録が公開されました(↓)。そこでも「絶版等により入手困難な資料をはじめ,図書館等が保有する資料へのアクセスを容易化するため,図書館等に関する権利制限規定をデジタル化・ネットワーク化に対応するものとする」という検討課題が挙がっており、今後の議論が注目されます。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/58/index.html

書籍は要約で済ます……とにかく「わかりやすい」ものを好む社会の罪〈ハフポスト日本版(2020年7月16日)〉

https://this.kiji.is/656264313339954273?c=491375730748638305
 武田砂鉄氏による厳しい意見。もちろん「要約で済ます」ために要約サービスを利用する人もいると思いますが、提供側の思惑としては、要約で興味を惹いて、そのうちの一部でも買う行動へ向かってもらう、ということだと思うのです。本は、読む過程で初めて特徴が理解できる「経験財」なので、要約もメタデータ(周辺情報)の一種と捉えられます。充実させたほうが、結果的に本が売りやすくなる、と思うのですが。「要約で済ます」ような人は、もし要約が無かったとしたら、単に本を買わない&読まないのではないかと。

海外

2019 North American Comics Sales Hit Record $1.21 Billion〈Publishers Weekly(2020年7月13日)〉

https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/comics/article/83842-2019-north-american-comics-sales-hit-record-1-21-billion.html
 2019年北米のコミック市場は約12億1000万ドル(約1295億円)で、うちデジタルコミックは9000万ドル(約96億円)と非常に小さな割合。紙と電子が逆転した日本とは、まったく状況が異なるようです。なお、この統計のデジタルには、サブスクリプションが含まれていません。

Kobo Unlimited subscription system has launched in Canada〈Good e-Reader(2020年7月15日)〉

https://goodereader.com/blog/e-book-news/kobo-unlimited-subscription-system-has-launched-in-canada
 Koboが数年前から、オランダとベルギーだけで試行していたの定額読み放題サービス「Kobo Plus」が、ようやくお膝元のカナダで展開開始。日本にもいずれ来るかな? Amazonのよきライバルとして、もっとサービス競争していって欲しいものです。

バイデン氏など著名人のツイッター、ハッカーが乗っ取りか〈ロイター(2020年7月16日)〉

https://this.kiji.is/656266325803517025?c=491375730748638305
 著名人ばかりが複数、一斉に乗っ取られ、10万ドル以上の暗号資産が詐取されてしまいました。認証済みアカウント特有の問題だったのかもしれませんが、もし自分のアカウントが乗っ取られたらと思うと、今後もTwitterを利用し続けてもいいのかどうか、私でもちょっと考えてしまいます。Twitterが大きく信頼を損ねたのは間違いありません。

焦点:中国の学校で一斉に「有害図書」処分、若者の思想統制へ〈ロイター(2020年7月17日)〉

https://this.kiji.is/656744037491082337?c=491375730748638305
 香港で施行された国家安全維持法によって、民主活動家の著作が公共図書館から撤去が始まったというニュースが流れたばかりでしたが、思想統制の動きは全国的なものになっているようです。ジョージ・オーウェルの『1984年』が撤去されているというのは、いかにも、という感じが。

米Amazonで複数ラノベ作品が販売停止 出版社が抗議、署名運動も〈KAI-YOU.net(2020年7月17日)〉

https://kai-you.net/article/76553
 こちらは巨大プラットフォームによる表現規制。とはいえAmazonはあくまで小売店の1つであり、どういう商品を並べるかは小売店の自由です。とはいえ、電子書籍は本棚が買った店にロックインされてしまうので、続刊が販売停止されるとユーザーとしても辛いところではあります。逆に言えば、他の電子書店はいまが顧客を奪うチャンス!

ブロードキャスティング

 企画を練り直し、ポッドキャスティングではなく、映像あり・週替わりゲストありのインターネット番組を7月26日から配信することになりました。詳細はこちらのリンク先をご覧ください。
https://honjp-broadcasting-1.peatix.com/

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CC BY-NC-SA 4.0
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著者について

鷹野凌
About 鷹野凌 517 Articles
HON.jp News Blog 編集長。NPO法人HON.jp 理事長。明星大学/二松學舍大学/実践女子短期大学の非常勤講師で、デジタル編集論/表象メディア演習/デジタル出版論/デジタル出版演習を担当。出版学会員/デジタルアーカイブ学会員。主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)。アイコンは©鈴木みそ氏
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