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2018年11月12日~18日は「ブックオフがヤフーとの資本提携解消」「苫小牧市立中央図書館が令状なしで警察に利用者情報提供」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
国内
静止画ダウンロードの違法化を推進する理由、講談社の見解〈日経 xTECH(2018年11月12日)〉
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01245/
講談社の優先順位は「リーチサイト規制」>「静止画ダウンロード違法化」>「ブロッキング法制化」とのこと。リーチサイト規制については、政府知的財産戦略本部でも、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会でも、数年にわたって議論が重ねられています。9月10日の委員会議事録はこちら(↓)。論点整理が行われています。
ダウンロード違法化については、静止画のみならず、プログラムなど他の著作物にも対象を広げたいという声が挙がっているようです。音楽・映像と同様、違法だという「事実を知りながら」という要件が入りそう。11月9日の委員会議事録はこちら(↓)。
ところで、この記事の内容とは直接関係ないのですが、有料部分が気になるけど定期購読するほどではない、という場合の選択肢を用意して欲しいと思いました。たとえば、この記事単独で購入可能とする、とか。100円くらいなら喜んで払いますが、この記事のためだけに月額2400円払うのはちょっと辛い。
ブックオフ、ヤフーと資本提携解消 業務提携は継続〈日本経済新聞(2018年11月12日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3765898012112018X30000/
おや? と思ったニュース。「経営環境の変化に合わせた成長戦略を柔軟に進めるため」とのことなので、次の一手が気になります。ブックオフオンラインはすでに1年ほど前からAmazonマーケットプレイスにも出店しており、ヤフーと競合する取引先を制限されていたわけでもなさそうです。
警察へ利用者情報 任意協力の提供に疑問視も-苫小牧市立中央図書館〈Webみんぽう(2018年11月13日)〉
https://www.tomamin.co.jp/news/main/15068/
驚愕したニュース。図書館の自由に関する宣言「第3 図書館は利用者の秘密を守る」の「1. 読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする」という指針が、破られてしまったことに。苫小牧市教育委員会は「文部科学省から違法性はないとの回答を得ている」などと言っているようですが、図書館の自由に関する宣言は法律ではなく、図書館が自らを律し守るべき矜持だったはず。本件、まだあまり話題になっていないことも気になります。
著作権の保護と制限の規定がもうすぐ変わる ~ 保護期間延長、非親告罪化、柔軟な権利制限、教育の情報化対応など、まとめて解説〈HON.jp News Blog(2018年11月13日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14387
多岐にわたる改正でありながら、個別の記事しか出ていないことが気になり、ひととおりまとめた記事を書いてみました。こうやって見ると、権利保護と権利制限のバランスをとっているのだ、ということがよくわかります。株式会社hon.jp時代からの通算で、最も読まれた記事となりました。
電子図書館「青空文庫」を支援する「本の未来基金」が著作権の保護期間延長への考えを公表 ~ 「責任を追及するより、私たちと共に未来への責任を果たして頂きたいと願います」〈HON.jp News Blog(2018年11月14日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14411
本の未来基金からの声明。記事を書いていて、目が潤んでしまいました。抗議しつつも責任は追及せず、未来思考である点がすばらしい。それだけに「未来への責任」という言葉が重い。
アマゾンジャパン、「Kindleインディーズマンガ」の実績を公表 ~ 無料マンガダウンロード数トップ100のうち25作品がインディーズ〈HON.jp News Blog(2018年11月16日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14431
無料マンガのダウンロード数トップ100のうち、25作品がインディーズとのこと。無料でダウンロードしたうち、どれくらいが実際に読まれているのか? が気になるところ。私は、購入した本でさえ積んでしまっているので、無料とか格安だからと手を出さなくなってしまいました。読む優先順位が、無料や安いから買った本だと、どうしても下がってしまうのですよね。
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