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だれもが自由に利用できる電子図書館「青空文庫」の活動を資金面で支援する「本の未来基金」は11月12日、著作権保護期間延長に関する考えを公表した。経緯について抗議をしつつも、責任を追及するより、ともに未来への責任を果たしていこうと呼びかけている。
この声明は、政府が10月30日に、TPP11が6カ国目の批准を得たことにより12月30日に発効することが確定した、と発表したのを受けてのもの。2016年に成立した改正著作権法は、TPP11の発効時に施行されることになっており、これにより著作権の保護期間は「死後50年」原則から「死後70年」原則に延長されることが確定した。
本の未来基金は、青空文庫の呼びかけ人である故・富田倫生氏の遺志を継ぎ、青空文庫を支援するために設立された。そのため声明では、この保護期間延長が青空文庫をはじめとするさまざまな草の根文化活動に対し、悪影響を及ぼすことを懸念している。また、「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」や「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」などで長年続けられてきた議論の蓄積を無視して保護期間が延長された経緯にも、抗議している。
しかし、声明は抗議にとどまらず、「私たちは、政府はじめ期間延長を実現してしまった人々に対し、その責任を追及するより、私たちと共に未来への責任を果たして頂きたいと願います」と続いている。デジタルアーカイブの振興策や、不明権利者対策、作品の流通促進策を、より一層進めることを呼びかけ、「私たち自身も、そうした活動により一層コミットして行きたいと考えます」と結んでいる。
なお、本の未来基金は、富田晶子氏、萩野正昭氏(株式会社ボイジャー)、津田大介氏(一般社団法人インターネットユーザー協会)、福井健策氏(弁護士)、八巻美恵氏(青空文庫)、大久保ゆう氏(青空文庫)の6名によって運営されている。
参考リンク
著作権保護期間延長に関する「本の未来基金」の考え(本の未来基金)