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2019年8月19日~25日は「漫画村模倣犯逮捕」「米アマゾンでフェイク本が横行」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
国内
「漫画村出張所」運営の男性逮捕、「闇金ウシジマくん」のデータを無断販売〈弁護士ドットコムニュース(2019年8月20日)〉
あまりに稚拙な模倣犯。他紙の報道(↓)によると「販売したことは間違いないが、違法だとは思っていなかった」と供述しているそうで、これはむしろ「教育の敗北」なのではないかという気がしています。
自炊代行業が流行り始めたころ、スキャンしたデータをそのまま転売して逮捕された事例があったのを思い出しました(↓)。
学校教材、ICT活用で有償に 著作権で新制度〈日刊工業新聞 電子版(2019年8月22日)〉
著作権法第35条に基づく授業目的公衆送信補償金制度の進捗状況について。なのですが、「新制度を機に『職務著作』の範囲を見直す大学が増えてくるのではないか」「教員が施設や設備など大学の資源を使って生み出した著作物を、個人活動ではなく職務によって生まれたと解釈する」という指摘は、かなりえげつないことになりそうなので勘弁してください。ヘタすると「大学の資源を使っていない著作物」まで権利を奪われそう。
700冊超スマホ閲覧OK!岐阜県図書館が電子書籍〈岐阜新聞(2019年8月22日)〉
紀伊國屋書店「KinoDen」の導入。「電子書籍サービスの導入は東海地方の県立図書館で初めてという」とあり、あれ? と思ってLibrariE&TRC-DLやRakuten OverDriveの導入事例を改めて調べてみたのですが、市立図書館には複数導入事例がありますが、確かに東海地方の県立では無さそうです。都道府県立だと、秋田、山梨、東京、高知、徳島くらいみたい(2018年時点)。
読書感想文の全国コンクール、なんで電子書籍はNGなの?事務局に聞いてみた〈ハフポスト(2019年8月22日)〉
2年前にねとらぼが同じことを取材・記事化しています(↓)が、当時と状況は変わっていないようです。「応募者と同じものを用意することになっており、刊行元である出版社はもちろん、なるべく版までそろえている」というのがその理由。
『ビブリア古書堂の事件手帖』2巻第1話「アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(早川文庫NV)」みたいに結末が異なる事例もあるので、理解はできます。実際、版どころか刷ごとに内容を改訂しちゃっているような本も存在しますし。電子版では現状、強制的に上書きアップデートされてしまうとか、アップデート前の版を購入できないとか、そもそもバージョンがわからないといった理由で“同じもの”を確認できないのは事実なので、そういう問題が解消されない限り、しばらくこの話題は毎年の風物詩になりそうです。
海賊版サイト対策「ブロッキングとDL違法化拡大はやめて」 京都弁護士会が意見書〈弁護士ドットコムニュース(2019年8月22日)〉
政府が、ダウンロード違法範囲の拡大やブロッキングの法制化についての議論を再開しようとしていることから、カウンター的な動きが出ています。今後の動向にも注意。
海外
上海ブックフェアへの出展図書16万種類―中国〈レコードチャイナ(2019年8月19日)〉
上海ブックフェアで「日本を読む」〈新華社通信(2019年8月20日)〉
日本では行われなくなってしまったブックフェア。日本人作家の翻訳作品や、日本文化などを紹介する書籍も多く展示されているそうです。
アマゾンのオンライン書店では著作権無視のフェイク本が横行〈HON.jp News Blog(2019年8月20日)〉
日本のアマゾンでは偽レビューが急増していて問題になっていますが、アメリカでは偽本や海賊版に関する相談が急増しているとのこと。CDの25%が偽物という報道(↓)もほぼ同時に出ており、アマゾンが今後どう対応するのか(しないのか)が注目されます。
日本の漫画家がフランス出版社とマンガを作り、アジアへ逆輸入? -ジャパンエキスポレポート(5/5)〈マンガ新聞(2019年8月23日)〉
当法人のファウンダーでもある西野由季子氏による、フランスのジャパンエキスポレポート連載。最終回のこちらは、森薫『乙嫁語り』や大今良時『聲の形』などをフランスでヒットさせた出版社が、オリジナルのマンガ(バンドデシネではなく)を出版するため日本人作家IPPATU氏を発掘し展開を始めている、というレポートです。
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