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2019年9月9日~15日は「Google検索でオリジナル記事の優先アルゴリズム」「米大手海賊版サイトを出版4社が提訴」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
国内
好調続くタブレット市場、7か月連続の前年比超え〈BCN+R(2019年9月10日)〉
タブレット市場が好調とのこと。スマートフォンの操作に慣れてくると、キーボードレスで充分な用途であれば、パソコンではなくタブレットが選択されるようになりそうです。なお、「情報通信白書」令和元年版(↓出典:総務省「通信利用動向調査」)によると、タブレットの世帯普及率はじわじわ伸び続けて、2018年に40%を超えています。
なお、来年サポートの切れるWindows 7のリリースは2009年で、ちょうどそのころパソコンの世帯普及率がピーク(87.2%)になっています。以降、普及率は下がり続けているわけですが、パソコンは5年から10年で買い換える必要があることを思うと、スマートフォンやタブレットへ移行しているのだな、というのが数字でも見てとることができます。デジタル出版市場にはデバイスの普及状況が大きな影響を及ぼすので、この辺りの情報は要チェックです。
アップル、トリプルカメラ搭載「iPhone 11 Pro」。有機ELディスプレイも進化〈PHILE WEB(2019年9月11日)〉
10.2インチの第7世代iPad登場、3万4800円から〈BCN+R(2019年9月11日)〉
三眼ミッドナイトグリーンのフォルムがあまりにボトムズっぽい新型iPhoneと、エントリーモデルの新型iPad。デジタル出版市場的には、断然後者が気になるところ。「安いタブレットが欲しい」と思ったとき、今後はこの新型iPadが選ばれる可能性が高くなりそうです。
ハイブリッド型総合書店「honto」が電子書籍回し読みサービスの実証実験を開始〈HON.jp News Blog(2019年9月12日)〉
回し読みというか、期間限定で全ページが無料試読できるアフィリエイトという感じ。キャンペーンページの「キャンペーン参加の流れ」には「➀50%OFFクーポンを使用し、電子書籍『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を購入」と書いてありますが、手順的には、先に「紹介プログラム」へ登録しておく必要があります。私はこれに買ってから気づいたので、あとから紹介プログラムに登録したのですが、「②電子書籍無料試し読み版のURLとシェアの手順が記載されたメール」が届きません……。実証実験だからというのもあるでしょうけど、正直けっこうめんどくさいです。あと、332ページの単行本を、読んでから周りへ勧めるにはちょいと期間が短い(10日間)のと、冊数×300ポイントのプレゼントが上限600ポイント(つまり2冊分だけ)というのも気になるところ。実証実験だからというのもあるでしょうけど。
Googleが検索で「オリジナル記事」を優先するアルゴリズム変更を実施〈TechCrunch Japan(2019年9月13日)〉
興味深い動き。なにをもってオリジナルとみなすか、Googleの真価が問われそうです。ヤフーニュースなどドメインの強いサイトへ転載されたとき、転載元が負けて重複コンテンツ扱いにされてしまう現状をできれば変えて欲しい。
本ぎゅうぎゅう、図書館ピンチ!蔵書増加で本棚隙間や靴箱も活用〈京都新聞(2019年9月14日)〉
「本を減らすわけにはいかないが、抜本的な対策も見当たらない」と頭を抱えてらっしゃるとのこと。電子図書館サービスを活用すると、スペース問題を減らせるのでは。物理メディアしか存在しない本や、物理メディアのほうが良い本もあるので、問題を「無くせる」とまでは言いませんが。
大手漫画海賊版サイト「星のロミ」を出版4社が提訴と海外報道 サイトは消滅、閲覧不能に〈ねとらぼ(2019年9月14日)〉
ひとまず吉報。だんだんノウハウが確立されてきた感があります。ちなみに「漫画村」首謀者とされる星野路実容疑者はまだフィリピンで拘束中(釈放・移送などの続報はない)なので、提訴後にサイトが消滅しているということは、こちらについては現時点で星野容疑者が直接運営に関わっているわけではない、ということに。ただ、「漫画村」は星野容疑者の単独犯ではないので、部下に指示してクローンを運営していたとか、元関係者が作ったとか、いろいろな可能性が考えられます。
ミッキーマウスの著作権保護期間 ~ 史上最大キャラクターの日本での保護は2020年5月で終わるのか。2052年まで続くのか ~〈HON.jp News Blog(2019年9月14日)〉
おなじみ、弁護士・福井健策先生によるコラムです。難しい話を軽妙な語り口で解説いただいてます。現時点での法律では、映画の著作物なら公表後70年間、個人による美術の著作物なら死後70年間。ところが、保護期間が複数回延長されていること、個人名義か団体名義かでも異なることから、非常にややこしいことに。
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