「メディアドゥ×トーハンのNFTデジタル特典付き特装版に電子書籍が登場」「CNNのNFTコレクション撤退表明に批判」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #542(2022年10月9日~15日)

中央経済社

《この記事は約 16 分で読めます》

 2022年10月9日~15日は「メディアドゥ×トーハンのNFTデジタル特典付き特装版に電子書籍が登場」「CNNのNFTコレクション撤退表明に批判」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。

【目次】

政治

トルコ「偽ニュース」規制法可決 最大3年の禁錮刑〈共同通信(2022年10月14日)〉

【イスタンブール共同】トルコ国会は13日、与党が提出した「偽ニュース」規制法案を賛成多数で可決した。...

 フェイクニュース規制法が成立。野党から「事実上の検閲ではないか」「表現の自由の侵害につながりかねない」と批判されているそうです。規制の詳細は不明ですが、誰がフェイクか否かを判定するのか? が重要なポイントでしょう。(三権分立できている前提で)裁判所か、あるいは政府とは無関係な第三者機関か。そうでないと「政府にとって都合の悪い事実」が片っ端からフェイクとみなされる可能性があります。もし日本でも「フェイクニュースを規制する」という政治的な動きが出てきたら、表現の自由を守るため最大限の警戒をする必要があるでしょう。

社会

※デジタル出版論の連載はお休みしました。

雑誌掲載の「推し写真」をSNSにアップ、注意しても…頭を抱える出版関係者 法的問題は?〈弁護士ドットコム(2022年10月10日)〉

アイドルの掲載された雑誌電子版をスクショし、ツイッターやインスタグラムにアップする投稿に、出版関係者たちが頭を悩ませている。「スクショをアップするアカウントは数多く存在し、出現しては凍結されたり...

 推し活と称し、雑誌電子版のスクリーンショットをTwitterなどへアップロードしてしまうアカウントが後を絶たないとのこと。雑誌関係者が直接注意をすると、逆ギレされたりブロックされたり、というのがなんとも辛い。こんなのどう対処すればいいんだ。なお法的には、私的使用目的でのスクリーンショットなら合法ですが、SNSへアップロードする目的でのスクリーンショットなら複製権の侵害、アップロードすれば公衆送信権の侵害となります。

E2548 – 国立国会図書館によるオンライン資料の収集範囲拡大について〈カレントアウェアネス・ポータル(2022年10月13日)〉

 来年1月1日から始まる、オンライン資料収集制度拡大についての解説記事。「有償」または「DRMあり」も制度収集義務の対象になります。原則、国立国会図書館の館内閲覧のみ(同時閲覧は1人のみ)で、図書館送信や個人送信の対象にはなりません。個人的には「国立国会図書館デジタルコレクション」や「NDLサーチ」で検索したときに表示される書誌情報(誰でも閲覧可能)に「原資料」や「掲載誌情報」へのリンクが貼られるので、これが少しでも販売促進に繫がるといいなあと思っています。「OverDrive」の「Buy it now」みたいな。

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 ちょっと気になっているのが、こちらの解説では「2023年1月1日以降に発行された」とある点。それ以前に発行済みのものは納入できないのかどうか。できるなら、出版者名は出版当時のもので申請すべきなのかどうか(うちの場合、日本独立作家同盟からHON.jpに変わっている)。あとは、オンライン送信システム「デジデポ」のID・パス発行申請は「メールで問い合わせ」が起点なので、最初はアナログ対応で時間がかかる可能性があること、などなど。10月26日にある国立国会図書館が開催するオンライン説明会に参加予定なので、質疑応答で聞いてみようと思います。

図書館問題研究会、事務連絡「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力等について」の撤回を求める要請を掲載〈カレントアウェアネス・ポータル(2022年10月13日)〉

日本図書館協会(JLA)、「文部科学省からの拉致問題に関する図書充実の協力等の要請について」を公開〈カレントアウェアネス・ポータル(2022年10月13日)〉

 #539でピックアップした「文科省、図書館に異例の御協力要請」の続報です。9月26日のピックアップ時点では「当事者である図書館からの反対声明がいまのところ見つからない」点をちょっと不思議と記述しましたが、図書館問題研究会と日本図書館協会から相次いで声明が出ました。さすがに反対しますよね。ホッとしました。

 2022年9月18日~24日は「文科省、図書館に異例の御協力要請」「インボイス制度本名バレ問題に進展」「Kindle返金ポリシー変更」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。政治文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第3回)〈文化庁(2022年9月20日)〉https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/ch...

経済

若年層のウェブ広告の受容度は想像以上?!広告を価値として届ける4つのポイントとTwitchの有効性〈MarkeZine(マーケジン)(2022年10月11日)〉

 本連載では、急速な成長・拡大を続けているライブストリーミング・サービス「Twitch」の、マーケティングチャネルとしての有用性を様々な角度から解説している。今回フォーカスしたのは、「若年層にアプローチする際のTwitchの有効性」だ。若年層に広告をポジティブに受け入れてもらうためのポイントを紹介する。

 動画広告の話ですが、テキスト広告やバナー広告にも同じようなことが言えるよなあ……と思った記事。若年層に受け入れられる広告として挙げられた4つのポイントのうち、とくに「関連性」は、若年層じゃなくても言えることではないかな、と。要するに、コンテンツとほぼ無関係に表示される追跡型広告(パーソナライズド広告)は不快度が高いですが、コンテンツに関連した広告(コンテンツマッチ広告)は比較的許容されやすいのでは、と。

 たとえば、Facebookの「ストーリーズ」でときどき、誰かの投稿内容に続けて関連広告が流れてくることがありますが、アルゴリズムが絶妙で吹き出しちゃうこともあります。つまり、広告がコンテンツとしても成立しているわけです。逆に、恐らくGoogleの自動広告機能でしょうけど、記事の途中で無関係に挟み込まれる広告は、ただ単に邪魔なだけです。ヘイトを貯めるだけではないかな、と。

CNNがNFTコレクションの「Vault by CNN」のサポートを終了すると発表し騒動に〈Media Innovation(2022年10月13日)〉

 これはNFT関連ですが「技術」というより「経済」の問題でしょう。CNNが報道アーカイブをNFT化して販売するマーケットのサポート終了を発表。「分散ファイルストレージのIPFSでホスティングされている」ので今後もコンテンツへのアクセスは可能ですが、将来構想や機能追加の可能性を示唆していたのに突然打ち切られるため、批判の声が挙がっているようです。NFTマーケットは実態のない期待を煽ってしまいがちなので、うまくいかなかったときの反発がより大きくなってしまうということなのでしょう。既存のサービスより、終了するハードルが高くなっているわけです。昨年以降、日本でもNFTマーケットへの参入が相次ぎましたが、早々に撤退を表明して炎上する事例が近いうちに出てくる予感がします。

メタ、「Instant Articles」を来年4月に廃止へ・・・記事の高速表示フォーマット〈Media Innovation(2022年10月15日)〉

 Meta社はニュース関連から次々手を引いていますね。こんどはモバイルで高速表示するための機能「Instant Articles」が廃止になります。うちも一時期対応しようと思っていろいろ調べてみたんですが、なにかで詰まってしまい断念した記憶があります。「AMP」はWordPressにGoogle公式プラグインがあったので、対応は簡単だったんですが、止めるときは少しだけ苦労しました(リダイレクトを設定したので)。まあ、自分含め、ビッグテックに振り回された方々、ご愁傷さまです。ちくしょう。

技術

絵心いらずで基本無料。AIがやってくれる「Microsoft Designer」アプリ〈PC Watch(2022年10月13日)〉

 Microsoftは12日(米国時間)、AIを活用した新たなグラフィックデザインアプリ「Microsoft Designer」を発表した。すでにWebプレビュー版の提供を開始しており、正式版は基本機能を無料で利用できる予定。加えて、Microsoft 365 Personal/Family契約者向けにはプレミアム機能も用意する。

 入力した文字列から画像を自動生成するAI「DALL·E 2」を組み込んだアプリ。これによって今後、Word文書やPowerPointのスライド資料でいまはまだよく見かけるような挿絵(クリップアート)の利用頻度が激減する可能性があるでしょう。官公庁系の資料はいま「いらすとや」に席巻されていますが、今後はみんなAIイラストになっちゃうかも。実際どんなか試してみようと思ったんですが、現時点ではまだプレビュー版のウェイトリストへの登録ができるのみでした。残念。

“AIが出力しただけ”の作品は収益化NG ニコニコが基準表明 「クリエイター支援の目的にそぐわない」〈ITmedia NEWS(2022年10月14日)〉

ドワンゴが、ニコニコにおけるAIを活用した作品の収益化基準を明示した。AIの生成物をそのまま投稿し、収益を得ることはNGとした。

 AI創作物を否定するわけではないけど、「クリエイターとしての活動の関与が実質的にほとんどないAIからの生成物に対して奨励金の分配を行うことは、収益化プログラムの目的にはそぐわない」というスタンスです。そもそも人間の創作物と判別できるのか? どの程度の関与があれば認められるのか? などの疑問はありつつ、早い段階でスタンスを明確にしておくのは重要なことだと思いました。

メディアドゥなど、電子書籍をNFTで 消費者間で売買も〈日本経済新聞(2022年10月15日)〉

電子書籍取次のメディアドゥと出版取次のトーハンは、世界文化社の過去の連載をまとめた電子書籍を非代替性トークン(NFT)として提供する。男性誌の最新号に特典としてつけ、購入者は電子書籍を他者に販売できる。紙媒体にNFTを付けることで付加価値を高めるほか、電子書籍の2次流通による利益を版元に還元する狙い。男性向けファッション誌「Begin(ビギン)」の12月号で、特典付き特装版として1000冊限定

 世界文化社『Begin 2022年12月号 NFTデジタル特典付き特装版』を購入すると、メディアドゥ「FanTop」でNFTデジタル特典『“ナウ”のトリセツ』電子書籍版と交換できるギフトコードが付いてくるという仕掛け。従来のデジタルアートボードやデジタルフィギュアなどとは異なり、電子書籍の閲覧権そのものが特典対象になっています。詳細は日経の記事より、メディアドゥのプレスリリースを読んだほうがわかりやすいかも。

NFTでデータ保有者を証明・売買可能な“電子書籍”がついに登場!メディアドゥ、雑誌「Begin」最新号特装版に『“ナウ”のトリセツ』電子書籍版をNFTデジタル特典として提供〈株式会社メディアドゥ(2022年10月15日)〉

株式会社メディアドゥ(東証プライム 3678、本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO 藤田 恭嗣、以下「メディアドゥ」)と株式会社トーハン(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 近藤 敏貴、以下「トーハン」)は、人気

 これは、オーナーシップの履歴情報がブロックチェーンに記録されるところまではパブリックですが、コンテンツの閲覧権と二次売買は「FanTop」アプリ内だけに限定されている点がポイントでしょう。従来はアプリ内だとAR写真が撮れるなどの付加価値が享受できましたが、今回のこれはアプリ内でのみコンテンツの閲覧ができる状態になるのだと思います。なぜ「思う」と仮定なのかというと、リリース直後に「e-hon」で買ってみたんですが、本稿執筆時点でまだ物が届いておらず試せていないから。10月18日着予定……。

 なお、既存の電子書店は「閉店したら読めなくなる」問題を抱えていますが、それは「FanTop」も同じです。もし「FanTop」のサービスが終わったら、コンテンツへアクセスできない状態になり、オーナーシップの履歴情報だけがブロックチェーンに残る形となります。だから「所有」という言い回しを使わず「保有」と言っているわけです。まあ、それでも、従来の一般的な電子書店とは異なり「転売可能」で「二次流通の収益が原著作者やパブリッシャーにも還元される」を「実装している(ここ重要)」という意味では、一歩前進と言えるかな?

 あと、まだ試せていない現時点での不安点は、この「FanTop」アプリがスマートフォン向けであること。元がA4変型版の誌面ですから、読むにはちょっと辛そうです。タブレット非対応なんですよね。iPad Pro(12.9インチ型)で「FanTop」アプリを開くと、こんな感じになります。拡大して縦向きにすれば、なんとか読めそう?
FanTopアプリをiPad Pro(12.9インチ型)で開いた状態

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雑記

 日が短くなってきました。散歩コースの一部が川沿いで街灯のない道なのですが、以前と同じ時間なのに真っ暗で怖くなってきました。柵はあるから落ちる心配はないのですが、植え込みに突っ込みそう。そんなとき、スマホのライトが意外と明るくて便利です(鷹野)

CC BY-NC-SA 4.0
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著者について

About 鷹野凌 716 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学デジタル編集論非常勤講師 / 二松學舍大学エディティング・リテラシー演習非常勤講師 / 日本出版学会理事 / デジタルアーカイブ学会会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。
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