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2018年11月19日~25日は「日販・トーハンが物流連携検討開始」「講談社 DAYS NEO インタビュー」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
国内
講談社のマンガ投稿サイト「DAYS NEO」の“婚活サービス”的思想 ~ 「編集者が必要」という作家のファーストチョイスになりたい〈HON.jp News Blog(2018年11月19日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14437
HON.jp News Blogで10月24日に配信した記事《講談社のマンガ投稿サイト「DAYS NEO」に一迅社のコミック編集部が参加 ~ 他社雑誌にも参加を呼びかけ》(↓)を、講談社の方々に連絡したところ、一迅社の参加はそれほど簡単な話ではなかったという返信があり、詳しい話を聞かせてくださいとお願いして、インタビューが実現しました。思想がはっきりしているサービスは、見ていて気持ちがいいですね。
日本出版販売 トーハンと物流連携で検討開始〈日本経済新聞(2018年11月19日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37927970Z11C18A1X30000/
出版物流危機が、とうとうシェア合計8割を握る取次1位2位の連携に。太平洋戦争前後に存在した国策会社、日本出版配給株式会社の復活……とまでは言いません。が、公正取引委員会に事前相談した上での連携とはいえ、出版社との力関係において少なからぬ影響があるものと思われます。とくに両社の株主ではない出版社は、ますます厳しい立場になりそう。結果的に、取次飛ばし、書店との直接取引が進むかも?
アマゾンの雑誌販売、「あわせ買い」拡大で出版社にさらなる打撃〈ダイヤモンド・オンライン(2018年11月20日)〉
https://diamond.jp/articles/-/185876
こちらも物流問題。ヤマト運輸と日本郵便の値上げ、代替の配送網デリバリープロバイダの不評など、アマゾンの中の人にとっても頭が痛いことでしょう。実際のところ出版社側への影響は、アマゾンで雑誌が販売どれくらい売れていて、そのうちどれくらいがあわせ買いなのかに依るとは思います。たまに買う人が利用するのでしょうか? 毎号買うなら、Fujisan.co.jpのような定期購読のほうがお得ですよね。
大手出版4社と出版デジタル機構が慶應SFCと海賊版サイト対抗手段や電子出版技術基盤などを研究する勉強会を発足〈HON.jp News Blog(2018年11月22日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14483
W3C東アジアホストの慶應義塾大学SFC研究所と、KADOKAWA、講談社、集英社、小学館、出版デジタル機構が設立した「Advanced Publishing Laboratory(APL)」。EPUB標準仕様の検討だけが目的だと思っていたのですが、それ以外の活動も射程内に入っていたのですね。海賊版対策に関する検討会議の共同座長を務めていた村井純氏が代表・理事長ですから、ブロッキングの是非を巡って亀裂が生じてしまった出版社とISPなどの関係が、この勉強会を通じて改善していくといいな、と思います。
海外
W3Cなどが、EPUBCheck新バージョンのリリース前に資金援助を呼びかけ〈HON.jp News Blog(2018年11月21日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14477
IDPFがW3Cに吸収されてから、EPUBCheckが開発費・開発者の両面で継続開発が危ぶまれる事態になっているそうです。出版社、電子取次、電子書店など、EPUBを利用している企業は、EPUBCheckに少なからずお世話になっていると思います。ぜひ寄付を検討ください(回し者ではありません)。なお、寄付コースは「1000ドル以上」と設定されていますが、いくらでも構わないようです。
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