「メディアドゥが公式ファンアイテムのNFTマーケットを開始」「TikTokerけんごさんの記事三昧」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #493(2021年10月10日~16日)

角川武蔵野ミュージアム

《この記事は約 11 分で読めます》

 2021年10月10日~16日は「メディアドゥが公式ファンアイテムのNFTマーケットを開始」「TikTokerけんごさんの記事三昧」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

政治

米議会、テック大手に新たな規制案 自社製品優遇など禁止へ〈ロイター(2021年10月15日)〉

(脱字を補いました) [ワシントン 14日 ロイター] - 米議会の超党派議員でつくるグループは、グ...

 まだあくまでそういう法案を提出する方針、という段階ですが。プラットフォームが検索結果で自社商品を有利に操作することなどを禁じる内容です。この直後に、アマゾンが自社商品を優遇しているという報道もあり、狙い撃ちにされている感があります(↓)。

アマゾンは評価の高い競合他社の商品よりも、自社ブランドの商品を頻繁に検索結果で上位に表示しているとの調査結果を、技術ニュースサイトThe Markupが公開した。

 物理店舗が店頭で自社ブランド商品を優遇するのは当然のことだと思うのですが、これがプラットフォームという立場だと許されなくなってしまうという。若干、釈然としないものがあります。サプライヤーにとっては、代替手段がほぼない状況こそが問題なのでは。

社会

TikTokでバズって書籍が重版 小説紹介動画クリエイターの流儀〈NEWSポストセブン(2021年10月9日)〉

 小説につけられた帯の「TikTokで超話題」という文言を見て、頭の中にハテナが浮かんだ。その小説とは、筒井康隆の名作SF『残像に口紅を』(中公文庫)だ。1989年に発表された小説が、なぜ202…

TikTokで書籍を紹介→爆発的ヒット。話題のTikTokerけんごさんが「〈若者の活字離れ〉は間違っている」と言う理由|話題〈婦人公論.jp(2021年10月11日)〉

「〈若者の活字離れ〉とよく言われていますが、僕は間違っていると思っています。映画にしろ、漫画にしろ、アニメにしろ、世界にはエンタメが溢れているじゃないですか。その中で一番きっかけが少ないのが小説。言い...

「この本、どこで買えますか?」中高生の読書離れの現実〈NEWSポストセブン(2021年10月13日)〉

 いまや読書は「マニアックな趣味」なのかもしれない。文化庁が発表した2018年度の「国語に関する世論調査」によると、なんと全国の16歳以上の男女のうち47.3%が1か月に1冊も本を読まないと…

TikTokで話題!小説紹介クリエイター・けんごインタビュー「読んだことのない人の目線に立って」〈ほんのひきだし(2021年10月14日)〉

『残像に口紅を』(中央公論新社)、『さよならの向う側』(マイクロマガジン社)、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(スターツ出版)……。 これらの小説はジャンルも出版社もばらばらですが、一人のSNS投稿から反響を呼び、重版された作品です。 小説紹介クリエイター「けんご@小説紹介」さん(以下、けんごさん)は、TikTokを中心にSNSで小説の魅力を発信しています。 TikTokのフォロワー数は

 BookToker、けんご@小説紹介さんのインタビュー記事三昧。急に露出が増えて大変そう。影響力を利用しようと接近してくる人もいそうなものですが、以前、文春オンラインのインタビューで「TikTokではPR案件はやらないと決めている」と明言しています(↓)。立派だなあ。

TikTokで紹介した小説が次々とヒットする「社会現象」を起こす動画クリエイターが現れた。23歳の社会人1年目の男性、「けんご@小説紹介」(以下、けんご)さんだ。けんごさんが紹介した実験的小説『残像に…

高校生によるコミケ同人誌の転売報告記事が炎上→cakesから削除 イベント主催側が謝罪〈ねとらぼ(2021年10月11日)〉

 またcakesで炎上。なのですが、当該イベント「ハイスクールショーバイ!」の主催・運営は株式会社STOKEで、代表は編集者の柿内芳文さん。転売行為を称賛するようなコメントをしていたDMM亀山会長とSTOKEからは平謝りのリリースが出ているのに対し、記事が載っていたcakesからは「配信・提供元の要請により削除しました。お詫び申しあげます」というツイートのみ(↓)。

 これ、cakesとしては「掲載場所を貸しただけ」に近いスタンスなのでは。そもそもcakesは「メディア」ではなく「コンテンツ配信サイト」と名乗っていて(↓)、「雑誌やウェブサイトなど、さまざまなメディアからのコンテンツが掲載され」る場所という位置づけでもあるのですよね。

クリエイターと読者をつなぐコンテンツ配信プラットフォーム。ビジネス、IT、エンタメ、マンガ、雑誌などを中心に、多彩なジャンルのコンテンツを配信しています。無料でお楽しみいただける記事がたくさんありますが、有料会員(1週間150円)になるとすべての記事をお読みいただけます。

 2年前のイベントレポートをいまになって露出するのは、恐らくプロモーションの一環でしょうし、今回のように外部の編集者がチェック済みのコンテンツなら、cakes側であまりチェックしていなかったとしても不思議ではありません。事実上、「巻き添えを食らった」に近いのかも。ただ、自社編集か他社編集かは読者には関係ない話。「またcakesか」という反応が多く観測されており、そういうイメージが定着してしまったのは残念なことです。

フランス国立図書館(BnF)、マンガに関するワークショップや展示を開催:同館建物外側にマンガ『怪獣8号』巨大展示も〈カレントアウェアネス・ポータル(2021年10月13日)〉

 国立教育青年省とフランス国立図書館が共同出資した「BDnF – La fabrique à BD」というバンド・デシネ制作のデジタルツールが無料公開され、ワークショップなども開催されています。「2020, année de la BD(2020年はバンド・デシネの年)」というプロジェクトの一環とのこと。図書館でデジタル出版のワークショップ、やってみたいですねぇ。以前、八戸ブックセンターで講師をしたことはあるんですが(↓)。
https://8book.jp/bookcenter/761/

経済

【犯罪最前線】映画だけじゃない 急増する「ファスト」コンテンツ〈産経ニュース(2021年10月10日)〉

映画の内容を10分程度に短く編集し、無断で動画投稿サイトなどで公開する「ファスト映画」が流行し問題視される中、書籍や漫画など、映画以外のコンテンツでも「ファスト…

「ファスト映画みたい」「法的にどうなの」――Twitterで増加する「ビジネス本図解アカウント」は違法? 弁護士、図解製作者に見解を聞いた〈ねとらぼ(2021年10月15日)〉

スキマ10分の奪い合い 「要約コンテンツ」は正攻法で生き残れるか〈朝日新聞デジタル(2021年10月10日)〉

■メディア空間考 赤田康和 2時間近くに及ぶ映画本編を10分程度に圧縮した違法動画「ファスト映画」の摘発が話題になったが、書籍の世界でも「要約コンテンツ」が人気だと聞いて、現場を訪ねた。 東京都千代田…

 #492 でayohataさんのニュースレターをピックアップしたファスト映画の書籍版、無断「図解」騒動について、産経・ねとらぼでも報道されているのを見つけました。また、朝日新聞社会部記者の赤田康和さんが、公認要約サービスを展開しているフライヤー大賀康史さんにインタビューしています。

 後者の記事本文からはこの騒動との直接的な関係は読み取れないので、たまたま偶然このタイミングになったのかもしれません。ただ、違法になる可能性を考慮しないまま外形だけ真似して無断で要約しちゃう人は今後も断続的に現れると思うので、許諾を取って要約しているのだという広報は今後も引き続き必要でしょう。

LINEとNAVERのコミック事業を改めて整理してみた Publidia #30〈Publidia(2021年10月11日)〉

 私が #491 で「ややこしい」と嘆いていたのを受けて、かどうかはわかりませんが、ayohataさんがニュースレターでLINEとNAVERのコミック事業まわりを整理してくれました。ありがたや。

 しかしこれ、グループ内移転を経た2022年3月予定の図では、イーブックイニシアティブジャパンがLINE Digital Frontierの「100%」子会社になると示されているんですね。9月30日リリースのLINE Digital FrontierによるTOB開始時点では、ヤフーの持っている株式43.18%は「除外」されているのですが。ちょっと意図が読みづらい。うーむ。

ネット広告詐欺の被害深刻 クリック水増し、犯罪収益に〈日本経済新聞(2021年10月15日)〉

インターネット広告の閲覧数を水増しして広告費をだまし取るなどの「アドフラウド」(広告詐欺)被害が深刻化している。ネット広告のうち、こうした被害に見舞われた割合は約3%と主要国で最悪の水準。海外では対策サービスの導入が進むが、日本では閲覧数を増やすことにこだわるあまり、対応が遅れている。犯罪収益につながりかねない。「1カ月で1600件以上、埼玉県内の同じサーバーからアクセスがあります。広告の閲覧

 いわゆる「アドフラウド」問題について。アメリカの広告監査大手IASによると、日本は約3%がアドフラウドで、調査対象の主要20カ国で最悪とのこと。いかに安い単価で配信数やクリック数を増やすかが重視されがちなので、ボット対策のサービス導入には消極的なのだそうです。

 これ、Google AdSenseの場合、お支払い情報のところに「無効なトラフィック」というのが出てくるので、Google側でボットを検出して除外処理を行っているのがわかります。だからGoogleに任せおけばいいのだと思っていたのですが、改めてヘルプを確認したところ「最終的な責任はサイト運営者」と明記されていることに気付きました(↓)。

AdSense publishers are ultimately responsible for the traffic on their ads. For this reason, it’s critical that you diligently monitor your ad traffic to ensure that your account is compliant with o

 疑わしいIPアドレスからのアクセスを、自身で直接ブロックするなどの対策も必要なのですね。知らなかった。HON.jpでは、AdSenseのような運用型広告はもう止めましたが、予約型広告枠のためにGoogleアドマネージャーの利用は続けています。Googleが提供しているパブリッシャー向けのリソース(↓)を見つけたので、じっくり確認してみたいと思います。

技術

推しのデジタルデータが“私のもの”に。大手が仕掛けるファン特化NFT「FanTop」〈Impress Watch(2021年10月12日)〉

メディアドゥは、マンガ・アーティスト関連グッズや本の付録など、さまざまなファン向けアイテムをデジタル化して提供するプラットフォーム「FanTop」(ファントップ)の提供を開始した。

 メディアドゥがNFTマーケットプレイス「FanTop」のサービスを開始。コンテンツホルダーが公式に提供するファンアイテムをNFT化して扱う場所ということで、他社がやっているような「誰でも出品できる」投機的な取引所とは一線を画した感じです。妙な煽りやミスリードを誘うような真似もしておらず、安心しました。

 9月に先行して「週刊SPA!」の購入特典でNFTファンアイテムが貰えるようになるというリリースがありましたが(↓)、特典として貰えるだけでなく、購入もできるし、いずれユーザー間での共有・譲渡・売買もできるようになるとのこと。

扶桑社は、世界初となる、「NFTデジタル特典」付録付きの「週刊SPA!(10/19・26合併号特装版)」を、10月12日に発売する。価格は660円。

 仮想通貨ではなくクレジットカードでの日本円決済に対応していること。Flowブロックチェーンを利用しており、イーサリアムチェーンで問題になるGAS代(取引手数料)がかからないことなどが特徴となっています。3D・AR・VRビューア機能も、年内にはリリース予定とのこと。

 複数のファンアイテムが入ったボックスは、どれが当たるかはランダムとなっており、重複する可能性もあります。試しに2つ購入してみましたが、見事にダブりました。なんという引きの強さ(弱さ)。ガチャというか一番くじに近い方式ですが、欲しいのが出るまで買い続けるみたいな行動が起きそうで、ちょっと怖いかも。そのぶん、余剰を売るとか不足を買うって需要も生まれそうではありますが。

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雑記

 数日前まで汗ばむような陽気が続いていましたが、急に涼しくなりました。さすがにそろそろTシャツ1枚で外出するのは厳しくなりそう。北海道では初雪が観測され、初冠雪の便りも続々届いているようです。急な気温の変化で体調を崩しやすい季節。ご注意ください(鷹野)

CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0
※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

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著者について

About 鷹野凌 602 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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