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「マイアミ・ヘラルド」「サクラメント・ビー」など30の地方紙を抱えるマクラッチー社は、退職年金の支払いができないことなどを理由に、7億ドルもの累積赤字解消への布石として会社更生法を申請した。
2006年にライバルの新聞チェーン、ナイト・リッダーを45億ドルで買収したマクラッチーだが、ここ10年ほど赤字が続いている。デジタル化の波でと不況のせいで新聞業界が暗転し、2020年末までに全ての新聞で土曜日版を廃止することを発表した。
マクラッチーの新聞は近年、風刺漫画や調査報道部門でピューリッツァー賞をとっている。MITメディアラボの伊藤所長が退陣に追い込まれたジェフリー・エプスティンの未成年買春スキャンダルも、過去の事件を掘り起こし、再調査したのはマクラッチー傘下のマイアミ・ヘラルド紙だった。
アメリカの新聞業界は衰退しており、2004年以降、全米の4紙に1紙(週刊紙含む)が廃刊となり、その間に従業員数は半減したとニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。
前世紀には家族経営のビジネスだった新聞社だが、今はヘッジファンドが親会社になっているところが多い。国内最大のチェーンであるガネット社はプライベート・エクイティーのフォートレス投資グループの経営で、孫正義のソフトバンクが所有するゲートハウス・メディアと合併している。大手新聞社のメディアニュースグループも所有者はヘッジファンドのアルデン・グローバル・キャピタルで、シカゴ・トリビューンを含むトリビューン社の最大株主でもある。
参考リンク
マクラッチー社のサイト
https://www.mcclatchytransformation.com/
ニューヨーク・タイムズの記事
https://www.nytimes.com/2020/02/13/business/media/mcclatchy-bankruptcy.html
米地方紙大手2社が合併、250紙以上を抱える大所帯に〈HON.jp News Blog(2019年8月8日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/25910
【コラム】ローカル紙合併にみるアメリカ新聞産業の苦境〈HON.jp News Blog(2019年8月11日)〉