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2020年2月23日~3月1日は「2019年コミック市場は前年比12.8%増」「侵害コンテンツダウンロード規制法案解説」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
ポッドキャスト
国内
2019年コミック市場は紙+電子で4980億円、前年比12.8%増と急成長 ~ 出版科学研究所調べ〈HON.jp News Blog(2020年2月26日)〉
ちょうど1年前に、コミックの紙と電子の市場は「恐らくこのままいけば2019年には逆転するものと思われる」と書きましたが、予想通りとなりました。記事への反響も、「場所をとらないのが良い」など、なぜ電子を選ぶか? を述べる声がほとんどで、数年前までとは隔世の感があります。
JEPA、固定レイアウト電子書籍も推進していく意見公告を発表 ~ アクセシビリティ担保のためAIデータ活用コンソーシアムとも協働〈HON.jp News Blog(2020年2月26日)〉
過去の出版物はリフロー型にするハードルが高いので、固定レイアウト型での電子化を推進しよう、ただしアクセシビリティ確保のためAI-OCRの精度向上も図ろう、という意見公告。正しい方向性と思います。支持。
障害者の進学や就労を後押し 読書バリアフリー計画案まとまる〈共同通信(2020年2月26日)〉
読書バリアフリー法に基づく、政府の基本計画案がまとまった、とのこと。正式決定は5月の予定。どういう施策を打ち出すのか。本稿執筆時点で文科省・厚労省どちらのサイトにも、まだ公開はされていないようです。
侵害コンテンツのダウンロード違法範囲拡大は、どういう目的で導入されようとし、どういう制度になろうとしているのか?〈HON.jp News Blog(2020年2月27日)〉
共同通信や産経新聞などが「自民党の合同会議がダウンロード規制法案を了承」という記事を配信、あまりに脊髄反射的な反響が多く見られたのと、同時に行われるリーチサイト規制についてまったく触れられていないのが気になり、現時点でわかってる範囲のことを整理してみました。8000字超ありますが、結構読んでもらえました。
解説した中で実は大きな変化と思うのは、“権利者が「あそこにあるのは違法ファイルだ!」とか「あそこは違法サイトだ!」と、名指し” できるようになること。現状は、違法アップロードされているコンテンツのダウンロードは合法(音楽映像を除く)なので、海賊版サイトの名前を出すとダウンロードが助長されてしまう恐れがありました。
もしこのまま改正されたら「違法にアップロードされたファイルだと知っててダウンロードしたら違法」なので、権利者側は「あそこは違法サイトです! ダウンロードしたらあなたも著作権侵害です!」とアナウンスできるし、アナウンスすることが抑止効果にも繋がる、というわけです。これは結構大きいのではないでしょうか。
ただ、ストリーミング配信の海賊版は、改正後も閲覧は合法なので、残念ながらアナウンスでは抑止できません。ブロッキングの法制化という道は断たれています。そこで、Cloudflare社のようなCDNに働きかけをし、アクセス集中時の負荷分散ができないようにしました(↓)。関係者の方々の苦労が、ようやく結実した感があります。
近代科学社Digital、理工系教科書の原稿を募集するプロジェクトを3月1日から開始〈HON.jp News Blog(2020年2月27日)〉
大学、高専、専門学校の向けの理工系・情報系教科書。昨年夏に続く、2度目の募集です。9月以降の授業で使う教科書用に。私が担当しているデジタル出版論/編集論はさすがに対象外かなあ?(情報系に入る?)
JR東日本、新幹線の車内Wi-Fiで「dマガジン」「ブックパス」などを無料配信〈ケータイ Watch(2020年2月27日)〉
新幹線などで利用できる無料Wi-Fi「JR-EAST FREE Wi-Fi」を利用したコンテンツ配信サービス「noricon」での配信。無料で利用できます。コンテンツの入れ替えは配信サービス側次第と思いますが、対象サービスの入れ替えもあるようです。乗車時間の奪い合いですね。
カクヨム、「カクヨム2020夏物語」コンテスト3月27日から開催〈HON.jp News Blog(2020年2月28日)〉
スポーツ・キャラクター小説、ゲーム・冒険小説、SF・ミステリー小説の3部門で募集です。読者の評価を加味する読者選考期間が応募締め切りと同時に終わるので、締め切り間際の応募というのは厳しそう。この辺りが普通の文学賞とは異なる点ですね。
海外
新型コロナウイルスが世界各地のブックフェアにも影響〈HON.jp News Blog(2020年2月26日)〉
イタリア、台北が延期。ロンドンは予定通り開催されるようですが、日本の出版社が参加を取り止めたりしているようです。日本だけでなく、世界的に経済活動が滞ってしまいそうでヤバイ……。
【更新】英ウォーターストーンズが書店員のベア6.2%へ〈HON.jp News Blog(2020年2月27日)〉
最低賃金ではなく「生活賃金(最低限必要な生活費から算定した賃金)」が引き上げられたことへの対応。ちなみにベア=ベースアップ(基本給引き上げ)です。熊ではありません。
米取次最大手イングラム傘下のPODサービスが違反コンテンツを削除へ〈HON.jp News Blog(2020年2月27日)〉
日本でも以前、PODと納本制度を悪用した「亞書」事件がありましたが、ああいうのがもっと膨大な数出版されちゃってるという感じでしょうか。Good e-Readerのマイケル・コズロウスキーは「インディー著者がゴミでエコシステムを破壊している」と過激な論調です。
英ブッカー賞国際部門に小川洋子『密やかな結晶』がノミネート〈HON.jp News Blog(2020年2月28日)〉
日本では1994年に出版された作品。ノミネート作品は4月20日までに絞られ、5月20日に最優秀作品が発表されます。さてどうなるか。
あとは読むだけ、本屋さんでお供をしてくれるロボットはいかが?〈HON.jp News Blog(2020年2月28日)〉
動画を見てると、なごみます。「とある」シリーズ学園都市のお掃除ロボットっぽい。
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