Cloudflare社、海賊版サイトでの著作権侵害が裁判所に認定されたらデータ複製を中止する条件で出版大手4社と和解

出版広報センターのリリース
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 出版広報センターは2月20日、アメリカの電気通信事業社 Cloudflare,Inc. が管理する日本国内のサーバーで著作権侵害が行われていると裁判所が判断した場合、データの複製を中止するという条件で、KADOKAWA、講談社、集英社、小学館の4社と和解が成立していたことを発表した。

 Cloudflare社はコンテンツ配信ネットワーク(CDN:content delivery network)大手で、日本語サイトでのシェアは1位(J-stream調査:019年10月時点)。大量のユーザーがアクセスしてもコンテンツ配信が滞らないよう、サーバーを分散設置するサービスなどを提供している。

 出版大手4社は2018年8月の時点で東京地方裁判所に対し、Cloudflare社のサーバーを利用している悪質な複数の海賊版サイトの、データ送信差し止めを求める仮処分の申し立てを行っていた。東京地裁で審尋した結果、2019年6月には4社との和解が成立していたという。

 和解条件は、4社が指摘した海賊版サイトで著作権侵害が行われていると裁判所が判断した場合、日本国内にあるCloudflare社のサーバーでのデータの複製を中止すること。CDNがデータ複製を止めると、海賊版サイトの表示速度が遅くなったり、アクセス集中によるサーバー負荷でサイトが落ちたりと、閲覧が困難な状態に陥ることが想定される。

 4社はこれまで「漫画村」の後継とされた「星のロミ.org」など、Cloudflare社のサーバーを利用していた複数の海賊版サイトについて、複製中止措置の実行または準備を進めていたが、アメリカでの訴訟を提起した段階でサイトが閉鎖されるなど一定の効果が上がっていたため、詳細の公表を控えていたという。

 しかし、海賊版サイトがCloudflare社のサービスを利用しようとする動きはその後も続いており、Cloudflare社とのあいだで対応策がすでに構築されていることを知らしめることが警告になると考え、発表するに至ったという。

 なお本件とは別に1月7日に、株式会社竹書房がCloudflare社に対し民事訴訟を提起、東京地裁に受理されたことを発表している(記事)が、大手4社が既に和解していることから、恐らく竹書房も同様の条件で和解ができるのではないかと思われる。

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HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学デジタル編集論非常勤講師 / 二松學舍大学エディティング・リテラシー演習非常勤講師 / 日本出版学会理事 / デジタルアーカイブ学会会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。
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