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株式会社ボイジャーは2月19日、同社が進めている「片岡義男 全著作電子化計画」の一環として、片岡義男氏の小説作品449点の電子書籍版を「国立国会図書館デジタルコレクション」へ提供、館内限定閲覧が可能になったことを発表した。
国立国会図書館は2013年7月から、インターネットなどで出版(公開)される電子情報で、私人が発行した「図書または逐次刊行物に相当」する電子書籍や電子雑誌などを収集・保存している。いわゆる「電子納本」だ。紙の本や雑誌などの納本制度と同様、日本の貴重な文化財として収集・保存し、将来にわたって利用を可能とすることを目的としている。
紙の納本制度は発行者に納入義務があるが、電子納本に関しては電子出版市場への影響を考慮し、対象は「無償かつDRMのないもの」に限定されていた。実際に販売されているDRM付きの電子書籍・電子雑誌を、館内閲覧可能な形にすると電子出版市場へどのような影響が出るかを調べるため、2015年12月から「電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業」が行われていた。なお、ボイジャーもこの実証実験に参加していた。
この実証実験は、一般社団法人日本電子書籍出版社協会(電書協)が受託し、国立国会図書館の館内端末で公開する実験が2期50カ月にわたって行われ、今年の1月31日に終了している。ところが、国立国会図書館で行われている納本制度審議会の議事録によると、電書協が収集・保管・利用提供を行う「リポジトリ」を立ち上げることで、提供義務の適用除外とする申し出があったという。
これを受けボイジャーは国立国会図書館へ問い合わせ、デジタル出版物の公的機関による永久保存を実現すべく、独自に電子納本を行うことにしたという。今後、小説以外の片岡義男氏の作品もすべて提供する予定。また、同社のデジタル出版サービス「Romancer」を利用している作家の作品も、国立国会図書館へ提供していく考えだ。
参考リンク
ボイジャーのプレスリリース
https://www.voyager.co.jp/info/press-release/2020/2020_0219/pressrelease.html
電書協 電子書籍・電子雑誌収集実証実験についてのページ
http://ebpaj.jp/counsel/ndl
国立国会図書館 電子書籍・電子雑誌収集実証実験についてのページ