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一般社団法人日本電子出版協会(JEPA)は2月26日、意見公告「日本の電子出版をさらに成長させるために 固定レイアウト電子書籍の推進」を発表した。
これは、JEPAが従来から推進してきた「リフロー型EPUB」に加え、以下の4項目を推進するというもの。
- 画像PDFまたは固定レイアウトEPUBでの電子出版物の普及促進
- 上記と並行し、AIを使った日本語OCRの精度向上
- テキストPDFでの電子出版物の普及促進
- 上記と並行し、テキストPDFでの読上げなどアクセシビリティの向上
JEPA設立時に掲げられたテーマの1つに「絶版がない世界」がある。現在は、多くの出版物がデジタル化されつつあるものの、マンガが市場を牽引していて文字モノの電子化はあまり進んでいないこと、文字種が多くOCRの認識率がアルファベットより劣ること、DTPへの移行が欧米より20年以上遅れたこと、大手出版社による寡占化が進まず中小出版社が多いことなどが、日本と欧米の状況の差異という。
また、過去に発行された書籍の多くは、テキストデータがクリーンに保存されていない。そのため、現在主流のリフロー型EPUBでの電子化は困難で、電子化するコストが需要に見合わないという。そのため、日本の出版業界隆盛期である1960年代から2000年代に作られた書籍の多くが、テキスト化できないまま取り残されている。また、欧米に比べると、複雑なレイアウトやページ参照の書籍も多いことが、電子化の障害になっているという。
このためJEPAは、リフロー型だけでなく、固定レイアウトでの電子出版普及促進に貢献したいと、今回の意見公告に至った。紙でしか存在しない書籍をスキャン画像でデジタル化、固定レイアウトでの電子書籍として配信を促進。アクセシビリティを担保するため、AIデータ活用コンソーシアムと協働し、AIを使ったOCRによるテキスト抽出の調査研究を行うとしている。
JEPAは、1986年の設立。CD-ROM出版、Unicode、文字フォント、マルチメディア、読書端末、インターネット、日本語組版などの標準化や普及促進活動を行ってきた。2010年には、総務省「EPUB日本語拡張仕様策定」に参加し、W3Cへ縦書きやルビなどの日本語組版を提案。2011年には主要ブラウザに実装され、リフロー型EPUBの普及に貢献してきた。
参考リンク
日本電子出版協会の意見公告