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2018年12月17日~23日は「超党派議員連盟、読書バリアフリー法案提出へ」「Yahoo!ブックストアがebookjapanに統合へ」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
国内
“視覚障害者が読書しやすく”法案提出へ 超党派の議員連盟〈NHKニュース(2018年12月17日)〉
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181217/k10011749371000.html
障害者読書環境整備推進法(通称、読書バリアフリー法)案が、来年の通常国会に提出される見込みです。電子図書館普及への追い風になるか。
凸版印刷、AI技術を活用した自動校閲・校正支援システムの実証実験をみずほ銀行と開始〈HON.jp News Blog(2018年12月17日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14671
「AI(機械学習)」を活用した校正・校閲支援システムといえば、少し前(HON.jp News Blogが本格稼働する前)に、リクルートの「AI校正」が驚異的な効果という記事になっていたのを思い出しました(↓)。
https://trend.nikkeibp.co.jp/atcl/contents/18/00011/00004/
AIという言葉が半ばバズワード化しているだけに、ジャストシステムの「Just Right!」や講談社×NECの「SmartSourceEditor」(≒出版デジタル機構の展開している「Picassol」)のなどの従来型校正支援ツールと比べ、どの程度優秀なのかが気になります。
コミックシーモアが「タテヨミ」に対応、comicoオリジナル作品の配信を開始 ~ セルシス「CLIP STUDIO READER」が採用〈HON.jp News Blog(2018年12月17日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14704
記事末尾のオピニオンにも書いたのですが、comicoがウェブトゥーンを未加工で「販売」できる販路を拡大している、という点に着目すべきでしょう。ほんの数年前、comicoについて「結局、紙にしなきゃ売れないんでしょ?」と揶揄する声を多く耳にしたのを思い出します。
多様化するウェブ雑誌のライターらが労組結成〈HON.jp News Blog(2018年12月18日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14713
興味深い動き。ライターは非正規雇用も多いでしょうから、日本で言う合同労働組合(ユニオン)でしょうか。日本の出版まわりはどうなんだろう? と思い調べてみたら、1987年発足の「ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)」という、出版関連産業でフリーランスとしてはたらく編集者、ライター、校正者、デザイナー、イラストレーター、カメラマンなど自立した職能人のユニオンがあることを知りました(↓)。出版労連加盟しているんですね。組合費は月2000円とのことです。
文藝春秋、2018年の電子書籍ダウンロード数ランキングを発表 ~ 合本の強さと電子オリジナル作品の台頭が特徴〈HON.jp News Blog(2018年12月19日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14724
この時期、ランキング系のプレスリリースがたくさん届くのですが、HON.jp News Blogではとくに変わった動きがない限り取り上げないことにしています。ただ、この文藝春秋のダウンロード数ランキングは、オピニオンにも書いたとおり、文字モノ中心の電子出版できっちり成果を出している事例がまだ珍しいため、取り上げることにしました。
好きな本を誰かにギフトとして贈ることが可能な電子書店〈HON.jp News Blog(2018年12月20日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14756
クリスマスシーズンということもあり、こんな特集記事を書いてみました。金券的なギフトカードではなく、任意の本を誰かにプレゼントできる電子書店って、意外と少ないのです。AmazonもGoogleも、日本は未対応という悲しみ。他社にも広がって欲しいところ。
「Yahoo!ブックストア」が来春、「ebookjapan」へ統合 ~ その前準備として本棚連携機能が追加〈HON.jp News Blog(2018年12月20日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14767
JEPAの忘年会でイーブックイニシアティブジャパンの小出社長にお会いしたとき、「2年越しでやっと統合できました」という安堵の声が聞けました。おめでとうございます。私が11月7日付の記事「ヤフーの膨大なデータをフル活用し、ユーザーの嗜好やTPOに合わせたレコメンドを」(↓)を取材した時点で、すでに統合方針は確定していたのですが、インサイダー情報になってしまうため言えなかったとのこと。まあ、そりゃそうでしょうね。
E Ink搭載Androidタブレット「BOOX」に新モデル3機種〈ケータイ Watch(2018年12月21日)〉
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1159719.html
ONIX「BOOX」シリーズの新型が登場。Android 6.0搭載でGoogle Playに対応している、数少ないE INK端末です。要するに、Androidアプリのある電子書店(ほとんどが該当すると思われます)ならどこでも使える汎用性の高い端末。最廉価モデルが2万3800円(税別)と、ちょっと手を伸ばせば手が届きそうな価格帯になってきました。買っちゃおうかな……。
海外
海賊版教科書にアマゾンがおとり捜査で鉄槌、あおりを食らう古書店も〈HON.jp News Blog(2018年12月17日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14711
電子版ではなく、紙版の海賊版教科書の話。アメリカの高等教育課程の教科書が非常に高価であるという点が、こういう闇ビジネスの跋扈を生みだしてしまっているようです。それにしてもアマゾン、おとり捜査なんてやるんですね。
大笑いで読み聞かせするスコットランドのおばあちゃんが児童書ヒットメーカーに〈HON.jp News Blog(2018年12月21日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14775
読み聞かせをしながら、ツボに入っちゃったんでしょうか。孫を抱えて大笑いしているばぁばがほんとに楽しそうな動画です。一見の価値あり。日本の場合、読み聞かせは口述権なので、非営利無償の対面方式なら問題ありません(著作権法第38条)。が、YouTubeなどへアップロードする場合は、公衆送信権が絡んでくるのが厄介なところ。アメリカならフェアユースでOKなんですが、日本の法律ではこういう場合の例外規定がないのです。
インスタグラムはインディペンデント書店を救うか〈HON.jp News Blog(2018年12月23日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/14778
アメリカの独立系書店が元気なのは、InstagramなどのSNSを使って「地域」のコミュニティに密着しているから、という話。インターネットは距離と時間を縮めますが、それは、近しい人とはより密なコミュニケーションができる、ということでもあるのだと思います。
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