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株式会社文藝春秋は12月18日、同社の電子書籍編集部が扱っている約4100点のラインアップの、2018年におけるダウンロード数を元に集計したランキングを発表した。また、ランキングをまとめた無料冊子『2018年文藝春秋電子書籍ベスト100』を、各電子書店で配信している。
ベスト10は以下のとおり。
1位 宮下奈都『羊と鋼の森』
2位 村田沙耶香『コンビニ人間』
3位 又吉直樹『火花』
4位 若林正恭『ナナメの夕暮れ』
5位 村上世彰『生涯投資家』
6位 関口賢『月曜断食 「究極の健康法」でみるみる痩せる!』
7位 川村元気『億男』
8位 先崎学『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』
9位 島本理生『ファーストラヴ』
10位 テレビ朝日『土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」公式ブック』
1位の『羊と鋼の森』は、映画化によるメディア露出が増え認知度が高まったことが要因とのこと。文藝春秋では紙版と電子版をほぼ同時に発売しており、話題になっているときに売り逃さない状況を実現しているという。
合本は高価格になるが、ポイントバック施策などがあると動きがよくなるとのこと。ベスト100に司馬遼太郎作品の『合本 坂の上の雲(全八巻)』(21位)、『合本 竜馬がゆく(一)~(八)』(23位)、『合本 燃えよ剣(上)(下)』(30位)、『合本 翔ぶが如く(一)~(十)』(73位)の4タイトルがランクインしている。
また、ベスト100のうち13作品が電子オリジナル作品。安彦良和『我が名はネロ 1』(15位)、阿部智里「八咫烏シリーズ」外伝7タイトル、デジタル原色美女図鑑シリーズの『山崎真実 Black』(24位)と『渡辺麻友 ひとりだち』(25位)、『ゲゲゲの鬼太郎 CHARACTER BOOK ねこ娘大全』(93位)など。
オピニオン
印刷メディアビジネスの総合イベント「page2017」でJAGATが開催したカンファレンス「デジタルメディア時代の出版ビジネス最前線」に文藝春秋電子書籍編集部長の吉永龍太氏が登壇、「電子は利益率が高いので積極的に推進している」「2016年の電子の売上は、2007年の68倍になった」「『火花』電子版は累計17万ダウンロード」「うちは儲かっています」といった話を聞けた(詳細はINTERNET Watchへ寄稿した記事を参照)。いまはまだ電子版に積極的でない出版社も、他社の成功事例を見れば前向きになり、結果として電子出版市場もさらに広がっていくと思われるため、このランキングも記事にすることにした。文字モノ中心の電子出版できちっと成果を出している事例が、もっと増えて欲しいものだ。
参考リンク
文春e-Books『2018文藝春秋電子書籍ベスト100』 | 電子書籍 – 文藝春秋BOOKS