「集英社チャット小説アプリ誕生秘話」「電子書籍に反対していた宝島社が電子化を解禁した理由」など、出版業界気になるニュースまとめ #378(2019年6月17日~23日)

出版業界気になるニュースまとめ

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 2019年6月17日~23日は「集英社チャット小説アプリ誕生秘話」「電子書籍に反対していた宝島社が電子化を解禁した理由」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

第10回教育ITソリューションEXPOが開催 ~ 展示会場フォトレポート〈HON.jp News Blog(2019年6月23日)〉

 6月19日から21日まで、東京ビッグサイト青海展示場にて「第10回 学校・教育 総合展(EDIX)」が開催されている。主催はリード エグジビション ジャパン株式会社。同展内の「教育 ITソリューション EXPO」で展示されていたデジタル教科書・教材の配信システムなど、筆者が気になったものを中心にフォトレポートをお届けする。※写真はクリックで拡大します丸善雄松堂株式会社 丸善雄松堂株式会社は、学術・研究機関向けの電子...

 デジタル教科書・教材やそのビューア、電子図書館など、本(HON)に関連するブースを中心に回ってきました。このイベント、どんどん規模が大きくなっていて、半日ではとても回りきれません。当レポートでは触れていませんが、電子黒板やプログラミング教育などの展示も多かったです。

一人のファンとして、著者の新たな一面と出会えた日〈HON.jp News Blog(2019年6月20日)〉

 5月12日に東京ビッグサイト・青海展示棟で開催された、オリジナル作品展示即売会「COMITIA128」。COMITIAは「創作物の発表の場」として、頒布物をオリジナル作品に限定しているのが特徴だ。そこへ訪れた人はなにを求め、そして、どんな本と出会ったのだろうか? 小桜店子氏に寄稿いただいた。あなたのことを、もっと知りたい『私の東京藝術大学物語』発行:polocco著者:川崎昌平【告知】コミティア128の新刊『私の東京藝術...

 「COMITIAでこんな本に出会いました」というテーマで、小桜店子氏に寄稿いただきました。川崎昌平氏によるエッセイ同人誌『私の東京藝術大学物語』についてです。川崎氏から記事にコメントをいただき、再販希望が結構あるので8月のCOMITIAで2刷を用意する、とのこと。行かねば。

集英社初のチャット小説アプリ「TanZak」誕生秘話–“1話目を読む”ハードルを下げる〈CNET Japan(2019年6月20日)〉

集英社は6月20日、出版社初となるチャットノベル(小説)アプリ「TanZak」を公開した。LINEのようなテキストメッセージ形式で、気軽に物語を楽しめることが特徴だ。同アプリの誕生秘話を、集英社 デジタル事業部の漆原正貴氏に聞いた。

 集英社担当者へのインタビュー。チャットノベルで収益化を図るというより、テキストに触れるハードルを下げることによって「読書習慣の獲得」を図ること目的とした取り組みとのこと。他社の動向も踏まえ「恐らく2019年は”デジタルノベル元年”になるでしょう」というコメントが。

海賊版対策、警告表示も断念=端末の「フィルタリング」強化-総務省〈時事ドットコム(2019年6月20日)〉

 ブロッキング法制化、ダウンロード違法化・リーチサイト規制に続き、アクセス警告方式も断念。昨年、政府のタスクフォースで挙がっていた海賊版サイト対策案は、①正規版サイトの流通促進、②海賊版サイト管理者の刑事告訴、③配信代行業者への民事手続き(差し止め請求、損害賠償請求など)、④検索結果表示の抑止、⑤海賊版サイトへの広告出稿規制、⑥フィルタリング、⑦教育、啓発活動、⑧ダウンロードの違法化、⑨リーチサイト規制、⑩ブロッキング法制化の10点ですが、ユーザーを規制する法整備が必要な対策案⑧⑨⑩は、いずれも頓挫したことに(当時の解説コラムはこちら↓)。

 本稿は「出版ニュース」2018年9月上旬号へ寄稿した原稿の転載です。転載にあたって少しタイトルを変えてあります。以下、縦書き原稿を横書きに変換してあるのと改行を少し増やしてありますが、文体は掲載時のまま(常体)です。 筆者は本誌5月上旬号で、出版広報センターが4月13日に発表(※1)した「政府による海賊版サイトに対する緊急対策について」という声明の中で、「私たちは長年、海賊版サイトに対してできうる限りの...

 以前、漫画村運営者が判明という情報もありましたが、その後、②刑事告訴に至ったという情報はありません。③民事手続きの簡素化という動きもあったはずなのですが、これもその後、どうなったのか……。

セルシス「国際コミック・マンガスクールコンテスト」の受賞作品が決定 ~ 世界67カ国・地域の639校から1400点超の応募〈HON.jp News Blog(2019年6月21日)〉

 株式会社セルシスは6月18日、マンガ、イラスト、デザイン、アートなど美術系の学校や美術系の部活動に参加している学生を対象とした「国際コミック・マンガスクールコンテスト」の受賞作品が決定したことを発表した。世界67カ国・地域の639校から1400点超の応募から選ばれた。コミック部門グランプリHAND SHOP -Gift come with priceペンネーム:Valery Yu学校名:Savannah College of Art and Design(アメリカ)審査員講評...

 受賞者は、アメリカ、台湾、アイルランド、イラン、シンガポール、ロシア、スペインなど、非常に多彩です。台湾の方はウェブトゥーン&縦書き、イランの方は横書き右綴じ(英語)で、文化的バックボーンをストレートに感じます。面白い。

「電子書籍に反対していた宝島社が電子化を解禁」 その理由を聞いた〈ねとらぼ(2019年6月21日)〉

 2010年11月に「宝島社は、電子書籍に反対です。」という刺激的な新聞広告を出した宝島社。先週末に、同社が刊行している『響け! ユーフォニアム』シリーズや『異世界居酒屋「のぶ」』シリーズなどが、ついに電子化されるという情報を目にして、なぜ方針を変えたのか理由が気になっていました。ねとらぼ編集部、ぐっじょぶ。「著者の方からの電子版発売の要望も増え、それに応える形で開始しました」とのこと。「書店を応援」という方針は変わっていないそうです。

「読書バリアフリー法」成立 超党派の議員立法〈毎日新聞(2019年6月21日)〉

 視覚障害者らがより読書を楽しめるよう、国や自治体の責務などを定めた「障害者読書環境整備推進法(読書バリアフリー法)」が21日、衆院本会議で全会一致で可決、成立した。

 ついに成立。国が基本計画を策定、出版社が電子データを障害者などへ提供する取り組みの促進や、図書館が録音図書や電子書籍などの所蔵を増やすような施策を進めていくことになります。先月末に書いたコラム「誰もが読書できるアクセシブルな環境という理想と、データ流出への根強い懸念という現実」も参考に(↓)。

 5月11日に都内で行われた日本出版学会 2019年 春季研究発表会で、私は「学術書のアクセシビリティ ―― 手話翻訳動画、テキストデータ提供の実践から」を聴講した。先駆的で興味深い取り組みだと思うのと同時に、データ流出への懸念などがさまざまな形で障壁となっている現状に、少し頭が痛くなった。今回のコラムでは、このことについて考えてみたい。前提として、研究発表は素晴らしかった 研究発表は上の写真のように、手話...

海外

乱射事件は政府のでっち上げという陰謀論を上梓した元大学教授が敗訴〈HON.jp News Blog(2019年6月19日)〉

 2012年12月にコネチカット州サンディーフックの小学校で銃乱射事件があり、児童20人と教師ら7人が殺された事件は、実際には起こらなかったとするトンデモ本の著者2人が、遺族から名誉毀損などで訴えられていた件で有罪の判決が下りた。 この本は2016年刊行の『Nobody Died at Sandy Hook』で、被告のひとり、ジェームズ・フェッツァーはミネソタ大学名誉教授、オレゴン州在住の陰謀論者。遺族の父親であるレオナルド・ポズナ...

 5月30日に配信した大原ケイ氏のコラム「歴史を扱う本にウソが見つかった時、アメリカの出版社ではどう対処しているのか?」関連(↓)。名誉毀損で訴えられ、敗訴、本は回収という、コラムで解説いただいた通りの流れになっています。

 通史や歴史上の人物に関する重厚なノンフィクションといえば、ウォルター・アイザックソンの最新作『レオナルド・ダ・ヴィンチ』やユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』など、日本でもよく読まれています。 間違いや事実誤認の全くないノンフィクションの本を出し続けるのは、どんな出版社でも不可能でしょう。では、アメリカではノンフィクションの本を出す際に、どのような手順が取られ、どの程度校正をやり、それ...

 では日本ではどうかというと、名誉毀損で訴えられて、著者・出版社の敗訴が確定した有名な事例(↓)がありますが、当該の本はいまなお普通に売られ続けていたりします。うーん。

 歌手の故・やしきたかじんさんの闘病生活を描いた百田尚樹氏の著作「殉愛」の記述で名誉を傷つけられたとして、たかじんさんの長女が発行元の幻冬舎(東京)に損害賠償などを求めた訴訟で、幻冬舎に365万円の賠…

米中関税の拡大がアメリカの児童書に打撃を与える懸念〈HON.jp News Blog(2019年6月19日)〉

 昨年から激化する米中貿易戦争の関税について、ドナルド・トランプ大統領が発表したさらなる関税が実施された場合に各産業にどのような影響があるかを問う諮問委員会が首都ワシントンで開かれている。1週間に渡り、業界ごとに50以上のパネルが開かれるが、書籍出版関係者はこの第10パネルに名を連ねている。(2019年8月14日:末尾に更新情報) トランプ政権は、中国からの輸入品に2500億ドル相当に上る関税を既にかけている...

 中国で印刷されアメリカに輸入される書籍にも25%の関税がかかることになるそうです。政治、というかドナルド・トランプ大統領に振り回されている感。

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CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0

※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 602 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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