米アップル、定額読み放題ニュースサービスを開始から3カ月で見直しへ

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 開始から3カ月経ったアップルのニュース・サブスクリプションは定額購読者が思うように集まらず、コンテンツを提供する出版社も期待外れだったと認めている、とビジネス・インサイダー紙が伝えている。

 アップルが「Texture」というアプリを吸収し、3月25日に始めた新しいサブスクリプションサービスである「Apple News Plus」は、記者発表でオプラ・ウィンフリーやスティーブン・スピルバーグらを招いての派手なイベントで注目を集めたが、この定額読み放題サービスの出足は遅く、アップルは仕切り直しに取り掛かっている。

 「Apple News Plus」は1カ月10ドルで、Apple Newsのアプリから300以上の雑誌や新聞にアクセスできる。こういったサブスクリプションは音楽コンテンツ同様、アップルはこれからのビジネスモデルとして打ち出している。

 だが、出版社の反応は複雑で、減る一方の広告収入を埋めるのにアップルのユーザーからの料金は魅力的だが、利益を折半するというのは取られすぎだと感じているようだ。また、このサービスが広がりすぎると、各メディアで抱えてきた定期購読者を吸い取られるという危惧もあり、定期購読者獲得を成功させているニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストは加入していない。

 最初のひと月は無料で、最初の2日で20万人の購読者を得たが、3カ月経過した段階で出版社に渡った購読料は「Texture」の頃よりも低く、期待を下回ったという。アップルと出版社側のミーティングでも、どのコンテンツが有料でどれが無料なのか、ユーザーが戸惑っていることを認め、また雑誌コンテンツ中心の見せ方で、ニュースを読むのに最適化されてないことなどが話し合われたという。

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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