「絵本ナビとaudiobook.jpが初連携で児童書音声版配信」「Apple News Plus開始3カ月で見直しへ」など、出版業界気になるニュースまとめ #380(2019年7月1日~7日)

出版業界気になるニュースまとめ

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 2019年7月1日~7日は「絵本ナビとaudiobook.jpが初連携で児童書音声版配信」「Apple News Plus開始3カ月で見直しへ」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

国内

「国立国会図書館の書誌データがだれでも無償で自由に利用可能に」が1位 ~ HON.jp News Blog 国内記事ランキング(2019年上半期)〈HON.jp News Blog(2019年7月1日)〉

 HON.jp News Blogで2019年上半期に掲載した国内ニュースの中から、多くの人に読まれた記事をピックアップしました。10位から1位までのカウントダウン形式でご紹介します。10位:日本マンガ学会、私的ダウンロード違法範囲拡大に反対の声明を発表 日本マンガ学会(会長 竹宮惠子)は1月23日、今月末に召集される通常国会で審議される予定の私的ダウンロード違法範囲拡大について、反対声明を発表した。9位:同人誌のダウンロ...

 上半期の国内ニュース記事アクセスランキングです。この記事を作りながら、違法ダウンロード範囲拡大の話が佳境だったのは、今年の年頭からだったのを思い出しました。日本マンガ学会の声明を即座に記事化したり、院内集会へ取材へ行ったりと、追いかけ続けているトピックスではあるのですが、なんだかもう数年前の出来事のような錯覚が……。

読書という〈遅い文化〉を守るために投じた一石――幻戯書房・田尻勉さんに聞く〈マガジン航[kɔː](2019年7月1日)〉

今年の4月2日、ある出版社の公式ブログにこのような記事が投稿され、大きな話題になった。 出版流通の健全化に向け…

 仲俣暁生氏のエディターズノート。卸正味を60%に下げる宣言をした幻戯書房・田尻勉氏へのインタビューです。田尻氏の「むしろ今は、マスセールスを狙って本づくりをしていてはダメな時代だと私は思うんです」という言葉に、私も賛成。狭いターゲットの本が、2200円から2400円になったところで、欲しけりゃ買うでしょう。コストの積み上げだけで販売価格を決め、顧客視点や競合視点が欠けたままではいけないと思うのです。

絵本ナビとaudiobook.jpが初連携、児童書の音声版を配信〈HON.jp News Blog(2019年7月3日)〉

 株式会社絵本ナビと株式会社オトバンクは6月26日から、「絵本ナビ」が提供する児童書を音声化し、オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」で配信開始した。絵本ナビとaudiobook.jpの連携は今回が初。 今回音声化された児童書は、『毎日がポジティブになる!元気が出る言葉366日』(西東社編集部)、『理科好きな子に育つふしぎのお話365』(自然史学会連合)、『頭のいい子を育てるおはなし 366』(主婦の友社)の3冊...

 先駆的な両社の、初連携です。1~5分のエピソードごとに音声化した約1100作品が配信される、マイクロコンテンツ&オーディオブック化という試み。

研究者のアイデアを講談社が商品化するクラウドファンディング・プラットフォーム「ブルーバックスアウトリーチ」サービス開始〈HON.jp News Blog(2019年7月4日)〉

 株式会社講談社は7月2日、研究者のアイデアを元に一般から資金を募り、講談社自身が商品化や販売・発送などを行うクラウドファンディング・プラットフォーム「ブルーバックスアウトリーチ」のサービスを開始した。 一般的な購入型クラウドファンディング・プラットフォームでは、プロジェクトの目標達成時に、起案者自身がサービスの提供や製品製造・発送などについての責任を持つ。ブルーバックスアウトリーチは、講談社自...

 「モーニング」で連載中の科学マンガとコラボ。7月1日に小学館が「GREEN FUNDING」のシステムを利用したクラウドファンディングサイト「小学館スタートアップゲート」を開始していますが、こちらの「ブルーバックスアウトリーチ」は、既存のプラットフォームと組んだかどうかは調べた範囲では不明でした。プロジェクトの当事者が起案者ではなく、実質的に講談社になっている点が特徴。

『花とゆめ』読み切り漫画の絵柄が他の作家と酷似 「編集部が率先して誘導した結果」と編集部が謝罪〈ねとらぼ(2019年7月5日)〉

「本来なら掲載を中止しなければならない程、酷似していたにも関わらず、雑誌に掲載するという過ちをおかしてしまいました」と謝罪しています。

 大前提として、絵柄はアイデアの範疇であり、本来なら著作権は及びません。実際の絵を見ていないので、表現が似ていたかどうかはわかりません。ただ、「編集部が率先して(種村有菜)先生の絵柄に近しい方向へと誘導した結果」なら、当該の読み切り作品の著者に非はないと言っていいでしょう。読者からの指摘を受けた後の対応含め、もやっとする事件。

海外

「CCサーチ正式版開始」が1位 ~ HON.jp News Blog 海外記事ランキング(2019年上半期)〈HON.jp News Blog(2019年7月1日)〉

 HON.jp News Blogで2019年上半期に掲載した海外ニュースの中から、多くの人に読まれた記事をピックアップしました。10位から1位までのカウントダウン形式でご紹介します。10位:米公共図書館のEブック貸し出し経費が重荷に 全米各地の公共図書館でEブックの貸し出しが定着してきたが、経費負担がのしかかっているとフィラデルフィアの地元紙が伝えている。9位:ドイツ最大手取次の倒産による余波を懸念する小出版社 書籍と...

 上半期の海外ニュース記事アクセスランキングです。クリエイティブ・コモンズのサイト内検索エンジン「CCサーチ」正式版が開始され、3億枚のアーカイブからイメージを探せるようになった記事が最も読まれました。

【更新】定期購読サービスのスクリブドにノンフィクション本のお試し機能〈HON.jp News Blog(初報2019年6月27日、2019年7月1日更新)〉

 英語圏を中心に成長中のオーディオブックだが、Eブックから公文書まで広く電子版を集めた定期購読サービスのスクリブド(Scribd)が、ノンフィクションの本の中身を15分で紹介する独自コンテンツを「スナップショッツ」(SnapShots)として発表した。音声とテキストの両方が用意されている。(2019年7月1日:末尾に更新情報) Good e-Readerによると「スナップショッツ」は、読者が全文を読みたいかどうか判断するための「映...

 著者、エージェント、出版社から拒否反応が出ているとの続報が。

米アップル、定額読み放題ニュースサービスを開始から3カ月で見直しへ〈HON.jp News Blog(2019年7月1日)〉

 開始から3カ月経ったアップルのニュース・サブスクリプションは定額購読者が思うように集まらず、コンテンツを提供する出版社も期待外れだったと認めている、とビジネス・インサイダー紙が伝えている。 アップルが「Texture」というアプリを吸収し、3月25日に始めた新しいサブスクリプションサービスである「Apple News Plus」は、記者発表でオプラ・ウィンフリーやスティーブン・スピルバーグらを招いての派手なイベントで...

 前身である「Texture」時代の購読料実績を下回っているとのこと。

米アマゾンがLGBTQ団体の圧力で疑似科学本を削除〈HON.jp News Blog(2019年7月5日)〉

 米アマゾンはLGBTQ運動団体からの圧力により、「治療すればゲイでなくなる」と説くコンバージョン・セラピー(Conversion therapy:転向療法)の伝道師の本を削除したとNBCニュースサイトが伝えている。 著者ジョセフ・ニコローシはかつて聖トマス・アクィナス心理クリニックを経営し、『A Parent’s Guide to Preventing Homosexuality』(同性愛を避ける両親のガイド)など一連の本を上梓した疑似科学者で2017年に亡くなっ...

 “転向療法”と呼ばれる疑似科学で、弊害が指摘されていました。タイトルで「圧力」と表現したのが、まるでLGBTQ団体の抗議が不当なものであるかのような印象を与えるとの指摘がありました。「圧力」という言葉は中立的な言葉ですが、ネガティブなイメージを持つ人もいることを知りました。次からは「要請」「要求」「運動」など、言い換えを検討します。

英アマゾン主催のキンドル・ストーリーテラー賞の副賞で映像化などが追加〈HON.jp News Blog(2019年7月5日)〉

 2017年に始まった英アマゾン主催のキンドル・ストーリーテラー賞で、賞金2万ポンドのほか、アマゾン・プライムビデオの制作スタッフが優先的に作品を吟味し、映像化を目指し、3年間のオプション権をオファーする可能性があると発表した。 セルフ・パブリッシングの著作に与えられる文学賞は少ない上、アマゾンの賞は賞金額も多い。さらに映像化される可能性もあるので、既存出版社から本が出ていない著者にとっては魅力的だ...

 セルフ・パブリッシングの文学賞。賞金2万ポンドのほか、映像化のオプション権に1万ポンド出すとのこと。英アマゾン、お金かけてますねぇ。

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CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0

※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 602 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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