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公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は1月25日、2021年の出版市場規模を発表した。紙+電子出版市場(推定販売金額)は、前年比3.6%増の1兆6742億円。紙が1.3%減と小幅なマイナスに対し、電子が18.6%増と引き続き拡大した結果、3年連続のプラス成長となった。
【目次】
紙
紙の出版物推定販売金額は、1.3%減の1兆2080億円。うち、書籍が2.1%増の6804億円、雑誌が5.4%減の5276億円。書籍は15年ぶりの増加となった。上半期は、2020年がリアル書店休業の影響で落ち込んだのに対し、2021年は巣ごもり需要が続いてプラスで推移。下半期は、コロナ禍が落ち着いた秋以降は、マイナスになっている。
書籍は、児童書、文芸書、中学学参、語学・資格書などが好調。返品率は32%まで改善した。また、書籍全体の価格上昇傾向も販売金額の上乗せに影響している。「TikTok」での紹介によるヒットや、「YouTuber」の書籍など、ウェブを活用する事例も目立つという。
雑誌は、月刊誌(コミックス・ムックを含む)が4.5%減、週刊誌が9.7%減。月刊誌のうち定期誌が約7%減、ムックが約14%減。コミックス(単行本)は、2020年は『鬼滅の刃』の爆発的ヒットなどで2割増だったが、2021年は約1%減となった。なお、この紙の推定販売金額は取次ルートのみで、近年増加している直販や直取引は含まれない。
電子
電子出版市場は前年比18.6%増の4662億円で、出版市場全体における市場占有率は27.8%となった。うち、電子コミックが20.3%増の4114億円、電子書籍(文字もの)が12.0%増の449億円、電子雑誌が10.1%減の99億円。電子出版市場における電子コミックの市場占有率は88.2%となった。
電子コミックは、映像化作品のヒットや縦スクロールコミック(ウェブトゥーン・スマトゥーン)が大きく成長。電子書籍は、各ストアでのセールやキャンペーンでの売上が例年より大きく伸びた。電子雑誌は、シェアの大きい「dマガジン」の会員数減で4年連続のマイナスとなっている。なお、この電子出版市場は定額読み放題を含む「読者が支払った金額の推計」で、広告収入や電子図書館向けは含まれない。
参考リンク
全国出版協会・出版科学研究所