【更新】定期購読サービスのスクリブドにノンフィクション本のお試し機能

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 英語圏を中心に成長中のオーディオブックだが、Eブックから公文書まで広く電子版を集めた定期購読サービスのスクリブド(Scribd)が、ノンフィクションの本の中身を15分で紹介する独自コンテンツを「スナップショッツ」(SnapShots)として発表した。音声とテキストの両方が用意されている。(2019年7月1日:末尾に更新情報)

 Good e-Readerによると「スナップショッツ」は、読者が全文を読みたいかどうか判断するための「映画の予告編」のようなものだという。無料で要約が聴ける&読めるコンテンツを用意することによって、ユーザーに新しいジャンルの本や著者をスムーズに紹介し、新たな読者を獲得したい考えだ。

 トリップ・アドラーCEOは「推薦文やレビューよりもさらに本の内容への期待を高め、それまで読んだことのなかった分野を発見してもらいたい」とコメントしている。スクリブドのためにオンライン調査を行なったハリス・ポールでは、85%のアメリカ人が「本を読むのは人生を豊かにするための投資」と考えているが、81%が「思うほどに本を読んでいない」と感じているという。

 その理由として、「時間が足りない(39%)」「つい他のことをやってしまう(22%)」が挙げられており、スナップショッツは15分以下で本を通して読もうという気持ちになってもらうのを目的としている。

2019年7月1日更新情報

 ところが、この独自サービスに著者、エージェント、出版社から拒否反応も出ている。著作のディスカバラビリティのためにと謳っているものの、著作権保持者にはなんの断りもなく作られたものだからだ。要約文は出版社や著者と関係なく、独自に製作されているものであればアメリカの著作権法には引っかからないが、スクリブドはCEO自ら「著者や出版社に好意的な」企業であると宣言した公認のEブックベンダーであり、こういった動きが広がるのは敬遠されるところ。

参考リンク

Good e-Readerの記事
https://goodereader.com/blog/e-book-news/scribd-launches-new-preview-system-for-audiobooks-and-ebooks
ScribdのSnapShots紹介ページ

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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