「2018年度電子出版市場3122億円」「2019年上期出版市場7743億円、電子は1372億円」など、出版業界気になるニュースまとめ #383(2019年7月22日~28日)

週刊ニュースまとめ&コラム

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 2019年7月22日~28日は「2018年度電子出版市場3122億円」「2019年上期出版市場7743億円、電子は1372億円」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

国内

メディアドゥ、ブロックチェーン活用の電子書籍流通基盤の実証実験を完了 ~PoCではHyperledger Fabricを採用。開発推進のためエンジニアの採用強化〈仮想通貨 Watch(2019年7月22日)〉

株式会社メディアドゥは7月19日、ブロックチェーン技術を活用した新たな電子書籍流通プラットフォームについて、実証実験(PoC)を終え、プロジェクトのさらなる推進に向けてエンジニアの採用を強化する方針を明らかにした。実験段階の同プロジェクトにおいて、同社はコンソーシアム型ブロックチェーンのHyperledger Fabricを採用している。

 実証実験を終えたというリリース、ウチにもいただいていたのですが、現段階では専門メディアにお任せしたほうがいいだろうと判断しました。私ではここまで踏み込んで書けない(とくに最終段落)。さすが。

人気マンガのキャラクターと正規版配信サービスの証「ABJマーク」がコラボ ~ STOP! 海賊版キャンペーン第4弾〈HON.jp News Blog(2019年7月23日)〉

 出版関連9団体で構成される出版広報センターは7月19日、「STOP! 海賊版」キャンペーンの第4弾として「ABJマーク×人気キャラコラボ動画」の公開を発表した。正規の出版物が配信されていることを示す「ABJマーク」普及のため、人気マンガのキャラクターとコラボしている。 出版広報センターの「深刻な海賊版の被害」ページでは、コラボの静止画が確認できる。コラボ作品は原泰久『キングダム』、吉崎観音『ケロロ軍曹』、松田...

 ABJマークのホワイトリストが更新されていたので確認してみましたが、いまだにアマゾン、アップル、グーグルの名前がない。ちゃんと声はかけていると伺っているのですが……。

2018年度電子出版市場は3122億円で前年度比12.2%増と推計 ~ インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2019』〈HON.jp News Blog(2019年7月23日)〉

 株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は7月23日、2018年度電子出版市場の動向調査結果概要を発表した。2018年度の電子出版市場は3122億円と前年度比12.2%増で、うち電子書籍市場は2826億円と同26.1%の急増、逆に電子雑誌市場は296億円と同6.0%の減少傾向と推計されている。また、2023年には電子出版市場が4610億円、うち電子書籍市場は4330億円になると予測している。電子書籍市場 2018年度の...

 電子書籍市場は対前年度比126.1%の急増。「漫画村」閉鎖による好影響とともに、マーケティング予算の前倒し投入も行われていた、という指摘も。

「LINEノベル」の『あたらしい出版のカタチ』参画出版社が13社に〈HON.jp News Blog(2019年7月24日)〉

 LINE株式会社は7月23日、同社が展開する小説プラットフォーム「LINEノベル」の新たな才能の共有・発掘を行う取り組み『あたらしい出版のカタチ』に、株式会社河出書房新社、株式会社双葉社、株式会社ポプラ社の3社が新たに加わったことを発表した。 『あたらしい出版のカタチ』は、LINEが投稿作の独占出版を行わない点が特徴。参画出版社は投稿者へ「書籍化」をオファーできる。オファーを受けた投稿者の情報は、参画してい...

 投稿者は、各社からのオファー条件を踏まえた上で「書籍化」する出版社を選択できる点が特徴。もう一歩進めて、講談社「DAYS NEO」みたいに担当編集者まで選べるようになっていたら……という気も。「編集ガチャ」と言われてるのは、マンガに限った話ではありません。

2019年上期の紙+電子出版市場は前年同期比1.1%減の7743億円、電子は22.0%増の1372億円 ~ 出版科学研究所調べ〈HON.jp News Blog(2019年7月25日)〉

 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は7月25日発行の「出版月報」7月号で、2019年上半期(1月から6月)の書籍・雑誌分野別動向と電子出版市場調査結果を発表した。紙+電子出版市場は7743億円(前年同期比1.1%減)、電子出版市場は1372億円(同22.0%増)と大幅に伸長している。 紙の出版物推定販売金額は6371億円(同4.9%減)で、書籍が3626億円(同4.8%減)、雑誌が2745億円(同5.1%減)。雑誌のうち月刊誌は224...

 電子コミックが27.9%増と大幅伸張しているのに、紙のコミックス(単行本)も5%増。さすがに私もカニバリズムがゼロとは言いませんが、「紙から電子へそのまま置き換わる」なんてことはない、というのが数字ではっきり示されたと言っていいでしょう。なお、出版月報7月号の電子コミックについてのページには「グーグルなどの規制強化により、BLやTL、アダルトなどが売りづらくなっている。」という、ちょっと気になる記述が。なにそれもっと詳しく。

アムタス、「めちゃコミックの毎日連載マンガアプリ」を提供開始〈HON.jp News Blog(2019年7月26日)〉

 電子書店「めちゃコミック」を運営する株式会社アムタスは7月24日、スマートフォン向け「めちゃコミックの毎日連載マンガアプリ」の提供を開始した。アプリ内通貨の購入や作品の閲覧に、会員登録は不要となっている。 「めちゃコミックの毎日連載マンガアプリ」は、曜日ごとに追加される連載マンガの無料話、常時1万話以上ある期間限定の無料話、独占先行配信作品などを閲覧できる。また、アプリ内通貨の「コイン」で、有料...

 ブラウザービューアで展開してきた「めちゃコミック」とは独立した別サービス。より幅広いユーザーを獲得するのが目的とのことですが、うまくいくかどうか。

海賊版ブロッキング、議論再開を=政府先送りに有識者意見〈時事ドットコム(2019年7月26日)〉

政府は26日、知的財産戦略本部の有識者会議を東京都内で開き、漫画やアニメをインターネット上に無断掲載する「海賊版サイト」対策について、改めて検討に入った。アクセスを強制遮断する閲覧防止措置(ブロッキング)の法制化をめぐり、出席者から早期の議論再開を求める意見が出た。同日提示された総合対策案には、先に関連法案提出が見送りになったダウンロード違法化を速やかに進めることなどが明記された。 海賊版対策...

 ブロッキングの法制化について「一刻も早く議論を再開すべきだ」と主張する委員がいたとのこと。知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会のページはこちら。構成員の一覧と過去の経緯から、なんとなく誰が言ったのか推測ができてしまうような。

 なお、参考資料2「検証・評価・企画委員会の運営について」にも、いろいろ気になる記述が。「傍聴者は会議を録音又は録画することができない。」「座長は、会議又は会議資料若しくは議事録を公開することにより率直な意見の交換が損なわれるおそれがあるときその他必要と認めるときは、これらの全部又は一部を非公開とすることができる。」「座長は、委員、参考人及び傍聴者に対し、会議によって知り得た情報を外部で取り扱うときは、発言をした者の所属及び氏名を特定しないよう求めることができる。」など。3つ目のは、座長を降りた中村伊知哉氏いわく「チャタムハウスルール」と言うそうです。

海外

個人が調停を求めるための米著作権改正法が上院採決へ一歩近づく〈HON.jp News Blog(2019年7月22日)〉

 著作権侵害の申し立てを少額裁判所で扱えるようにする著作権改正法(Copyright Alternative in Small-Claims Enforcement Act、以下CASE法)がアメリカの上院司法委員会で可決され、上院での採択に向かう。 現行法では著作権の侵害があった場合、被害者は連邦政府に訴えるしか方法がなく、複雑で高額な手続きとなっている。CASE法が採択されれば米著作権局内に採決機関が設けられ、著作権を守ることが容易になる。この法廷は...

 成立すれば、3万ドルの罰金を課すことが可能になるとのこと。指摘されているように、確かに制度ハックが怖いです。必ず悪用する人が現れるという前提で、性悪説に基づいて制度は設計しなければならないと思います。

米アマゾン出版がベストセラー作家ディーン・クーンツと契約〈HON.jp News Blog(2019年7月23日)〉

 「オッド・トーマス」シリーズなどで知られるベストセラー作家、ディーン・クーンツがアマゾンの出版社と契約したと、業界誌パブリッシャーズ・ウィークリーなどが伝えている。 この5月にペンギン・ランダムハウス傘下のバンタムから『The Night Window』を上梓したばかりだが、これからはアマゾン傘下の「トーマス&マーサー」というインプリント(出版レーベル)で次の5作を発表するほか、6作の短編スリラーをオリジナル、...

 トータルで5億部もの本を売ってきた作家。日本だとまだ「Amazon Publishing」は存在感が薄いですが、いずれこうなっていくのか。

新スポンサーでの英ブッカー賞ノミネート作品が発表〈HON.jp News Blog(2019年7月25日)〉

 新しいスポンサーのもとで初となるイギリス・ブッカー賞のノミネート作品13作が発表された。下馬評通り、ベテランライターのサルマン・ラシュディ(『真夜中の子供たち』で1981年に受賞)とマーガレット・アトウッド(2000年に『昏き目の暗殺者』で受賞)の一騎打ちとなるか。 アトウッドのノミネート作品『The Testaments』は、1985年発表、1990年の映画化や、2017年にHuluによってドラマシリーズ化され、リバイバル人気を...

 スポンサーはアメリカ人ですが、ノミネートからはアメリカ勢がシャットアウトされたかたちになっているとのこと。たまたまなのか、なにか意図があるのか。

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CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 663 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)
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