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株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は7月23日、2018年度電子出版市場の動向調査結果概要を発表した。2018年度の電子出版市場は3122億円と前年度比12.2%増で、うち電子書籍市場は2826億円と同26.1%の急増、逆に電子雑誌市場は296億円と同6.0%の減少傾向と推計されている。また、2023年には電子出版市場が4610億円、うち電子書籍市場は4330億円になると予測している。
電子書籍市場
2018年度の電子書籍市場のうち、「コミック」は2387億円(同29.4%増)、「文字もの等(文芸・実用書・写真集など)」は439億円(同10.9%増)。「コミック」は電子書籍市場の84.5%、電子出版市場の76.5%を占めている。
電子書籍市場の急増要因についてインプレス総合研究所は、社会問題化していた違法サイトが2018年4月に閉鎖され、多くの電子書店が多額のマーケティング予算を前倒しで投入したことや、違法サイトによって結果的に電子書籍の認知向上につながったことも遠因になっているとしている。
なお、電子書籍の市場規模は「書籍近似のデジタルコンテンツ」の日本国内ユーザーにおける購入金額の合計と定義され、個別販売、月額課金、定額制読み放題、マンガアプリの課金が含まれる。電子雑誌、電子新聞や、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルは含まない。
また、電子雑誌の市場規模は「紙雑誌の電子化やデジタルオリジナルの商業出版物で逐次刊行されるもの」の日本国内ユーザーにおける購入金額の合計と定義され、個別販売、月額課金、定額制読み放題を含む。学術ジャーナル、企業向け情報提供、ゲーム性の高いものは含まない。
いずれも、ダウンロード時の通信費やデバイスにかかわる費用、コンテンツの制作費用、配信サイトの広告やコンテンツ内の広告も含まれない。
マンガアプリ広告市場
2018年度のマンガアプリ広告市場規模は、167億円(同67%増)。動画リワード広告と読了後に表示する静止画・動画広告が主流で、特に動画リワード広告が急拡大しているとのこと。2019年度には、1.5倍の250億円程度に達すると予測している。
電子書籍の利用率
インプレス総合研究所が実施したユーザーリサーチによると、有料電子書籍の利用率は19.8%と前年比2.1ポイントの増加。無料電子書籍のみを利用しているユーザーは23.9%と前年比0.6ポイントの増加で、有料電子書籍に比べると伸びは鈍い。性年代別では、男性30代が27.0%、女性30代が25.1%、男性20代が24.7%%、男性40代が22.0%の順で高い利用率を示している。
無料の電子書籍のみの利用率は、女性10代の36.2%、女性20代の31.6%、男性10代の30.3%と続く。男女とも10代が最も高い比率で、高年代になるほど低下する。性年代別の利用率は昨年度と比較すると、ほとんどの年代で有料での利用率が増加しており、特に男女とも10代から30代で顕著。
利用している電子書店やアプリ
有料、無料を問わずに「電子書籍を利用している」と回答した人に対し、複数回答可で利用している電子書店やアプリを聞いたところ、1位「Kindleストア」24.2%、2位「LINEマンガ」23.3%、3位「楽天Kobo」12.4%、4位「少年ジャンプ+」12.0%、5位「comico」10.6%の順となった。
電子書籍の利用率調査はコロプラ スマートアンサー保有モニターを対象とし、スマートフォン・タブレットのアプリ上で行われ、有効回答数は1万2212サンプル。性年齢階層別スマートフォンでのインターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するよう抽出されている。
ただし、年代により回収率が異なっており、母集団との乖離がみられるため、比重調整を行った上で分析しているとのこと。調査期間は6月21日から28日。電子書籍利用実態調査は、利用率調査で電子書籍を利用していると回答した人で、有効回答数は3560。調査期間は6月28日から7月4日。
なお、詳細レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2019』の予約受付も開始されている。発売は7月31日。詳細、予約はこちらから。
参考リンク
インプレス総合研究所のプレスリリース