「DLmarketへの不正アクセスで個人情報56万件が流出の可能性」「TRC-DL、スイス・ビブリオテカ社と提携」など、出版業界気になるニュースまとめ(2018年10月22日~28日)

出版業界気になるニュースまとめ
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 2018年10月22日~28日は「DLmarketへの不正アクセスで個人情報56万件が流出の可能性」「TRC-DL、スイス・ビブリオテカ社と提携」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

TPP11、19年1月中旬メドに発効へ 政府見通し〈日本経済新聞(2018年10月22日)〉

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36763310S8A021C1MM8000/
 TPP11の発効要件は「6カ国以上の手続き完了後、60日後」なので、年内発効は間に合わないということになるのでしょう。これで、2019年1月1日のHappy Public Domain Dayが、延長前最後ということになります。三島由起夫など1970年没の作家は、20年延長に。

紀伊國屋書店の在庫検索端末「KINOナビ」がスマートフォンやパソコンからの利用に対応〈HON.jp News Blog(2018年10月23日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14025
 やっと対応。ただ、横断検索ができないので、各店舗で在庫の有無がまばらな本を探す際には不便かも。ところがこの点についてFacebookで不満をもらしていたら、カーリルさんがあっという間に横断検索を用意してくれました(↓)。すごい。
https://try.calil.jp/kinonavi/

 なお、店舗在庫の検索に関しては「honto with」のほうが圧倒的に便利。丸善・ジュンク堂・文教堂の横断検索はもちろん、取り置きまで可能です。電子版の立ち読みやレビューのチェックもできます。紀伊國屋書店にも、もっと頑張って欲しいところです。
https://honto.jp/store/hontowith.html

コラム:海賊版サイトブロッキングが去って、静止画ダウンロード違法化がやって来る?〈うぐいすリボン(2018年10月23日)〉

http://www.jfsribbon.org/2018/10/blog-post_23.html
 『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』の著者で、国際日本文化研究センター教授の山田奨治氏によるコラム。ダウンロード違法化を、録音録画に限らず、すべての著作物に拡大せよというのは、アメリカからの要求でもあるのです。実際問題、録音録画のダウンロード違法化で、どれだけ市場が回復したのでしょう? いま売上が伸びているのは、ストリーミング配信です。いまさらダウンロードの違法範囲を広げたところで、どれだけ効果があるのか強い疑問が。

「DLmarket」への不正アクセスで56万件の個人情報が流出した可能性 ~ 内容はメールアドレス・氏名・会員IDまで〈HON.jp News Blog(2018年10月23日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14039
 本稿執筆時点(10月27日)で先週1位の人気記事。悪いニュースはアクセスが伸びます……。流出した可能性があるのはメールアドレス・氏名・会員IDまでなのが、不幸中の幸いか。ちなみに私にも、流出した可能性があるというお知らせメールが届いていました。

小中高等学校向けの定額電子書籍配信サービス「School e-Library」が来春より正式サービス開始〈HON.jp News Blog(2018年10月24日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14057
 2019年4月から小中高等学校でデジタル教科書が使えるようになるので、教育現場にデジタル端末が普及していくことが予想され、そこへ向けた新たなサービスもいろいろ展開されることになる、ということなのでしょう。教科書供給会社が団結して用意したプラットフォームというのが、時代の変化を強く感じさせます。

小学館「小説丸」と縦書き表示可能なブログサービス「g.o.a.t」が連携 ~ 第1弾として白河三兎のミステリー小説が無料公開〈HON.jp News Blog(2018年10月24日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14066
 2016年に「g.o.a.t」ベータ版が始まったとき、正直「いまさら新規にブログサービス?」と思ったことを白状しておきます。6月に縦書きができるレイアウトが追加され、「おおすごい」と思っていたら、まさか出版社とタッグを組むとは。ちょっと意表を突かれました。もちろん他社にも展開していくことでしょう。縦書き縦スクロールは、段組っぽくて意外と違和感ないです。

講談社のマンガ投稿サイト「DAYS NEO」に一迅社のコミック編集部が参加 ~ 他社雑誌にも参加を呼びかけ〈HON.jp News Blog(2018年10月24日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14075
 プレスリリースを見たとき、最初は「とはいえ一迅社は音羽グループだからなあ……」と思ったのですが、他社やフリーランス編集者にも参加を呼びかけている段落まで読んで、評価が変わりました。編集者への評価が可視化されるプラットフォーム、どこまで広がっていくか、要注目です。

TRC、電子図書館サービスで洋書150万タイトルを2019年度から提供開始 ~ スイス・ビブリオテカ社と提携〈HON.jp News Blog(2018年10月25日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14110
 洋書ラインアップが急増。ライバル「OverDrive Japan」は公式サイトによると、日本で配信が許諾されている点数は約160万点とのことなので、これで良い勝負になったといったところでしょうか。ラインアップにはどれくらい違いがあるのでしょうね?

海賊版サイト「捜査を渋る」日本の警察こそ弊害である〈iRONNA(2018年10月25日)〉※楠正憲(国際大学グローコム客員研究員)

https://ironna.jp/article/10999

海賊版ブロッキングより日本が急ぐべき「真の知財戦略」がある〈iRONNA(2018年10月25日)〉※山本一郎(個人投資家・作家)

https://ironna.jp/article/11003

「防弾サーバー」がある限り、海賊版サイトへの法的追及は難しい〈iRONNA(2018年10月25日)〉※唐澤貴洋(弁護士)

https://ironna.jp/article/11001

「特定、告訴、摘発」それでも海賊版サイトは止まらなかった(2018年10月25日)〉※後藤健郎(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構代表理事)

https://ironna.jp/article/10996

海賊版対策会議「最後の3時間半で何が話されたか」(2018年10月25日)〉※川上量生(カドカワ社長)

https://ironna.jp/article/11002
 産経新聞のオピニオンサイト「iRONNA」に、ブロッキング賛成派・反対派双方から同時に複数の記事が公開されています。これはすごい。楠氏の「警察によるサイバー犯罪に対する捜査態勢の強化」という意見は、いままであまり見かけなかった論点で、膝を叩きました。

 釈然としないのが、唐澤弁護士。8月5日の壇弁護士を始めとする「ブロッキング問題に関する意見書」に名前を連ねており、「ブロッキングの前に、事業者が相応の費用を負担してでも対策をする責務がある」など、ブロッキングには反対の立場だったはずなのですが(↓下記リンク参照)、今回の記事では「ブロッキングの法制化の必要がなくなったとか、緊急避難の要件を満たさなくなったというのは疑問」という考えを述べています。これって、両立するのかな……?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1808/10/news104.html

朝日新聞から次々流出!新旧メディアの人材流動化マップ〈ダイヤモンド・オンライン(2018年10月25日)〉

https://diamond.jp/articles/-/183327
 タイトルは「朝日新聞から」となっていますが、図には読売・毎日・産経・中日新聞や、フジテレビ、講談社、週アス(KADOKAWA)なども載っています。いわゆるレガシーメディア全般からの人材流出と捉えたほうがよさそうです。本誌にはもっと詳しい特集が載っており、レガシーメディアと新興ITメディアの年収格差など、なかなかシビアな側面も見て取ることができます。

車内でオーディオブックが聴ける「本のない図書館タクシー」が都内で期間限定運行 〜 オトバンクと日本交通が提携〈HON.jp News Blog(2018年10月26日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14130
 取材に行ってきました。面白い試みですが、タクシーの乗車時間程度だと最後まで聴くのは難しいので、続きが気になってしまうことでしょう。そこで、乗車するともらえる「本のない図書館利用カード」です。これは、audiobook.jpのクーポン1000ポイント。つまり、続きが気になるなら、クーポンを使って買っちゃえばいいわけです。よく考えられているなあ。

教育の情報化に対応した著作権法改正で、なにがどう変わる? 〜 日本著作権教育研究会シンポジウムレポート〈HON.jp News Blog(2018年10月26日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/14150
 取材に行ってきました。法改正はされたけど、補償金額をいくらにするか、補償金をどうやって分配するかなど、実際の運用についてはまだ決まっていないことが多く、まだまだ課題が山積している印象です。パネルディスカッションでは、そもそも教員が著作権をしっかり理解しておらず、35条があるから好きに使えるみたいな勘違いをしている人が多いとか、文化庁が教員向け著作権研修をやっているけど「ほとんどの人が寝ている」みたいな衝撃暴露もありました。参考までに日本書籍出版協会のサイトにある、35条ガイドラインを貼っておきます(↓)。
http://www.jbpa.or.jp/pdf/guideline/act_article35_guideline.pdf

 なお、授業目的公衆送信補償金制度は、私的録音録画補償金制度を参考にしているそうです。私的録音録画補償金制度は、最近の文化審議会著作権分科会で見直し議論が行われています。西田宗千佳氏による解説記事(↓)を参考までに。
https://www.businessinsider.jp/post-178230

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About 鷹野凌 313 Articles
HON.jp News Blog 編集長。NPO法人HON.jp 理事長。明星大学/二松學舍大学/実践女子短期大学の講師で、デジタル編集論/表象メディア演習/デジタル出版論/デジタル出版演習を担当。出版学会員/デジタルアーカイブ学会員。主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)
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