《この記事は約 7 分で読めます(1分で600字計算)》
2019年2月11日~17日は「カドカワ川上社長引責辞任」「電子専門出版社の生存戦略」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
国内
ディスカヴァー・トゥエンティワン、オンラインショップを今秋リニューアル ~ 2月28日から一時閉鎖するため購入書籍のダウンロードを〈HON.jp News Blog(2019年2月11日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/15465
閉鎖期間が半年に及ぶという、かなり大規模なリニューアルが予定されています。ソーシャルDRMなので、ダウンロードさえしておけば読者的には問題ないのが良いですね。
伝説のジャンプ編集者が見誤った傑作〈日本経済新聞(2019年2月11日)〉
LINEマンガが生んだシンデレラ〈日本経済新聞(2019年2月11日)〉
縦スクロール、韓国マンガの逆襲〈日本経済新聞(2019年2月11日)〉
「ラブひな」が戦う見えない敵 読者奪う海賊版〈日本経済新聞(2019年2月11日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41002710X00C19A2CR8000/
「漫画サバイバル」と題した連載。鳥嶋和彦氏のジャンプ時代に始まり、LINEマンガやpixiv、韓国系のウェブトゥーン、赤松健氏のマンガ図書館Z、海賊版との闘いなど、目新しい情報はそれほどありませんが、網羅的にまとめて状況を把握できます。本になるかな?
カドカワ、川上氏が社長を引責辞任 後任に松原氏〈日本経済新聞(2019年2月13日)〉
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO41211300T10C19A2TJ1000
ドワンゴが特別損失約38億円を計上、2019年3月期赤字転落の予想という決算報告に伴い、さまざまな組織運営体制の変更が発表されています。川上量生氏が、カドカワ代表取締役社長から取締役に(後任は松原眞樹氏)、ドワンゴ取締役を辞任し顧問になります。また、ドワンゴがKADOKAWAの完全子会社(カドカワの孫会社)になり、管理業務をKADOKAWAへ集約。持ち株会社カドカワの位置づけがよくわからない状態になってしまうので、恐らく、もう一段階くらいは組織変更がありそうです。
なお、出版事業は順調で、第3四半期決算資料(↓PDF)16ページの推移グラフを見ると、直近では電子の比率が4割近くなってるようです(※ただしブックウォーカーのプラットフォームとしての売上が含まれる)。
アマゾン、Kindleインディーズマンガの基金を2019年度も継続することを正式発表 ~ 人気度を基準に年間5000万円を分配〈HON.jp News Blog(2019年2月13日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/15501
2018年は半年で2000万円の基金でした。上積みされています。いままでとは少し違った形での「ゆりかご」が、着々と勢力を伸ばしつつあります。原稿料予算月400万円の「雑誌」として見るべきなのかも。
ニコニコ漫画、作品を応援するギフト機能と公開終了エピソード視聴機能を2月20日より追加〈HON.jp News Blog(2019年2月13日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/15497
ユーザーが投稿者を応援する仕組み。ニコニコ動画や生放送で以前から提供されている「ニコニ広告」とは少し異なり、広告枠への表示やランキングでのランクアップなどは、いまのところありません。クリエイター奨励プログラムに直結する「投げ銭」と捉えればいいかな? 面白い試み。
「諦めが悪いんですよ」電子専門出版社の生存戦略 ~ 株式会社アドレナライズ 代表取締役 井手邦俊氏インタビュー〈HON.jp News Blog(2019年2月14日〉
https://hon.jp/news/1.0/0/15482
インタビューしました。少し心配していたのですが、ほとんどの反響が好意的でした。よかった。こういう「成功事例」をもっと発信していきたいので、こちら(↓)からぜひ情報をお寄せください。
電子図書館200カ所で導入へ 返却不要、運営費も安く〈日本経済新聞(2019年2月14日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41253130U9A210C1MM0000/
「本格展開に乗り出す」とありますが、いままでも売り手側は本気だったのでは……? と思ってしまいました。大学向けは、丸善雄松堂の「Maruzen eBook Library」などの普及がかなり進んでいます。公共図書館向けも、電流協によると2019年1月1日時点で86自治体・83館になっています(↓)。100まであと少し。
海賊版ダウンロードの刑事罰、常習性が要件 文化庁素案〈朝日新聞デジタル(2019年2月15日)〉
https://www.asahi.com/articles/ASM2H55CNM2HUCVL01N.html
刑事罰には「常習的に行った場合」という条件が付くことになるようです。「重過失の場合」や「適法と違法の評価を誤った場合」も違法ではありません。これ、違法と合法をわける条件が複雑すぎませんかね? 私の周囲でもいまだに「スクショ違法」の見出しに釣られて勘違いし、適法にアップロードされた画像をダウンロードする行為をためらうような萎縮効果が起きているのを観測しています。
海外
EU、ネット著作権の保護強化 20年にも施行合意〈日本経済新聞(2019年2月14日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41286580U9A210C1FF1000/
アメリカの巨大IT企業を狙い撃ちにした著作権保護強化策が、2020年に施行される見通しに。Googleニュースの欧州からの撤退が検討されていたりするようですが、果たしてどうなるか。もしEUのやり方がうまくいくようであれば、日本も追随しそうな気がします。
米アップルの電子雑誌定額読み放題サービスに出版社側から不満の声〈HON.jp News Blog(2019年2月14日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/15505
サブスクリプションは、会員を増やすところに相当な労力が必要なので、料率50%というのはそれほどアコギとは思わないのですが、アップルがどこまで本気で会員を増やすための施策を打つか。なお、Apple Musicは昨年末に有料会員数5600万人を突破しているようです(↓)。
地元ニューヨーカーの反対にアマゾンが新社屋建設の断念を検討か?〈HON.jp News Blog(2019年2月11日)〉
米アマゾン、ニューヨークの新社屋建設を断念〈HON.jp News Blog(2019年2月15日〉
【ニュース解説】アマゾンはニューヨークのどこを見誤ったのか?〈HON.jp News Blog(2019年2月16日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/15530
アマゾンが本社のニューヨーク進出を断念。大原ケイさんによる解説です。最後の一行については、同じようなタイミングで出たこちらのニュースを参照(↓)。
メルマガについて
本稿は、HON.jpメールマガジンに掲載された内容を、1週間遅れで掲載しております。最新情報を入手したい場合は、ぜひメルマガに登録してください。無料です。