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2019年3月11日~17日は「ダウンロード規制、国会提出見送り」「『出版ニュース』休刊へ」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
違法ダウンロード範囲拡大関連
ダウンロード規制 紛糾…自民 対象拡大に反対意見〈読売新聞オンライン(2019年3月12日)〉
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190311-OYT1T50381/
文化庁幹部の「海賊版対策は元々、首相官邸主導だったはず」という恨み節が興味深い。確かに、昨年の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」は、内閣に設置された知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会で行われていたわけで、著作権法の改正案もその延長上にあるから「首相官邸主導」だ、と言うのはいちおう筋は通っています。ただ、もともと「静止画ダウンロード」と言ってたのが急に全著作物へ拡大したり、ビジネスに影響がある悪質な海賊版対策だったはずが微細な侵害まで対象になっていたりと、想定とは違ったモノになっていたから異論が噴出したのではないか? と思うのです。
ダウンロード違法化法案、通常国会提出見送り 自民〈朝日新聞デジタル(2019年3月13日)〉
https://www.asahi.com/articles/ASM3F31MFM3FUCLV001.html
ダウンロード違法範囲拡大部分の削除ではなく、まるごと提出見送りに。2月27日に出された、日本漫画家協会からの改善提案声明が大きかったようです。それを受け、MANGA議連会長の古屋圭司議員が本気で反対に回った、と。あと、法学者などからは評価の高かったリーチサイト規制にも「欠陥がある」と指摘した高木浩光氏の記事(↓)も、なにげに大きかったと思います。今回の提出が見送りになっただけで、まだこれで終わったわけではない、というのは肝に銘じておきましょう。
違法DL規制拡大見送り「大変遺憾」 権利者団体・CODAがコメント〈ITmedia NEWS(2019年3月14日)〉
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/14/news085.html
コンテンツ海外流通促進機構(CODA)はその名の通り「日本コンテンツの海外展開の促進とその障壁となっている海賊版対策」が目的の団体なので、日本コンテンツの日本国内流通に関わるダウンロード違法範囲拡大法案は管掌外のような気がするのですが。不思議。
国内(その他)
ピースオブケイク、「note」の法人向けプランを開始 ~ ブランディングやファンコミュニティ形成・収益化などをワンストップでサポート〈HON.jp News Blog(2019年3月13日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/21776
法人向けプランが登場。月額5万円から。オウンドメディアを手軽に運用するには良い選択肢の一つかも。
(活字の海で)「出版ニュース」70年の歴史に幕 最後まで喫緊の課題問う〈日本経済新聞(2019年3月16日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO4250720015032019MY5000/
3月下旬号の発行日は3月21日(のはず)なので、いまの時点で「終止符を打った」と書いてしまうのはちょっと違和感が。ともあれ、お疲れさまでした。
海外
カナダの“海賊党”が著作権まるで無視のフリーEブックサイトを再オープン〈HON.jp News Blog(2019年3月14日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/21806
原稿いただいてたのに気づかず、1週間ほど寝かせてしまってました……すみません。海賊党の活動はデジタルミレニアム著作権法によって守られている正当行為だ、という主張です。んなアホな、と思うのですが。
米アマゾンが自閉症のニセ科学本を削除〈HON.jp News Blog(2019年3月14日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/21802
個人的に、嘘を真と偽ってる本を、売る/売らないの判断は小売店側の自由だし矜持だとも思うのですが、いっぽうで「表現の自由が侵される」という危惧も理解はできます。憲法で定められている表現の自由は「公権力」からの自由ですが、広い意味で考えると巨大プラットフォームの専横を許していいのか? ということにも。なかなか難しい問題です。記事の反響でも「いいぞもっとやれ(意訳)」派と「怖い」派がまっぷたつでした。
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