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2020年5月11日~17日は「4月書店売上前期比6%減」「中国出版業界のコロナ禍対応解説」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
国内
マガジン航 【note分室】 を始めます〈仲俣暁生|note(2020年5月11日)〉
https://note.com/solar1964/n/n2c818c1827ba
HON.jpの理事でもある仲俣暁生氏が、noteで「作品」掲載の分室を開始。「衝動的に始める次第」「とにかくはじめてみます」というのが、非常に私好みなアクションです。今後が楽しみ。
オンライン教育に追い風 著作物の利用が原則自由化、条件は?〈日経クロストレンド(2020年5月12日)〉
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/skillup/00009/00097/
おなじみ、弁護士・福井健策氏によるQ&A形式の解説。非常にわかりやすいです。
紀伊國屋書店 電子図書館「KinoDen」同時アクセス数を期間限定で拡大、大学図書館支援〈文化通信デジタル(2020年5月12日)〉
https://www.bunkanews.jp/article/217329/
4月に「Maruzen eBook Library」が同時アクセス数の臨時拡大をしましたが(↓)、紀伊國屋書店の「KinoDen」でも同様の施策が始まりました。参加出版社も60以上に増えています。7月31日まで。
日販調査 4月の書店売上は休業増え6%マイナスに〈文化通信デジタル(2020年5月12日)〉
https://www.bunkanews.jp/article/217342/
緊急事態宣言で臨時休業店が出たにも関わらず、6%マイナス程度で済んだ、と言えるでしょう。コミックはなんと16.6%増。好調な『鬼滅の刃』以外に、『ONE PIECE』『進撃の巨人』の新刊が売上を伸ばしているようです。素晴らしい。
積文館書店、滞在時間制限で店内の3密を解消 八女店で実証実験〈ほんのひきだし(2020年5月12日)〉
https://hon-hikidashi.jp/bookstore/107510/
入場制限120名、滞在時間を30分、外の行列は100人までに制限することで「三密」を避けるという実証実験。緊急事態発令以降、土日は来客数が倍増していたそうで、やむを得ない措置でしょう。来店客からは、むしろ好評だったようです。ちなみに下北沢の本屋B&Bでは、1時間あたり3名までの予約制で営業を再開しています(↓)。
アマゾンが新小型タブレット 価格抑えアップルに対抗〈共同通信(2020年5月14日)〉
Amazon、新「Fire HD 8」キッズモデル登場〈リセマム(2020年5月14日)〉
https://this.kiji.is/633558982376047713?c=491375730748638305
8インチで9980円から。とにかく安い。キッズモデルも同時展開されています。基本、アマゾン専用端末ですが、Zoomなど競合しないサービスはアプリも展開されています。
図書館休館で「論文が間に合わない」 コロナ禍の「若手研究者」に降りかかる困難〈弁護士ドットコムニュース(2020年5月14日)〉
https://this.kiji.is/633602366763664481?c=491375730748638305
私は「図書館が開いてない」問題を、著者や出版社、校正・校閲という観点でコラムを書きましたが(↓)、学術研究にも影響が出ています。非常勤講師だと、電子図書館サービス・電子ジャーナルなどを、外から使わせてもらえないという待遇格差問題も。
事業継承先決定によるノベラボ継続のご案内〈ノベラボ(2020年5月15日)〉
https://www.novelabo.com/site/continue_site_announcement
会員向けお知らせメールを見て驚きました。ディスカヴァー・トゥエンティワンの小説投稿サイト「ノベラボ」が、6月1日からデザインエッグへ事業継承。パブーに次いで、ということになります。すごいなあ。
ebookjapan20周年記念特集〈ebookjapan(2020年5月17日)〉
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/content/20th_anniversary/ranking.html
イーブックイニシアティブジャパンが創業20周年。おめでとうございます。軌跡と各年のランキングがまとめられています。
電子書籍に巣ごもりの追い風 メディアドゥ、投資拡大〈日本経済新聞(2020年5月17日)〉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59200990V10C20A5X35000/
4月の電子取次売上が、前年比20%増だったとのこと。まあ、そりゃ伸びますよね。
海外
中国出版業界・書店業界はコロナ禍にどう立ち向かったか〈HON.jp News Blog(2020年5月11日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/29475
馬場公彦氏による、中文圏出版事情解説。今回は、出版社や書店の、コロナ禍対応についてです。書店は「人々の精神的な食糧を供給し、民族の歴史が記憶され共有される」場所だというフレーズに、ぐっときました。
米・OverDrive社、同社の電子書籍提供サービスを企業・大学・法律図書館向けに補完する新しい事業部門“OverDrive Professional”を設立〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年5月13日)〉
https://current.ndl.go.jp/node/40929
企業、学術(大学)、法律という、より専門性の高い分野の電子図書館を、別部門として立ち上げた、ということのようです。日本にも展開されるかな?
国際図書館連盟(IFLA)、新型コロナウイルス感染拡大により資料へのアクセスが制限されている状況下で電子的に配信可能な資料の申込ができる“Resource Sharing during COVID-19 (RSCVD)”を開始:ボランティアの図書館による事業〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年5月15日)〉
https://current.ndl.go.jp/node/40953
あくまで「ライセンスの範囲内で」ですが、デジタルでの資料提供を行うサービスの試行を開始したそうです。ちなみに日本図書館協会は、時限的に文献複写サービスでのメールやFAXなどによる利用者への送信を認めて欲しいという依頼をしていましたが、芳しい返答は得られていないようです(↓)。これ、根本的には、著作権法第31条の改正が必要かな……?
Apple Books for Authors Platform makes publishing easy〈Good e-Reader(2020年5月15日)〉
https://goodereader.com/blog/digital-publishing/apple-books-for-authors-platform-makes-publishing-easy
アップルが「Apple Books for Authors」という出版ポータルを開始。Mac専用アプリ「iTunes Producer」を経由せずとも、ウェブからiTunes ConnectにEPUBを直接アップロードできるようになりました。もちろん日本からも利用可能。大きな方向転換です。印税率は70%固定で、独占配信不要。iOSには始めから入ってる「Apple Books」アプリで購入・閲覧できるのが強み。まあ、Kindleに比べると日本での利用率が格段に低いのがアレなんですが、勧めやすくはなりました。朗報。
米グーグル提訴の公算 司法省と州、独禁法訴訟〈共同通信(2020年5月16日)〉
https://this.kiji.is/634152227579626593?c=491375730748638305
主収益源の「広告」に焦点が当てられているそうです。1998年にMicrosoftが提訴され、1審ではOS会社とアプリ会社に分割せよという命令が出た(その後高裁で差し戻し、和解)わけですが、Googleの場合どうなるんでしょうね?
Kobo Plus is Launching Soon (?) in The US and Canada〈The Digital Reader(2020年5月16日)〉
https://the-digital-reader.com/2020/05/16/kobo-plus-is-launching-soon-in-the-us-and-canada/
Kobo Plusは、Kindle Unlimitedのような定額読み放題サービスで、2017年2月の開始です。当初はオランダのみ、次いでベルギーで展開されていましたが、3年越しでようやくアメリカとカナダでも展開される、らしい、という記事。ローンチ当時は、日本にも早々に来るのではないかと予想していたんですが……。こちら(↓)はローンチ当時の記事。
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