「2020年出版関連動向予想」「アメリカの書籍出版産業2020」など、出版業界気になるニュースまとめ #406(2020年1月6日~12日)

出版業界気になるニュースまとめ

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 2020年1月6日~12日は「2020年出版関連動向予想」「アメリカの書籍出版産業2020」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

ポッドキャスト

国内

2020年出版関連の動向予想〈HON.jp News Blog(2020年1月6日)〉

 新年あけましておめでとうございます。 2020年も HON.jp News Blog をどうぞよろしくお願いいたします。 毎年恒例、編集長 鷹野凌による出版関連の動向予想です。2019年の予想と検証 2019年正月の予想は以下の5つ。自己採点の結果を右端に付けておきました。メディア自体の信頼度がより一層問われるようになる → ○既刊も含めた書籍の電子化率が高まる → △マンガ表現の多様化が進む → ×学校や図書館向けの電書供給が本格化 ...

 毎年恒例、今年の動向予想コラムです。昨年の振り返りとPEST分析を踏まえた上で、「出版社系ウェブメディアの逆襲」「書き手争奪競争の激化」「マンガの輸出入がより活発に」「児童生徒向けの電書供給が本格化」「音声コンテンツ市場の拡大」の5つを挙げました。8000字超ありますので、時間に余裕があるときにお読みください。

出版書誌データベース「Pub DB」が「Books」に名称変更〈HON.jp News Blog(2020年1月6日)〉

 一般社団法人日本出版インフラセンター(JPO)は1月6日、運営する出版物の総合カタログサイト「Pub DB(出版書誌データベース)」の名称を、「Books(出版書誌データベース)」に変更したことを発表した。 「Books」は、一般社団法人日本書籍出版協会(書協)が運営していた検索サイトを、JPOの下部組織「出版情報登録センター」(JPRO)が継承。JPROに登録している1400社の出版社が、国内で発行した紙と電子の書誌情報240万...

 「Books」→「Pub DB」→「Books」と、名前だけ元に戻りました。

竹書房、CDN大手の米Cloudflare社を提訴〈HON.jp News Blog(2020年1月6日)〉

 株式会社竹書房は1月7日、アメリカの電気通信事業社 Cloudflare,Inc. に対し民事訴訟を提起、昨年12月20日付で東京地方裁判所に受理されたことを発表した。 Cloudflare社は、コンテンツ配信ネットワーク(CDN:content delivery network)の大手で、J-streamの調査によると、日本語サイトでのシェアは1位(2019年10月時点)。大量のユーザーがアクセスしてもコンテンツ配信が滞らないよう、サーバーを分散設置するサービスな...

 Cloudflare社に対し、違法アップロードされた著作物を削除するよう求めても対応しないため、提訴に至ったとのことです。昨年7月に開催された、竹書房の竹村さんがゲスト登壇した弁護士ドットコムの関連イベントレポートはこちら(↓)。

 弁護士ドットコム株式会社は7月9日、渋谷区の hoops link tokyo にてイベント「Legal Tech Forum Vol.3 知財の未来」を開催した。同社が提供する違法サイト撲滅支援ツールと、印鑑文化に立ち向かうクラウド契約サービスを中心に、知財の問題や出版の課題について語られたこのイベントをレポートする。 リーガルテックとは、法律(Legal)とテクノロジー(Tech)を組み合わせた造語で、法務をテクノロジーで支援する取り組み...

ダウンロード規制で線引き 文化庁、法改正へ方針決定〈日本経済新聞〉

文化庁は7日、インターネット上に著作物を無断公開する海賊版サイト対策として、ダウンロードを違法とする著作権法改正に関する検討会の第3回会合を開き、大枠の方針をまとめた。漫画だけでなく、新聞や雑誌、論文などからのダウンロードも規制。軽微であれば違法としないものの、「論文の半分程度は違法」などと具体的な線引きを定めた。検討会は違法とする行為の対象について「著作権者の利益を不当に害する場合」に絞り込

海賊版漫画のダウンロード違法化、パロディーは対象から除外…文化庁案〈読売新聞オンライン(2020年1月7日)〉

海賊版ダウンロード違法化、対象絞り込みで一致せず 有識者検討会〈産経ニュース(2020年1月7日)〉

 著作権者の許可なく、漫画などをインターネット上に公開した「海賊版サイト」と知りながら、ダウンロード(DL)する行為の違法化について議論してきた文化庁の有識者検…

 私的ダウンロード違法範囲拡大の議論が大詰めです。日経の見出しを見ると、もう確定したのかと勘違いしてしまいそうですが、実際には「著作権者の利益を不当に害する場合」についての意見が割れており、議論が紛糾、どうなるか予断を許さない状況になっています。

 公聴者の投稿などを見るに、その辺りを正確に書いていると思われるのが、産経の記事です。「座長預り」ではなく、座長がとりまとめ案を作成したうえで委員に示し、了承を得られれば報告書として公表するという、ちょっと難易度が高そうな状態。もしかしたらもう1回、検討会が開かれることになるかもしれません。

 ちなみに検討会で合意できているのは、当初案の「海賊版と知りながら(主観要件)」は残したまま、「軽微なもの」と「二次創作(第28条)」の除外を追加すること、リーチサイト規制を親告罪とするところまで。また、同時に検討が進められている「写り込み」要件によってスクリーンショットを除外するのもほぼ決まりっぽいです。

 問題は「著作権者の利益を不当に害する場合」要件が入るなら、という条件付きで追加しなくてもよいとされた要件が複数あるのをどうするか。「著作権者の利益を不当に害する場合」要件を入れないなら、他の要件を入れないとまずい、ということに。どうやって着地させるつもりなのか、次の動きが非常に気になります。

 また、ちょっと気になるのが、1年前に「スクショ違法化」を問題視する記事を連発していた朝日新聞のスタンス。検討会の1回目開始と同時に「方針転換」という記事(↓)を出して以降、完全にトーンダウンしています。朝日新聞のサイトで検索してみましたが、今回の検討会3回目については記事が出ていないようです。なにがあったのか。

 インターネット上の海賊版対策のため、ダウンロードを規制する著作権法改正について、文化庁は、著作権侵害のイラストなどが一部に写り込んだスクリーンショット(スクショ)については違法としない方針に転換した…

 果たして、1月20日召集予定の通常国会で法案が提出できるかどうか?

新春講演会 2020年の電子出版はどうなる?──JEPAセミナー資料を公開します〈HON.jp News Blog(2020年1月8日)〉

 毎年、ご好評をいただいている年始恒例のセミナーです。HON.jp News Blog 編集長の鷹野凌が、メルマガで毎週配信している「気になるニュースまとめ」から、2019年の電子出版関連の主な動きを振り返り、2020年を予測しました。開催概要日時:2020年1月8日(水) 15:00-17:30(14:30受付開始)料金:JEPA会員社:無料、非会員社:3000円会場:麹町/紀尾井町:株式会社パピレス 4階セミナールーム主催:日本電子出版協会(JEPA)...

 こちらも毎年恒例になってきた、新春のJEPAセミナー。動画もYouTubeのJEPAアカウントで公開されています。内容的にはほぼ、大晦日の2019年回顧記事と、1月6日の2020年予想記事の内容をギュッと圧縮した感じです。スライドは CC BY-NC-SA 4.0 で公開しています。

次の10年に向け,持続する電子出版ビジネスを~2020年の先の電子出版ビジネスを考える:新春特別企画〈gihyo.jp … 技術評論社(2020年1月9日)〉

 毎年恒例、技術評論社 クロスメディア事業室室長 馮富久氏による、2020年の電子出版ビジネスの展望コラムです。テクノロジー関係の話が中心になっています。必読です。

オーディオブック市場は2024年度260億円市場に ~ MDB Digital Search 有望市場予測レポート〈HON.jp News Blog(2020年1月10日)〉

 株式会社日本能率協会総合研究所は1月9日、運営する「MDB Digital Search」の有望市場予測レポートで、オーディオブック市場の調査推計を発表、2021年度に約140億円、2024年度には約260億円市場に成長すると予測した。 同調査でのオーディオブックは、「声優やナレーターが朗読した書籍、講演・話芸などをコンテンツ化し、音声データ自体を商品としてウェブで提供しているサービス」と定義されている。人気声優を活用した朗...

 音声コンテンツ市場が拡大するという予想を出した直後に、このレポートです。2020年度から2021年度にかけての伸び率がすごい予測になっています。さてどうなるか。

「タブレット図書館」構築へ連携協定 高森町と町教委、熊日〈熊本日日新聞(2020年1月11日)〉

 先週もピックアップした、熊本県高森町のタブレット図書館の続報です。システムは、熊本日日新聞のものを使うとのこと。新聞紙面はともかく、リフローの電子書籍ビューアは開発するのが大変なので、恐らくどこかのビューアを使うと思うのですが。

海外

台湾で公共貸与権の試行導入が開始〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年1月6日)〉

 公共貸与権は、図書館での資料貸出しに対する補償を、著者及び出版者に行う制度。欧州では以前から複数の国が導入していますが、東アジアでの試行導入はこれが初めてとのことです。カレントアウェアネス・ポータルは、さすが国立国会図書館のサイトだけあって、本件も、各国の状況も、詳しく伝えられています。

アメリカの書籍出版産業2020:これまでの10年と、これからの10年について(1)~ Eブックで起こったディスラプション/米司法省対アップルと大手出版5社の談合の結末〈HON.jp News Blog(2020年1月8日)〉

 大原ケイ氏に、アメリカの書籍出版産業の過去10年と、これからの10年について解説いただきました。3日間連続更新の第1回は、「Eブックで起こったディスラプション」と「米司法省対アップルと大手出版5社の談合の結末」です。 主にアメリカの出版社で見聞きしたり、毎年の統計の数字を元に、自分なりに考察したことをまとめた。アメリカの出版業界を見渡すと、この10年のキーワードは「二極化」だろう。これは出版社でも、書...

アメリカの書籍出版産業2020:これまでの10年と、これからの10年について(2)~ 大きくなって交渉力をつけるか、小さくやってニッチを突くか/アメリカ出版業界の海賊版対策〈HON.jp News Blog(2020年1月9日)〉

 大原ケイ氏に、アメリカの書籍出版産業の過去10年と、これからの10年について解説いただきました。3日間連続更新の第2回は、「大きくなって交渉力をつけるか、小さくやってニッチを突くか」と「アメリカ出版業界の海賊版対策」です。第1回はこちら。大きくなって交渉力をつけるか、小さくやってニッチを突くか ここに私が指摘する出版社の二極化の理由がある。この10年で元々「ビッグ6」と呼ばれていた大手出版社6社のうち、...

アメリカの書籍出版産業2020:これまでの10年と、これからの10年について(3)~ セルフ・パブリッシングから生まれた本のアマチュアリーグ/Eブック市場はこれからの10年でどうなるのか?〈HON.jp News Blog(2020年1月10日)〉

 大原ケイ氏に、アメリカの書籍出版産業の過去10年と、これからの10年について解説いただきました。3日間連続更新の第3回は、「セルフ・パブリッシングから生まれた本のアマチュアリーグ」と「Eブック市場はこれからの10年でどうなるのか?」です。第1回はこちら。第2回はこちら。セルフ・パブリッシングから生まれた本のアマチュアリーグ アメリカの編集者やリテラリー・エージェントはよく出版のgatekeeperと呼ばれる。著者...

 大原ケイ氏に、アメリカの書籍出版産業の過去10年と、これからの10年について解説いただきました。3日間連続更新。こちらも3本合わせて8000字超あります。重厚ですが、面白い!

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CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0

※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 602 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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