「インボイス制度にさらなる経過措置?」「警視庁がカード決済中止を要請」「AppleとAmazonの広告」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #548(2022年11月20日~26日)

オームビル

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 2022年11月20日~26日は「インボイス制度にさらなる経過措置?」「警視庁がカード決済中止を要請」「AppleとAmazonの広告」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。

【目次】

政治

インボイス、フリーランス消費税軽減 売上税額の2割に〈日本経済新聞(2022年11月20日)〉

政府・与党は消費税の税率や税額を請求書に正確に記載・保存する「インボイス制度」で、フリーランスなど小規模事業者の新たな負担軽減策を設ける調整に入った。納税を免除されてきた事業者が課税事業者にかわる際、納税額を売上時に受け取る消費税の2割に抑える。2023年10月から3年間の措置で円滑な制度導入をめざす。自民、公明両党で議論して対応案を固め、12月中をめどにまとめる23年度税制改正大綱に明記する

 先週挙がっていた経過措置案は「小規模業者」ではなく「少額取引」を対象とするものでしたが(#547)、やっとまともに「小規模業者」を対象とした策が出てきました。「売上高500万円の場合、全商品が税率10%なら納税額は売上税額50万円の2割の10万円になる」とのことなので、従来の免税=ゼロではないものの、税負担はかなり減少する形になりそうです。ただし3年間の経過措置……釣られて課税事業者になると、3年後には100%負担が待っていることに。問題の先送り感。

 2022年11月13日~19日は「インボイス制度に経過措置検討」「公取委がニュース利用料調査」「pixivでクレカによる表現規制?」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。政治フリーランスの多くが廃業に追い込まれる…あらゆる団体が「インボイス制度は延期すべき」と訴えるワケ はっきりいって民間にはなにひ...

請求書保存、紙印刷も容認〈日本経済新聞(2022年11月25日)〉

政府・与党は2024年1月から企業に本格的に求める請求書の厳格なデータ管理保存を特例で緩和する。22年施行の電子帳簿保存法で、改ざん防止などのため厳格な保存を義務づけた。経理のデジタル化が遅れる企業を対象に請求書のデータを簡易保存することを条件に紙での保存も事実上、容認する。12月中にとりまとめる23年度与党税制改正大綱に盛り込む方針だ。対応に遅れる企業向けの措置だが、データ活用といった企業の

 本欄で以前、インボイス制度と並んでもう一つヤバイのが「電子帳簿保存法」だと指摘しましたが(#546)、税務当局が「相当の理由」があると判断すれば紙での保存も容認する特例を設けるとのこと。「会計ソフトへの登録」という事務処理が毎月発生する(従来の確定申告なら年1回で済んだ)問題は、これで軽減できそう?

 2022年11月6日~12日は「デジタル広告規制と品質向上は誰のため?」「収益化を急ぐTwitter社の試行錯誤」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。政治インボイス導入、もう一つの変革 請求デジタル化進むか〈日本経済新聞(2022年11月6日)〉https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA287T70Y2A021C200000...

FC2のカード決済中止求める 警視庁、違法わいせつ動画横行で〈朝日新聞デジタル(2022年11月21日)〉

 米国の動画視聴・販売サイト「FC2コンテンツマーケット」(FC2)で違法なわいせつ動画の売買が横行しているとして、警視庁がクレジットカード大手3社に対し、FC2でカード決済できなくするよう要請してい…

 公権力が、FC2との取引中止を「クレジットカード会社に要請」していたことが発覚しました。カード会社から促された取次事業者(※割賦販売法で「立替払取次業者」と定義されているアクワイアラのことでしょうか)が実際に契約を解除し、動画の販売数が激減したとのこと。わいせつ動画横行への対策とのことですが、さすがにこれは警察の権力濫用ではないかと騒ぎになっています。

 コロナ禍での自粛要請と同様「命令ではない」という建付けなのでしょうけど、このやり方がどんどん拡張していくのを許してしまうのは非常に危うい気がします。というか、このところDMM/FANZAやpixivで起きている表現規制の動きって、もしかして同じような圧力がかかっていたのでは? なお、山田太郎議員も早速動いています

米出版大手ペンギン、同業の買収破談に 違約金280億円〈日本経済新聞(2022年11月23日)〉

【ニューヨーク=弓真名】米出版最大手のペンギン・ランダムハウスが同業大手のサイモン・アンド・シュスターを買収する契約が破談になった。サイモン・アンド・シュスターの親会社、米メディア大手パラマウント・グローバルが21日発表した。米司法省は2021年、2社の合併について反トラスト法(独占禁止法)に違反するとし、連邦地裁に提訴していた。今年10月末には連邦地裁が買収を阻止する判決を下していた。サイモ

 先日、アメリカ連邦地裁から、ペンギン・ランダムハウス(PRH)によるサイモン&シュスター(S&S)買収計画を阻止する判決が出ていましたが(#545)、控訴して争うのかと思いきや、結局破談に。PRHはS&Sの親会社パラマウント・グローバルに2億ドルの違約金を支払う必要があるとのことですが、これ、原因は司法省の訴えと裁判所の判決なのだから、国家賠償って話にならないのかしら?

 2022年10月30日~11月5日は「Kindle Vella開始1年強で1000万ドル分配」「イーロン・マスク氏に買収されたTwitter社の今後」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。政治米連邦地裁、出版大手2社の合併計画に差し止め命令〈ロイター(2022年11月1日)〉https://jp.reuters.com/article/simon-schuster-m-a...

 なお、この記事は他の出版大手(ハーパー・コリンズやアシェット・リーブルなど)がS&Sの買収に関心を寄せているという一文で締められていますが、大手同業他社ならPRHと同じように独占禁止法で訴えられる可能性が高いわけですよね。そしてPRHの二の舞になる未来も見えてるわけで。よほどの確証がない限り、うかつに手を出せないのでは。

「NHKのネット活用業務」めぐり懸念示す。民放連、新聞協会〈AV Watch(2022年11月25日)〉

総務省は24日、NHKのインターネット活用業務を検討する「公共放送ワーキンググループ」を開催し、関係者から意見をヒアリングした。日本民間連盟と日本新聞協会は、公正競争を阻害する恐れがあるとし、業務の更なる拡大や、ネット活用業務の「必須(本来)業務化ありき」の議論に対し懸念を表明。ネット業務には、ある程度の規律が必要と訴えた。

 新聞協会から、“NHKが配信した記事が検索サービス上で上位に表示されるなど、ウェブ上にニュースを配信する以上、本質的には民間報道機関への影響は避けられないのではないか。”といった主張があったとのこと。本欄で以前、映像のネット配信ではなく、テキストで配信される「NHKニュース」への影響が気になると書いたのですが(#539)、やはりそうきましたか……。

 2022年9月18日~24日は「文科省、図書館に異例の御協力要請」「インボイス制度本名バレ問題に進展」「Kindle返金ポリシー変更」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。政治文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第3回)〈文化庁(2022年9月20日)〉https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/ch...

 実際のところ、NHKの記事って消えるのが新聞系より早い印象があります。1週間保たないことさえあるので、週1回の本欄で取り上げるのをためらうんですよね。まあ、新聞系もけっこう消しちゃうから、年単位で見ると同様に困るんですが。バックリンクを自ら踏みにじるスタイル。だから検索上位になれないのでは? という気もします。

社会

※デジタル出版論はしばらく不定期連載になります。ご了承ください。

論文の無料公開促進で合意 10大学、国際的な学術出版社と〈共同通信(2022年11月21日)〉

東京大など国内10大学は21日、論文の無料公開を促進することで国際的な学術出版社シュプリンガー・ネイ...

 図書館が出版社に払っている電子ジャーナル購読料を、オープンアクセス出版料に転換する契約。従来は、オープンアクセス出版するには著者が掲載料を支払う必要があったのを、大学側でまとめて負担することにより無料公開枠を得る形とのこと。海外のメディアでも取り上げられていて、ちょっと驚きました。この契約は、関与する大学が「各機関に適した速度での移行を可能にする」と評価されています。なるほど。

JEPA電子出版アワード 一般投票の受付開始〈文化通信デジタル(2022年11月24日)〉

 一般社団法人日本電子出版協会(JEPA)は11月24日、電子出版の普及促進を目的とした「電子出版アワード」の一般投票 を開始した。投票は専用サイトから誰でも可能。12月5日23時に締め切る。集計結果…続き

 今年も選考委員として、候補作品リスト作成のお手伝いをしました。部門がたくさんあるから、あまり偏らないようにするのが意外と手間だったり。ジャンル賞は誰でも投票できます。12月5日まで。

一般社団法人 日本電子出版協会のホームページです。電子出版・編集を考える出版界と情報産業界各社の団体。ニュース、調査報告、電子出版とは、会員限定情報など配信しています。

図書館の司書は「情報のプロ」、でも待遇は… 国に期待する役割とは〈朝日新聞デジタル(2022年11月25日)〉

 「手取り9万8千円で働く非正規図書館員です。図書館の今を知り、未来のために署名をいただけませんか?」 ある市立図書館で非正規職員として働く女性司書が、ネット署名を始めた。7万人以上が賛同し、11月上…

 朝日新聞で図書館司書の待遇についての特集が。何本か公開されてますが、長年司書育成に関わってきた都留文科大学の日向良和教授(図書館学)へのインタビューをピックアップしておきます。前半は非正規・低賃金で女性が多いことへの問題提起ですが、後半では自治体間格差の問題にも触れられています。なお、「扶養範囲の中に押し込めたり」という表現には、もちろん配偶者控除も含んでいると思われます(※扶養控除は配偶者以外が対象)。

経済

値上がり続く文庫本 平均価格800円超 20年で25%値上がり 千円台も続々 ハードカバーより高価買い取りのケースも〈まいどなニュース(2022年11月21日)〉

 かつてはワンコインのイメージがあった文庫本の値段が、年々上がっている。新刊の平均価格はこの20年間で約25%上昇し、昨年は1冊732円で、税込みでは800円を突破。今では千円を超えるものも珍しくない。一方、古書店では文庫本の需要が高くなっ…

 出版物の価格について、新刊書店と古書店に取材した記事。再販制度により新刊価格の決定権は出版社側にあるので、「原因」とか「理由」は出版社に聞かないとわからないんじゃないかな……まあ、一般向けの「やわらかニュースサイト」なので、そこまで深い掘り下げを求めるのは酷かもしれませんが。

 なお、本文にある「出版科学研究所(東京都)の調査」以降の数字は、「出版月報 2022年3月号」の特集「文庫本市場レポート2021」が出典と思われます。ちなみに「出版月報 2022年10月号」の特集は「出版物の価格を考える」で、紙はもちろん、電子出版の価格設定にも触れられているなど、かなり興味深い内容でした。

[特集]出版物の価格を考える●運賃、用紙代高騰で●出版物価格上昇は不可避【特集の概要】総務省が9月20日に発表した8月の消費者物価指数(2020年=100、値動きの大きい生鮮食品を除く)は前年同月比2.8%上昇と

 とくに「再販制度と委託販売制度によって、かつて“出版物は物価の優等生”と言われた」けど、近年は消費者物価指数を上回る価格上昇になっていることを、データ付きで明確に指摘しているのが良いと思いました。私が「デジタル出版論」で指摘していることでもありますが、こういう業界向けに歴史と権威ある媒体で発信されるとより効果的でしょう。

紙と電子の販売/配信モデルの違い 同じ内容の出版物でも、紙と電子とでは販売/配信モデルや適用される法制度などに、若干の違いがあります。少し深掘りしてみましょう。著作物再販適用除外制度(再販制度) 取次ルートの販売モデルでは、紙の本は小売店において「定価」で販売される場合がほとんどです。これは本来、一般的なメーカーと小売店の関係においては独占禁止法で「再販売価格維持行為」として禁止されている行為で...

 要するに、日本書籍出版協会「再販制度」のページが2001年4月から更新されておらず、「読者のみなさまへ」と呼びかけている主張が古いデータを根拠にしていて、現状とまったく合っていない状態になっているのはマズいのでは? という話なのですが。

出版事業に関わる活動を行う一般社団法人日本書籍出版協会(JBPA)は、再販制度、著作権、出版契約などへの取組みを行っております。

ピクスタ、漫画・アニメ・ゲームなどのキャラクターを広告などに使えるサービス「PIXTA IPコンテンツ」開始〈CreatorZine(2022年11月21日)〉

写真・イラスト・動画・音楽素材のマーケットプレイス「PIXTA(ピクスタ)」などを運営するピクスタは、新たに、漫画・アニメ・ゲームのキャラクターや、コ...

 せっかくの自社IPを、自社で展開していく余力のない中小企業向けのプラットフォーム、と言っていいでしょう。集英社・講談社・小学館・KADOKAWAあたりは、すでに自社でやってて収益の大きな柱になってますもんね。面白いのは、これが一般社団法人ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ(JCBI)の会員企業繋がりで始まった話だという点。今後、ブロックチェーンの活用という展開も出てくることでしょう。

ピクシブ、マンガなどのエンタメ商材に特化した運用型広告プラットフォーム「pixiv Ads」の正式版提供開始〈CreatorZine(2022年11月24日)〉

ピクシブは、アニメ・マンガ・ゲームなどのエンタメ系商材に特化した運用型広告プラットフォーム「pixiv Ads」正式版の提供を開始する。 「pix...

 マンガなどエンタメ系+広告の動きがもう一つ。こちらは「pixiv」や関連サービスへの運用型広告出稿を、セルフで簡単にできる仕組み。Google AdSenseやYahoo!広告といった、巨大IT企業の広告プラットフォームからの脱却を図る動きと言っていいでしょう。「pixivおよび関連サービスにおける広告表示面については、順次拡大をしていく予定」とありますが、恐らく「pixivおよび関連サービス」以外への展開も視野に入れているのでは。

米アップルが広告事業で失態 まさかの“方向転換”の布石なのか〈日経クロストレンド(2022年11月21日)〉

消費者のプライバシーの擁護者を自負し、そのために自社の製品やサービスの改革を進めてきた米アップルが最近、広告事業で失態を見せた。消費者のプライバシーを損ないかねない広告ビジネスへの注力は、これまでの姿勢で勝ち得てきた消費者からの“信頼”を失いかねず、大きなブランド毀損リスクを伴う。

 Apple「App Store」で、ギャンブル依存症の治療に役立つアプリを探していた人に、ギャンブルアプリを試すよう促す広告が表示されるといった「失態」が起きているというニュース。プライバシー保護強化によりGoogleやFacebookの収益に打撃を与えながら、自らも広告事業に身を投じていくのかと批判されています。

 関連して、iOSの新ポリシーでSNSでのブースト広告が「アプリ内課金とみなす」とされ、Meta社などが批判しているというニュースもありました。こちらも、Appleの広告事業強化への動きの一つ。10月末ごろからの動きだったようですが、あまり話題になっておらず見落としていました。どちらもMeta社狙い撃ちっぽい。

米アップルのアプリ配信サービス「アップストア」の最近のルール改定が、 中小企業を苦しめるという批判が浮上している。SNS(交流サイト)のフェイスブックの親会社米メタは、アップルの狙いは「他者を犠牲にして、自社事業を拡大すること」と同社を批判している。アップルは25日にアップストアのルールを改定し、広告主がフェイスブックやインスタグラムなどのSNS上で投稿を「ブースト」(短期間の広告の集中投下)

アマゾンの顧客満足度が低下、競合ECサイトを下回る〈JDIR(2022年11月23日)〉

 以前、本欄で「リテールメディアが急成長」という記事に対し、“ユーザーにとっては「広告だらけでうざい」プラットフォームになっていく可能性が、そしてベンダーにとっては「広告を出さないと売れない」プラットフォームになっていく可能性”と指摘しましたが(#535)、どうもその通りになりつつあるようです。これはアメリカでの調査ですが、マーケットプレイスの急拡大や検索精度の低下、偽評価や模倣品の横行などが原因と考えられているようで、日本でも同様の傾向が現れそう。

 2022年8月21日~27日は「韓国漫画が日本のお家芸を揺るがすってほんと?」「毎日新聞電子版、会員獲得の販売店に手数料」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります(ISSN 2436-8237)。政治「本が読みづらい人」でも読みやすい電子書籍に アクセシビリティーを評価するJIS制定〈ITmedia NEWS(2022年8月22日)〉https://www.it...

【メディア企業徹底考察 #85】ダウンラウンド上場のnote、成長には法人事業が鍵?〈Media Innovation(2022年11月25日)〉

 noteの上場分析関連で、「cakes」が炎上してサービス終了した経緯にもしっかり触れてる記事としてピックアップ。新規上場申請のための有価証券報告書にも、他の分析記事でも、不自然なくらい「cakes」には触れられていないのが気になってました。つい最近(2022年8月)までサービスが続いていたわけですから、来期以降の収入・支出に影響が出ないはずがない、と思うのですよね。

 法人事業(note pro)は、先行他社(「法人向けはてなブログ」とか)との競争になります。情報商材対策の負荷も重たいことでしょう。地方公共団体、学校、文化施設、中央省庁、独立行政法人向けには、すでに無償提供しています。「オウンドメディア」のクローズが相次ぐとも言われるなか、どう独自性を発揮していくか。私は、エクスポート機能が無い状態では、勧めづらいとずっと思っているのですが。

企業が自社サービスや商品について記事コンテンツを介して発信するのが「オウンドメディア」だ。広義ではメルマガや企業ブログ、コーポレートサイトなどもここに含まれる。このようなオウンドメディアは何度かブームを繰り返してきた。その変遷の中で、メディ

技術

Facebook、第3四半期は14億件のスパムに対処–前四半期から倍増〈CNET Japan(2022年11月24日)〉

Metaは、「Facebook」で対処したスパムコンテンツの数が、第2四半期の7億3400万件から第3四半期には14億件と、2倍近くに増加したことを明らかにした。

 Metaによると「8月にスパム攻撃が急増したことが原因」とのこと。こんな膨大な件数を人力で対処していたら、そのコストだけで大変なことになってしまいます。多くの場合、アルゴリズムで自動処理しているのでは――って、思いますよね? これ恐らく、FacebookページやFacebookグループの管理者が手動で対処した件数も含まれているのでは。

 というのは、実は、私が管理しているHON.jpのFacebookグループでもこの8月、実際にスパム投稿が急増していたのです。毎日のように何件かスパムがきて、手作業での対処を強いられていました。管理権限のない人には承認前投稿が見えないので、一般の参加者はスパムが増えたことには気づかないはず。

Facebookにログインして、友達や家族と写真や近況をシェアしましょう。

 HON.jpのFacebookグループは誰でも参加・投稿できますが、最初に参加・投稿するときは承認が必要な形に設定してあります。まあ、手作業での対処とはいえ、投稿しようとしている内容を確認して[承認しない]をクリックするだけの簡単な手順ではありますが。ちなみに、Amazon Sellerを名乗るスパムが圧倒的に多いです。

 ただ、私が管理者ではない他のFacebookグループでは、一般参加者にスパムが見える状態になっているところもありました。恐らく、参加・投稿に事前承認が不要な設定になっていたのでしょう。この場合、グループ参加者は「グループ管理者」またはFacebookに対する報告が可能です。

 つまり現状、FacebookページやFacebookグループへの投稿に関しては、グループ管理者にある程度の自治権を与える代わりに、コンテンツモデレーションの負荷も分担させる形になっています。しかもタダで。そのぶんFacebookは労力やコストをかけずに済んでいるわけです。

 余談ですが、パソ通時代、NIFTY-Serveのフォーラム管理者(SYSOP)は、けっこう高額なロイヤリティを貰っていたそうです。最盛期には年収4000万円を超えていたという証言も残っています。いまならテクノロジーで解決するのがクールなんでしょうけど、往々にしてユーザーにタダでやらせる方向に進むんですよね。

お知らせ

イベント

 11月28日開催の日本出版学会出版デジタル研究部会(HON.jp共催)は『パブリッシング・スタディーズ』第4章「書籍」第3節「デジタル化と今後の展開」の執筆を担当した林智彦会員(有斐閣)にご報告いただきます。

【概要】2022年4月に刊行された日本出版学会(編)『パブリッシング・スタディーズ』は、出版史から制度、産業、書籍・雑誌・マンガ、デジタルコンテンツ、書店・読者までを概説する。「... powered by Peatix : More than a ticket.

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雑記

 サッカー日本代表がワールドカップ本戦でドイツ代表を破るという大波乱があったそうですね。以前の自分なら大騒ぎしていたと思うのですが、いまは自分でも不思議なくらい心が動きません。「ドーハの悲劇」のころから30代後半までは夢中で観ていたはずなのに。なぜだろう?(鷹野)

CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

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著者について

About 鷹野凌 736 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学デジタル編集論非常勤講師 / 二松學舍大学エディティング・リテラシー演習非常勤講師 / 日本出版学会理事 / デジタルアーカイブ学会会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。
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