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【目次】
インターネット(Internet)とは?
主要メディアのアンカーは「インターネット」です。
精選版日本国語大辞典(小学館)によると、「複数のコンピュータネットワークを公衆回線または専用回線を利用して相互に接続するためのネットワーク」と定義されます。日本で最初のインターネットサービスプロバイダー(ISP:Internet Service Provider)登場や、日本で最初のウェブサイト公開は、1992年のことです1JPNIC「インターネット歴史年表」より。日本初のインターネットサービスプロバイダ(商用接続サービス)はAT&T Jens株式会社の「SPIN」。日本初のウェブページ公開はKEK(文部省高エネルギー物理学研究所計算科学センター、現:高エネルギー加速器研究機構) https://www.nic.ad.jp/timeline/。つまり本稿執筆時点(2022年)は、日本の商業インターネット開始から30周年となります。
ここまで述べてきた5つの伝統的メディアは、基本的に、情報を大衆に向け一方的に発信します。それに対しインターネットは、情報の受発信が即時的(real time)に可能な、双方向(interactive)メディアという特徴があります。また、文章・図画・音声・映像などあらゆる情報は、コンピュータ上ではすべて0と1のビットで表現されます。そのため第1章で述べたように、情報メディアを異にする区別は機能しなくなっています。
インターネットのビジネスモデル
インターネットに関連するビジネスは「情報通信産業」と呼ばれ、2019年の名目国内生産額が100兆円を超える国内最大規模の産業です2総務省「令和3年版 情報通信白書」より https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd241110.html。日本標準産業分類3総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」より https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/02toukatsu01_03000023.htmlの「情報通信業」に分類される、通信業、放送業、情報サービス業、インターネット附随サービス業、映像・音声・文字情報制作業のほか、関連する製造業やサービス業なども含まれます。
第1章で述べた「著作物を複製して頒布」=コンテンツ・パブリッシング以外にも、移動電気通信、受託開発、組み込みソフト、ゲームなどパッケージソフト、情報処理サービス、情報提供サービス、ポータルサイト・サーバー運営(ここに検索サイトやEC・オークションなども含まれる)、アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP:Application Service Provider)、利用サポートなど、ビジネスの範囲は非常に広いです。
ビジネスモデルという観点ではこれらの隣接する領域も無視はできませんが、ひとまずここではコンテンツ・パブリッシングに絞った話をします。国内コンテンツ産業の市場規模を毎年調査しているデジタルコンテンツ協会の「デジタルコンテンツ白書」4一般財団法人デジタルコンテンツ協会「デジタルコンテンツ白書」2021年版 http://www.dcaj.or.jp/project/dcwp/ を参照してみましょう。
この白書では、情報の中身である「コンテンツ」は、動画、音楽・音声、ゲーム、静止画・テキストの4つと、その複合型に分類されています。また、コンテンツを提供するための場や装置と定義している「メディア」は、パッケージ、ネットワーク、劇場・専用スペース、放送の4つに分類されています。
ここにはもちろん、伝統的メディアをデジタル化した分野以外に、はじめからデジタルで発信される「ボーンデジタル」な領域も含まれます。ソーシャルメディア――電子掲示板、ブログ、Wiki、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS:Social Networking Service)、ポッドキャスト、動画共有、映像配信など、だれもが閲覧だけでなく発信者にもなれるサービスが展開されています。
いきなり世に出し、ユーザーから直接評価を受けることが可能に
そういったサービスを伝統的メディアと区別し、消費者生成メディア=CGM(Consumer Generated Media)と呼びます。また、CGMで利用者が生成したコンテンツのことをユーザー生成コンテンツ=UGC(User Generated Content)と言います。消費者が生産者と同じレベルの知識や技術、発信する手段を持ち得る時代になったのです。
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