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【目次】
パブリッシャーとプラットフォーマー
インターネット広告の市場が急激に拡大するいっぽうで、マスコミ4媒体の広告費は漸減し続けています。ところが、マスコミ4媒体が自社で運営しているウェブメディアは、広告であまり稼げていないのが現状です。
電通「日本の広告費」によると、「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」は2021年時点で1061億円1電通「2021年 日本の広告費」より https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0224-010496.html。「インターネット広告費」2兆7052億円から制作費や物販ECサイト系広告費を除いた「インターネット広告媒体費」は2兆1571億円なので、マスコミ4媒体由来のデジタル広告費は約5%に過ぎません。
では、残りの約95%はどこが稼いでいるのでしょうか? 広告ビジネスの規模は一般的に、閲覧するユーザーの数に比例します。つまり、マスコミ4媒体系のウェブメディアより、人を多く集めている場所があるわけです。マスコミ4媒体を持たないボーンデジタルなパブリッシャーも多く存在していますが、もっと桁違いに大きなところがあります。
それは、たとえば「Google検索」や「Yahoo!検索」などの検索サイト(検索エンジン)や、本章の雑誌レイアウトのところでも触れた「Yahoo!ニュース」「スマートニュース」「Googleニュース」などのデジタルニュース配信専門事業者(コンテンツアグリゲーター)といった、プラットフォームです。
検索サイトは、ユーザーが入力したキーワードに応じて検索結果ページに表示する「検索連動型広告」で稼いでいます。電通グループの「インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、2021年の検索連動型広告は7991億円2電通グループ「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」より https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0309-010503.html。インターネット広告媒体費の広告種別構成比で37.0%と、最大です。検索サイトについては、第5章「検索技術と広告」で詳しくお話しする予定です。
コンテンツアグリゲーター
ではコンテンツアグリゲーターはどうか? 日本ABC協会のデータによると、自社ページビュー(PV)で1位の文藝春秋「文春オンライン」は月間約3億3524万PVです3一般社団法人日本ABC協会「【雑誌発行社会員】 Web指標一覧 (2021年10-12月期)」より https://www.jabc.or.jp/news/abc_report/2022/03/02_2371.html。ところが「Yahoo!ニュース」が公表している数字は、月間約150億PVと桁違いの閲覧数を叩きだしています4総務省プラットフォームサービスに関する研究会(令和元年7月開催)配布資料3「フェイクニュース問題に対する取組み」(ヤフー株式会社政策企画部)より。ただし、このページビュー(PV)という指標は、[続きを読む]ボタンの有無、ページ分割、クリックすると拡大する画像の存在などによって大きく左右される。同じ土俵で計測しているわけではないので、あくまで目安程度に捉えておいたほうがよい。 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/platform_service/02kiban18_02000068.html。「Yahoo!ニュース」は、契約パートナー約300社、約500媒体から記事を集め、1日約5000本の記事を配信する、巨大なプラットフォームなのです。
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