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【目次】
雑誌(Magazine)とは?
次のメディアは「雑誌」です。こちらも定義から。精選版日本国語大辞典(小学館)によると、雑誌は「種々雑多な事柄を書いたもの」あるいは「一定の誌名のもとに号を追って定期的に刊行する、簡単に綴じた出版物」です。
「雑誌」という言葉は、江戸幕府の洋学教育研究機関・開成所の教授をしていた柳河春三による magazine の訳語とされています1『西洋雑誌』第1号の巻末には「此雑誌出板の意ハ、西洋諸国月々出板マガセイン(新聞紙の類)の如く、広く天下の奇説を集めて、耳目を新にせんが為なれば」と、翻訳の経緯が述べられている。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3508484。柳河は、1867年(慶応3年)に発行された日本最初の雑誌とされている『西洋雑誌』の発行人でもあります。
なお、世界最初の雑誌は1665年にフランスで創刊された『Journal des Savants(ジュルナール・デ・サバン)』――としている文献が多い2レファレンス協同データベース「雑誌の起源を調べている。世界最初の雑誌は何という名前で、いつ頃創刊されたのか」(2012年1月19日)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000100101ようですが、年鑑・年代記は15世紀なかごろの活版印刷誕生直後から、月報は16世紀の終わりごろから、週報は17世紀初頭から存在していたそうです3ピエール・アルベール『新聞・雑誌の歴史』(斎藤めぐみ訳・白水社・2020年)p12~。また、広告枠が登場したのは19世紀初頭のことです4ピエール・アルベール『新聞・雑誌の歴史』(斎藤めぐみ訳・白水社・2020年)p60~。
雑誌は定期刊行物で、本よりサイズが大きい
ユネスコの定義51964年文部省(当時)による「図書及び定期刊行物の出版についての統計の国際化な標準化に関する勧告」の仮訳より。
https://www.mext.go.jp/unesco/009/1387084.htmでは、非定期刊行物の本に対し、雑誌は定期刊行物という違いがあります。終号数が前もって確定していないことや、シリーズの各号に一連の番号または日付が付されること、といった条件もあります。新聞を含め「逐次刊行物」とも呼ばれます。本には「49ページ以上」という条件がありますが、雑誌にはありません。本に比べるとページ数が少なく薄いため、中綴じなど簡易な製本である場合が多いです。
紙の雑誌は一般的に、本より大きな寸法が用いられます。そのぶん複雑なレイアウトが可能です。複雑なレイアウトには、文字と図版の配置そのものにも意味が込められている場合があります。そのため電子版では、紙のレイアウトをそのまま流用する固定レイアウト形式が用いられる場合が多いです。つまり、閲覧する端末のディスプレイサイズは、より大きな影響を及ぼします。
このため、雑誌などへ掲載された記事をウェブメディアへ配信する際には、ディスプレイでの閲覧に適した形へレイアウトし直す手間をかけている場合も多いです。そうすることで、自社のウェブメディアだけでなく、「Yahoo!ニュース」「スマートニュース」「Googleニュース」などのデジタルニュース配信専門事業者(コンテンツアグリゲーター)に扱ってもらうことも可能となります。
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