「ジャンプ連載作が世界へ無料配信」「アマゾン書籍買い切り仕入れ交渉中」など、出版業界気になるニュースまとめ(2019年1月28日~2月3日)

出版業界気になるニュースまとめ
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 2019年1月28日~2月3日は「ジャンプ連載作が世界へ無料配信」「アマゾン書籍買い切り仕入れ交渉中」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

ジャンプ連載作が日本と同時に全世界で無料で読める海外向けサービススタート〈コミックナタリー(2019年1月28日)〉

https://natalie.mu/comic/news/317721
 日本語版発売と同時に、英語版は一部地域を除く全世界を対象に無料配信されるというすさまじいサービス。「日本、中国、韓国を除く」というのがポイントか。正規版が同時配信されることにより、ファンフィクションという名の海賊版が撲滅される効果が期待できそうです。

Onyx International「BOOX Nova」 ~Google Playストアを利用可能、E Ink搭載の7.8型Android端末〈PC Watch(2019年1月28日)〉

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ebook/1166540.html
 Google Playが使えるE INK端末ということで期待していたのですが、ファームウェアが足を引っ張ってしまっているようで残念。個人的にE INK端末は文字もの用だと捉えているので、このレビューではあまり触れられていないのが……自分で試してみるしかないか。6型のほうはどうなんだろう?

ナンバーナイン、電子書籍配信代行事業開始から半年でコミック配信数累計1000作品を突破〈HON.jp News Blog(2019年1月29日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15241
 7カ月で1000作品突破は立派な数字。配信ストア数200超というのもすさまじい。開始直後にインタビューした際、販売数を可視化する契約作家向けの管理画面を提供しているという話(↓下記URL参照)でしたが、ストア増に対応しきれているのでしょうか。ちょっと心配です。
https://hon.jp/news/1.0/0/12330

U-NEXTのブックサービスがリニューアル ~ BookPlaceが統合、購入済みコンテンツも引き継ぎ〈HON.jp News Blog(2019年1月29日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15248
 2つのBookPlaceが1つに統合し、ついにBookPlaceの名称も消えました。U-NEXTは月額1990円で、映像作品約9万本が見放題、雑誌70誌が読み放題なのに加え、毎月1200ポイントが加算され、本や映画などの購入に使えるというハイブリッドシステム。エンタメを総合的に楽しみたいなら、選択肢の1つとしてアリだなと思いました。

セルシス、「国際コミック・マンガスクールコンテスト」を1月30日から開催〈HON.jp News Blog(2019年1月29日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15213
 頭に「国際」が付いているように、国を問わず募集されているというのがすごい。募集ページももちろん日本語だけでなく、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、韓国語、繁體中文が用意されています。

丸善ジュンク堂書店の店頭検索機と「honto with」で近刊タイトルの予約が可能に〈HON.jp News Blog(2019年1月30日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15253
 「店頭お受け取り」サービスが近刊予約でも使えるように。正直、やっとか! という思いのほうが先に立ちますが、便利になることは間違いありません。近所に丸善ジュンク堂書店の店舗があれば。

ローソン、書籍棚設置店舗を4,000店に拡大。近隣に書店のない地域中心〈Impress Watch(2019年1月30日)〉

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1167305.html
 「マチのほっとステーション」が「マチの本屋さん」に。少し前に、書店ゼロ自治体が増えているというニュースがありましたが、書棚設置ローソンは書店としてカウントされるのでしょうか?

BOOK☆WALKER、1日10分までページ制限なしで試し読みができるサービスを開始〈HON.jp News Blog(2019年1月31日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15279
 面白い試み。電子版の試し読みは冒頭から5%とか10%、みたいに一律で決められている場合が多いのですが、これなら後ろのほうにある気になるところを確認してから買えます。記事の反響では、機械で高速ページめくり&スクリーンショット、みたいな不埒なことを考える人が現れそうだという心配の声もありました。が、「読書ノート」機能でわかるように、普段の読書速度は把握されてますから、10分だけ異常に早ければ簡単にバレますよね。対策していないはずがない、と思います。

政府、海賊版視聴に警告画面 接続遮断「対策後に判断」〈日本経済新聞(2019年2月1日)〉

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40776860R00C19A2EA3000/
 ブロッキング法制化を断念する代わりに浮上してきた案。記事への反響を見ていると、この案が突然降って湧いてきたかのように捉えている人が結構多いのですが、昨年行われた海賊版対策検討会議(タスクフォース)で、東大の宍戸教授が提案していた「アクセス警告方式」です。
第5回(↓)で概略が、
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/kaizoku/dai5/siryou11-1.pdf
第6回(↓)では補足資料が提出されています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/kaizoku/dai6/siryou4.pdf
タスクフォースの中間まとめ(案)でも3ページ(64~66ページ)が割かれています(↓)。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2019/contents/dai1/siryou1-2.pdf
 宍戸教授の言葉を借りれば、「本人の同意により通信の秘密や知る権利がその範囲で放棄される」ことにより、違法性が阻却されるという建付けです。しかしこれはこれで、ブラックリスト・ホワイトリストがどのように決められ管理されていくのかなど、さまざまな問題をはらんでいるのは間違いないように思います。また、宍戸教授は「静止画ダウンロード」の違法化を前提として考えていたようですが、いま検討されているのは全著作物に対象を広げるというもの。さて、どうなるか。

アマゾン、書籍買い切りへ出版社と交渉 物流費減らす〈日本経済新聞(2019年2月1日)〉

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40731690R30C19A1000000/

アマゾン「書籍買い切り」 値下げも視野 出版業界に波紋〈日本経済新聞(2019年2月2日)〉

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40786350R00C19A2TJ2000/
 2月1日に行われた出版社向けの説明会で、検討していることが明かされたとのこと。反響を見ていると、アマゾンを黒船になぞらえ「外圧でしか変われない」うんぬんという意見が目に付きますが、リアル書店側も大手はすでに数年前から買い切り仕入れに動いています。2015年に、紀伊國屋書店が村上春樹氏『職業としての小説家』初版の9割を買い切りで仕入れ「買い占め」だと批判された(↓)のは記憶に新しい。同じく日経の記事なのですが、アマゾンの買い切り記事では触れられていないのが不思議……。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21I1N_R20C15A8EA2000/
 なお、文化通信星野編集長によると、紀伊國屋書店の買い切り仕入れは2017年時点で約200点にも及んでいたようです(↓)。
http://hon-hikidashi.jp/more/42857/2/

海外

米公共図書館のEブック貸し出し経費が重荷に〈HON.jp News Blog(2019年1月28日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15201
 OverDrive社への批判かと思いきや、出版社の値付けがフェアでないという意見。図書館司書の立場から考えると、需要がわからないうちに一般向けの数倍かかる恒久ライセンスで買うのはためらわれるでしょうし、だからといって貸出数課金では需要が高かった場合に予算を食ってしまう。なかなか難しいところでしょう。貸出数方式で契約しておいて、需要が高かったら途中から差額負担のみで恒久ライセンスへ切り替えできるようなパッケージはあるのかしら?

英ブッカー賞が新しいスポンサー探し〈HON.jp News Blog(2019年1月28日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/15197
 ヘッジファンドのマン・グループがスポンサーだから、「マン・ブッカー賞」だったのですね……恥ずかしながら、知りませんでした。次はどんな名前になるのでしょうか。

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著者について

鷹野凌
About 鷹野凌 523 Articles
HON.jp News Blog 編集長。NPO法人HON.jp 理事長。明星大学/二松學舍大学/実践女子短期大学の非常勤講師で、デジタル編集論/表象メディア演習/デジタル出版論/デジタル出版演習を担当。出版学会員/デジタルアーカイブ学会員。主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)。アイコンは©鈴木みそ氏
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