米公共図書館のEブック貸し出し経費が重荷に

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 全米各地の公共図書館でEブックの貸し出しが定着してきたが、経費負担がのしかかっているとフィラデルフィアの地元紙が伝えている。

 メータード・アクセス(metered access)と呼ばれるシステムでは貸し出し数で課金されるが、これが図書館側の予算を食い、貸し出し業務全体の非効率化に繋がっていると図書館関係者は忠告している。メータード・アクセスでは1年あるいは2年と決められた期間と貸し出し回数が決められ、どちらかが上限に達するとその本は蔵書から消えてしまう仕組み。これに対し、一定料金でEブックを買う恒久ライセンス版(perpetual ebook license)の図書館向け価格設定は一般消費者用の本の4~5倍かかる。

 読者が「無料で気軽にEブックにアクセスできる」ことを目指す、国内約300の図書館が緩く繋がる ReadersFirst という団体のマイケル・ブラックウェル会長は、「図書館にとってデジタルコンテンツの扱いがいちばんの課題」「ケチるつもりはないが、大手出版社の値付けはフェアではないと思っている」という。

 全米図書館協会のアラン・イノウエは「中には図書館にEブックを貸し出すのは儲けが減ることだと考えている出版社もあるらしいが、図書館は著者に代わって本を宣伝しているようなもの」という。そこで、各業界のステークホルダーが昨年5月に集い、OverDrive からデータを集め、図書館での貸し出しが出版社にどういう影響を与えているのか、数値を出して見極めようという動きがある。

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米フィラデルフィア・インクワイヤラー紙の記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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