「アフィリエイトや不適切広告へ規制包囲網」「電子出版アワード2021一般投票開始」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #499(2021年11月21日~27日)

千代田区役所

《この記事は約 10 分で読めます》

 2021年11月21日~27日は「アフィリエイトや不適切広告へ規制包囲網」「電子出版アワード2021一般投票開始」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

政治

中国テンセント「10年来初の減益」に陥った事情 | 「財新」中国Biz&Tech〈東洋経済オンライン(2021年11月22日)〉

中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は11月10日、2021年7~9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比13%増の1423億7000万元(2兆5248億円)と2桁増収を維持。国際会計基準の純利益は同3%増の395…

 中国政府による未成年のゲーム依存症防止対策の影響で、ゲーム事業が減速しているそうです。また、広告事業も教育改革政策のあおりを受けているとのこと。国家機関の政策が企業の収益に大きな影響を及ぼすという意味で[政治]ジャンルにピックアップ。これ、自由の国アメリカでも、このまま規制が進むと似たようなことが起きそうです。

第5回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年11月26日)〈消費者庁(2021年11月26日)〉

 まだ検討中ですが、けっこう広い範囲に影響がありそうな雲行きです。広告主や代理店は「アフィリエイターが勝手にやったこと」といった言い訳が通用しなくなるような規制が入りそう。そしてメディア側にも、【広告】と明示する義務が課される可能性が。これ、過去記事に膨大な修正が必要になる(そんなことやってられないので過去記事を消す)メディアもありそうです。

社会

非売品のKADOKAWA社史、無償配布 「読みたい」という多くの声受け 電子版を11月30日まで〈ITmedia NEWS(2021年11月22日)〉

KADOKAWA傘下のブックウォーカーは11月22日、電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」にて、KADOKAWAグループの社史の無償配布を始めた。11月30日までの期間限定。

社史にしてサブカル史にしてビジネス書――期間限定で無料プレゼント中の『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』がいかに貴重であるのか〈IGN Japan(2021年11月25日)〉

 非売品かあ、と指をくわえていたら、まさかのプレゼント。BOOK☆WALKERで入手できます。太っ腹。IGN Japanに載っているタニグチリウイチさんのレビューによると「同時代的証言と資料的論証によって綴られたとてつもなく貴重な本」とのこと。入手期限は11月30日までです。なお、文庫・ラノベ読み放題を契約してると「読み放題で読む」ボタンが大きく目立って、「購入する(カートへ入れる)」リンクが目立たないのが罠。引っかかるところでした。「カートに入れる」で0円購入しましょう。

マンガ売上ランキングからBL、ホラーまで。TikTokフォロワー14万人「書店員はな」が語る、TikTokで本を売る方法〈ダ・ヴィンチニュース(2021年11月26日)〉

「TikTokで話題」という帯が本を売り、書店にはTikTok特集コーナーが設けられるなど、TikTokのクリエイターが紹介した小説やマンガが話題だ。10代や20代など…

 ここしばらくTikTokerけんごさんが話題になっていましたが、別の方も出てきましたね。しかも現役書店員。マンガはコマを引用(あくまで引用です)して紹介すると映えやすいので、映像にも向いていると思います。年頭に「映像コンテンツの需要がより高まる」と予想し、昨年にTikTokで紹介され売れた事例(スターツ出版)も紹介しているのですが、今年になってここまで影響力が大きくなるのはさすがに想像以上でした。日経クロストレンド&日経トレンディの2021年ヒット商品1位に「TikTok売れですもんね。

2021年11月4日発売の「日経トレンディ2021年12月号」では、日経クロストレンドと11月3日に発表した「2021年ヒット商品ベスト30」を特集。1位に「TikTok売れ」が選ばれた。TikTokは動画で消費を動かす最強のプラットフォームへと進化を遂げ、地球を模した「プラネットグミ」(地球グミ)からBMWまであらゆる消費の起点になっている。企業はマーケティングツールとしても活用し、「インスタ映え」を超えるムーブメントになった。

経済

新型コロナ: 不適切ネット広告に包囲網 グーグルは55万件削除〈日本経済新聞(2021年11月25日)〉

化粧品や健康食品などのネット広告に使われる誇大・虚偽表現への包囲網が狭まってきた。劣等感をあおる表現は嫌悪感を招き、法に触れるケースもある。ネット広告トラブルは年10万件超と過去最多を更新した。規制の厳格化もあり、関連業界は対策に本腰を入れ始めた。米グーグルの日本法人は10月、動画投稿サイト「ユーチューブ」で2020年6月以降に規約違反で55万件の広告を削除したと公表した。誇大表現や性的表現の

 薬機法違反や不愉快広告問題。YouTube、ヤフー、popInなどの取り組み事例が紹介されています。「掲載先のサイトも収益優先で掲載しているケースがあるのは否めない」のは確かにそうなのですが、できるだけ排除しようと頑張ってみた経験から言わせていただければ、運用型広告はどれだけメディア側が神経尖らせていても、なんとかフィルタを突き抜けようと悪い意味で創意工夫をしてきやがる広告主・代理店が多すぎて、ぶっちゃけ監視しきれないです。

 Google AdSenseで「デリケートなジャンル」をすべてブロックし、嫌な広告が出る可能性がある一般ジャンルも徹底的にブロックしたのに、それでもたまに不愉快広告が突き抜けて表示されちゃう場合がありましたから。昨年、気象庁が運用型広告を諦め予約型だけにしました(そして収入は見込みの30分の1になった)が、メディア側で完全に防ごうと思ったらそれしか手がないのが現状です。いや、ほんと無理。

 気象庁は19日、ホームページで掲載を停止していたウェブ広告を再開させた。昨年秋に運用を開始したが、不適切な広告が次々と表示され、わずか1日で停止に追い込まれていた。規制を強化したことで、掲載開始前に…

技術

始まる前から終わっていた6人のベストセラー作家によるNFTの世界、「廃墟の王国」の顛末〈TechCrunch Japan(2021年11月21日)〉

米国時間10月25日の朝「The Ruin stirs, and the Five Realms rumble(廃墟が復活し、五つの世界の争いが始まる)」というサイトがウェブで公開された(現在はアーカイブ化されている)。サイトには次のように記されている。「New York Timesのベストセラー作家であり、数々の..

 作家がNFTを使ってファンフィクション(二次創作)のコミュニティを形成しようとして失敗した事例。ファンは二次創作作品を投稿する際にNFTとしてミント(登録)し、作家がその投稿作を面白いと思ったら公式化する、あたりのルールは面白い。ただ、その先の説明不足や計画性の欠如により、結局すぐに破綻し数時間でプロジェクトを取り下げることになったそうです。廃墟を舞台とした作品が廃墟と化してしまった皮肉。

 日本だとKADOKAWAのカクヨムが、許諾を得ている作品に限り二次創作作品の投稿を公式で認めているプラットフォームで一定の成功を収めているように見えます。しかし、アメリカだとAmazonのKindle Worldsの失敗など、うまくいってない事例のほうが多いようです。二次創作によって生まれた二次的著作物には、その著者だけでなく原作者にも著作権が自然発生するという著作権法の難解さに加え、さらに理解が難しい&誤解しやすいNFTを絡めるのは、非常に難度の高いことだと思います。

投稿のAI監視 ヤフー「グレーゾーン」に苦慮〈日本経済新聞(2021年11月21日)〉

不適切なユーザー投稿を人工知能(AI)で削除する動きがネット企業の間で広がっている。ヤフーはニュースサイトで他人への誹謗(ひぼう)中傷などが相次いだ場合、投稿欄を自動で非表示にする仕組みを導入した。米テック大手が取り組みで先行するが、違反か判別しづらい「グレー」投稿の摘発に苦慮している。表現の自由を優先してきたネット企業だが社会的責任とのバランスが新たな課題となっている。SNS(交流サイト)や

 表現の自由と、プラットフォームによる規制の問題。AIによる判定というのもあって[技術]ジャンルに入れたのですが、情報法制との関連で[政治]ジャンルに入れるか迷いました。国家機関による表現規制はダメ絶対なのですが、民間営利企業が運営するサービス上での表現規制というのは、利用規約次第ではないかと思うのです。もちろん、投稿がバシバシ削除されるような「表現の自由が守られない場」となると、ユーザーが離れていってしまう恐れはあるわけですが。

VR空間でガチに原稿を書いたらその実用度に驚いた 「バーチャルで仕事」のメリットと課題〈ITmedia NEWS(2021年11月26日)〉

 西田宗千佳さんによる、VRで仕事のレビュー。課題として挙げられているのは、HMDの重さや不快感のみ。「自分1人しかいない広大な空間」で「巨大なディスプレイを表示しながら」仕事ができる、というのはなかなか興味深い。マルチディスプレイ執筆環境を手軽に手に入れられると考えると、アリかもしれません。画面が狭いと作業が捗らないのですよね。

 たとえば、仮想空間で正面に執筆用、上と左右と斜め上で計6枚窓を出し、資料をたくさん広げて書く、みたいなのを想像してみます。タブをたくさん出すのではなく、視界の隅に見えていて首を向けるだけで参照できる状態にできると、執筆が捗りそうです。自宅はそれなりに環境が整っているので、外出先で使うのが良さそうですね。HMDのぶん、荷物が増えちゃうという問題はありますが。

グーグル検索結果CTR調査【2021年最新版】日本の検索1位クリック率は13.9%【SEO情報まとめ】 | 海外&国内SEO情報ウォッチ〈Web担当者Forum(2021年11月26日)〉

「グーグル検索で1位をとると、どれぐらいトラフィックがあるのか?」その答を出すための検索結果ページでの順位ごとCTRデータをチェックしておこう。もちろん、日本のデータを含む大規模な調査データだ。

 まとめ記事、注目はGoogleの検索結果一覧の順位でCTRがどれくらいになるか、という調査の最新版。以前の調査より全体的にCTRは下がっているようですが、それでも日本の1位は13.94%。10位だと1.32%なので、10倍ほど違うことになります。興味深いのは、通常の設定なら2ページ目の上位となる12位が1.00%で最も低く、13位からは反転してCTRが高くなるという点。19位では2.91%と、なんと1ページ目の6位より高いCTRに。

 他の国も若干そういう傾向はあるようですが、なんなんでしょうね? これは。1ページ目の下位や2ページ目の上位は流し見しちゃうってことでしょうか。「モバイル検索ユーザーはPC検索ユーザーよりも上位の結果をクリックしない傾向にある」あたりにヒントがありそう。検索結果で10位の下に出る「もっと見る」を1回はタップし、下まですぐスクロールしてしまう、とか。

お知らせ

第15回 電子出版アワード2021 投票を開始!〈JEPA|日本電子出版協会(2021年11月24日)〉

一般社団法人 日本電子出版協会(会長:松田 真美、 所在地:東京都渋谷区代々木、https://www.jepa.or.jp、略称:JEPA) は、日本の電子出版の普及促進を目的とした「電子出版アワード」の一般投票 を、本日(11月24日)スタートしました。投票は12月6日(月)23:00に締め切り...

 今年も選考委員として、関わらせていただきました。誰でも投票できますよ。12月6日(月)23:00まで。

メルマガについて

 本稿は、HON.jpメールマガジンに掲載されている内容を同時に配信しています。最新情報をプッシュ型で入手したい場合は、ぜひメルマガを購読してください。無料です。なお、本稿タイトルのナンバーは鷹野凌個人ブログ時代からの通算、メルマガのナンバーはHON.jpでの発行数です。

雑記

 昨日(11月27日)から急に寒くなりました。みなさまも風邪など引かぬようお気を付けください。太陽が出てればまだ暖かいので、散歩は日中が良さそうです(鷹野)

CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0
※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

広告

著者について

About 鷹野凌 681 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学デジタル編集論非常勤講師 / 二松學舍大学エディティング・リテラシー演習非常勤講師 / 日本出版学会理事 / デジタルアーカイブ学会会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。
タグ: / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / /

0 コメント
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る