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2019年4月29日~5月12日は「出版月報は取次ルートの統計」「アメリカで日本のマンガを売ることの難しさ」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
国内
出版月報の数字は「出版」の統計ではなく、「取次ルート」の統計である〈HON.jp News Blog(2019年4月30日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/22618
今年度から、毎月末に「publishing is wonderful」というコラムを連載していくことにしました。1回目は、出版月報で発表されている数字の定義について、改めて。出版社がアマゾン含む書店との直接取引へ移行すると、取次ルートの数字はそのぶん減ることになります。出版月報の数字が間違っているというわけではないのですが、これを出版産業全体の数字と捉えてしまうと実態を見誤ってしまう、という警句です。ちなみに私は勤め人時代の後半で、この出版統計には出てこない領域(BtoB)で働いていました。
LINEマンガ、サービス開始6周年 ~ アプリダウンロード数は累計2300万を突破、38万作品以上を配信、無料連載を主軸に集客〈HON.jp News Blog(2019年5月1日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/22801
9割近くのユーザーが無料連載を利用しているとのこと。ちなみに、新生ebookjapanがアプリに無料配信を組み込んだのは、LINEマンガの成功事例を踏襲しているのだと推察しています。
文学作品展示即売会「第二十八回文学フリマ東京」フォトレポート〈HON.jp News Blog(2019年5月6日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24544
連休最終日、結構な賑わいでした。
集英社と講談社の共同プロジェクト「少年ジャンマガ学園」でボイジャーBinBブラウザビューアが採用〈HON.jp News Blog(2019年5月7日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24566
BinB、いろんなところで採用されています。以前、国際電子出版EXPOのボイジャーブースで、集英社の方が登壇、デジタルマンガ祭「春マン!!」「秋マン!!」での利用実績について報告していたのを思い出しました。
電子書店「めちゃコミック」がウェブトゥーン作品を配信開始〈HON.jp News Blog(2019年5月8日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24570
リリースのタイトルだけ読んだ段階では comico の配信先拡大かと思ったのですが、レジンコミックスでした。ウェブトゥーンのまま収益化が図れるとなると、大きいですよね。
紀伊國屋書店ウェブストアとKinoppyが図書カードNEXT決済に対応〈HON.jp News Blog(2019年5月9日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24597
もちろん電子書籍も購入可能です。各書店独自のギフト券より、こういうどこでも使える共通のもののほうが、いろんな意味で使い勝手がいいように思います。hontoも7月中旬に対応予定とのことですから、他店も続くかな?
LINE、クリエイター育成プログラム「LINE Creators Support Program」を創設〈HON.jp News Blog(2019年5月9日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24601
個人的には、育成プログラムそのものより「サービス開始からの販売総額は約690億円」などの実績が衝撃的でした。すげぇ。
読みたい人の手に届くなら、ページ数なんてどうでもいい〈HON.jp News Blog(2019年5月10日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24607
HON.jpの会員に「文学フリマでこんな本に出会いました」というテーマでコラムを募集したところ、納富廉邦さんが手を上げてくれました。大西寿男さんと大場綾さんによる『かえるの校正入門 ~見落としをふせぐ10のルール~』への、心が震えるすてきなエールです。
海外
エルゼビアがオープンアクセスでノルウェー学会と合意へ〈HON.jp News Blog(2019年4月30日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/22724
エルゼビアが折れた! と驚きました。他の国にも波及するでしょうか?
ワシントンDCの書店に白人至上主義者が乱入、イベントを妨害〈HON.jp News Blog(2019年4月30日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/22731
不穏な事件。朗読が行われていた『DYING OF WHITENESS』は、右翼の人種差別的政策がいかに致命的な結果をもたらすのか、という本のようです。
米大手取次ベイカー&テイラーが書店への取次から撤退〈HON.jp News Blog(019年5月2日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/23246
アメリカ2位の取次が、リテール向けから撤退。出版社と書店の直接取引が増え、取次依存度が下がっている中での決断だったようです。日本でも、日販・トーハンが急接近していますが、どうなるか?
カナダの書店チェーンIndigoはアメリカで成功できるか?〈HON.jp News Blog(2019年5月3日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/23424
キュレーションを全面に押し出した、クロス・マーチャンダイジングが売りの書店。日本の蔦屋書店や、そのロールモデルである台湾の誠品書店などと似たような感じなのでしょうか。
クールジャパンは“シャレ”だった? ―― アメリカで日本のマンガを売ることの難しさ〈HON.jp News Blog(2019年5月7日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/23710
大原ケイさんによるJEPAセミナーのレポートです。3月14日に刊行された松井剛さんの『アメリカに日本のマンガを輸出する』(有斐閣)の解説に大原ケイさんの視点がプラスされ、非常に読み応えのあるレポートになっています。必読。
大手教育出版サービス社が合併、新生マグローヒルとピアソンの複占市場化へ〈HON.jp News Blog(2019年5月7日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24561
「マジか」という反応も。日本で例えると、学研とヒューマンが合併してベネッセを追随、みたいな衝撃でしょうか。
B&N前社長が買収話を反故にしたとする裁判は続行〈HON.jp News Blog(2019年5月8日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24585
まだ終わっていませんが、いまのところ痛み分け、といったところでしょうか。
クリエイティブ・コモンズが独自のサーチエンジン搭載開始〈HON.jp News Blog(2019年5月8日)〉
https://hon.jp/news/1.0/0/24582
Twitter公式で「3億枚のアーカイブから無断で二次利用可能な画像を検索できます」と投稿したら、バズってしまいました。「無断で」という言葉のインパクトは非常に強く、ネガティブなイメージを持つ人も少なからずいる、ということがわかりました。クリエイティブ・コモンズは「権利者に断り無しで利用できる」ライセンスなわけですが、「表示、継承、非営利、改変禁止の組み合わせによる権利者の事前意思表示を守れば」という条件付きですから、「自由に」より言葉の示す範囲は狭いです。たとえば「引用」も無断で可能ですが、改変禁止・明瞭区別・主従関係・出所明示などの条件を守る必要があり「自由に」利用できるわけではありません。まあ、まったく同じ意味ですが「断り無しで」と書いたほうが、ネガティブイメージは軽減できたかもしれません。ちょっと反省。
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