大手教育出版サービス社が合併、新生マグローヒルとピアソンの複占市場化へ

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 デジタルコンテンツに焦点を当てた教育出版社という点で競合社同士であるマグローヒル社とセンゲージ社が合併すると発表した。

 合弁会社名はマグローヒルとし、現センゲージCEOのマイケル・ハンセン氏が率いることになるが、両社は教育資材などで重複する部分が多いため、今後どちらを残すことになるのか注目される。司法省の認可が降り次第、2020年から新会社として出発する。合弁によってマグローヒルのオンライン教育ツールである「ALEKS」の販売に弾みがつくと予想される。

 アメリカの教科書産業はこの10年で大きく様変わりしており、従来のように、個々の生徒相手に紙の教科書を売るよりも、レンタルプログラムを充実させ、教科ごとに「インクルーシブ・アクセス」契約を交わし、デジタル教科書代を支払ってもらう方向にシフトしている。

 デジタル化される前は教科書の高騰が進み、学生が教科書を買うのを断念したり、古書を求めるようになっていたが、それに対処するためにさらに教科書の値段がつり上がるなど、学術書出版社に悪影響が出ていた。

 この合併により、教育出版の最大手であるピアソンに近い規模となり2社の複占市場が生まれそうだ。

参考リンク

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事
https://www.wsj.com/articles/mcgraw-hill-cengage-plan-all-stock-merger-11556683590
Inside Higher Edの記事
https://www.insidehighered.com/digital-learning/article/2019/05/02/cengage-and-mcgraw-hill-merge
マグロー・ヒルとセンゲージのニュースリリース

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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