カナダの書店チェーンIndigoはアメリカで成功できるか?

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 アメリカの書店チェーンといえば、ボーダーズは2011年に倒産し、バーンズ&ノーブルも長らく経営危機がささやかれる中、昨年10月にカナダの書店チェーン「インディゴ」がアメリカ1号店をオープンしてから後の様子をニューヨーク・タイムズが報じている。

 インディゴは1997年創立、同じカナダの書店チェーンである「チャプターズ」を吸収合併し、カナダ国内に200店舗を展開しているが、2016年から「文化のデパート」と銘打ち、キュレーションを前面に押し出した書店をオープンし始めた。

 本といっしょにグルメ、ウェルネス、インテリア関連の商品を並べ、「本を買うという体験を膨らませ、これから読もうとしている本に合わせた商品を置くクロス・マーチャンダイジングというリテールの基本ですね」と言うのは書店業界をフォローしているコーデックス・グループのピーター・ヒルディック-スミス氏だ。

 店内の雰囲気は「女性的」「心地よい」「親しみが持てる」という言葉が浮かぶ(アメリカでは本を買う客の6割が女性)。「ときめく食卓」というコーナーではインディゴPBの食器と料理本がディスプレイされている。「A Room of Her Own」(バージニア・ウルフの小説の一節)というコーナーでは、アート、デザイン、ファッション関連の本とともにヴィーガン皮のバッグや、柔らかいショール、ベルベット地の椅子や日記帳が置かれたプライベートの部屋のようだ。それでも店の売り上げの半分以上は本によるものとなっている。

 ニュージャージー郊外の富裕層向けのショッピングセンターの一角にオープンしたアメリカ第1号店には5万5000タイトルをストックし、売れた本の傾向から並べる商品を選んでいく。これは元々アマゾンが「エブリシング・ストア」として開発したやり方だが、そこにインディゴ独自のキュレーションがあるのが違いだとヘザー・ライズマンCEOはいう。

 店内にはそのCEOのテイストで選んだ平台があり「創設者、CEO、社内きっての本好きであるヘザーが選んだ本」だと紹介されている。カナダの店でもライズマンは積極的に著者のサイン会に顔を出したり、作家相手にインタビューをしてきた。

 今後アメリカの北東部で何店かオープンしていく予定だが、カナダではトップでも、アマゾンも書店を増やしており、インディペンデント書店が力を回復しているアメリカで成功できるのかと出版業界がその行く末に注目している。

参考リンク

ニューヨーク・タイムズの記事
https://www.nytimes.com/2019/05/01/books/booksupdate/indigo-books-canadian-chain.html
オープン時のDigidayの記事
https://digiday.com/marketing/canadian-bookstore-chain-indigo-plans-compete-amazon-us/
オープン時のChain Store Ageの記事
https://www.chainstoreage.com/store-spaces/first-look-canadas-indigo-books-and-music-makes-u-s-debut/

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About 大原ケイ 180 Articles
NPO法人HON.jp 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。

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