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2020年4月13日~19日は「アマゾン、出版物など入荷制限」「東野圭吾7作品電子化」「図書館閉鎖で校正に支障」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。
【目次】
ポッドキャスト
国内
機関向け電子書籍提供サービス「Maruzen eBook Library」で人文社会学系出版6社の指定タイトルが同時アクセス数を臨時拡大 ~ 新型コロナウイルス感染拡大を受け〈HON.jp News Blog(2020年4月13日)〉
慶應義塾大学出版会、勁草書房、東京大学出版会、みすず書房、有斐閣、吉川弘文館のタイトル約4300点が対象です。大学関係者を中心に喜ぶ声が多く見られたいっぽう、著者へは事後報告だったことについては、若干物議を醸す声がありました。そこは個々の契約次第なので、外部からはなんとも言えない部分なのかな、とも思うのですが。
【更新】図書館閉鎖が校正・校閲の大きな障害に ~ 新型コロナ感染症対策の思わぬ影響〈HON.jp News Blog(2020年4月14日)〉
図書館が休館になると、情報の品質を担保する校正・校閲に大きな支障があるぞという話。Twitterの投稿がやたらと拡散&いいね! されているので、コラムにしました。実際のところ、絶版書籍のデジタル化は国立国会図書館でも進められていて(↓)、公共図書館や大学図書館などの「館内限定」なら閲覧可能、という状態にまでは来ているのですが。
ホビージャパンの小説投稿サイト「ノベルアップ+」が集英社「ウルトラジャンプ」編集部と共同企画でマンガ原作プロットコンテストを開催〈HON.jp News Blog(2020年4月14日)〉
ノベルアップ+のコンテストとしては初の対外企画。募集テーマは「異世界 × エロ」です。キービジュアルが青年マンガ的エロで、個人的には嫌いじゃないけど、HON.jpとのマッチングを考え、ノーマルなアイキャッチにしました。
「好きだから」こそ思いとどまって。“愛ある”著作権侵害に悩む、絵本出版社の嘆き〈BuzzFeed News(2020年4月15日)〉
対面での読み聞かせは非営利無償なら問題ない(著作権法第38条)のですが、ネットにアップすると公衆送信権侵害になってしまうという罠。しかし、1000万回以上再生されてる動画もあるということは、読み聞かせ動画には確実にニーズがあるわけですから、オフィシャルで展開するのが吉ではないでしょうか。ところで、グッズの海賊版に、愛はあるのでしょうか?
メディアドゥHD、20年2月期の営業利益は26%増の18.5億円…電子書籍流通事業が伸長〈Social Game Info(2020年4月15日)〉
通期決算出ました。大幅増収増益、黒字転換。すごいなあ。
海賊版に宣戦布告!日本の漫画を”正しく”届ける海外向けサブスク「Mangamo」サービス開始〈ほんのひきだし(2020年4月16日)〉
講談社、コアミックス、コミックスマート、フレックスコミックスなど、11の出版社とパートナーシップを結んでいるそうです。Mangamo代表のバディ・マリーニ氏は、エイベックス・アジア(音楽) → Hulu代表(映像) → Supercell日本代表(ゲーム)→ Mangamo(マンガ)という経歴の持ち主。転々としてますが、どれもコンテンツ産業という意味では、一貫しています。
アマゾンが入荷制限開始、生活用品など優先入荷〈TBS NEWS(2020年4月17日)〉
(※元記事が消えているためリンクはInternet Archiveです)
出版関係者から「やっと報道が出た!」という声。7都府県への緊急事態宣言が出た直後くらいからすでに、発注制限がかかり始めていたようです。緊急事態宣言が全国に広がったことで、さらに大きな動きになって、報道されるに至ったという感じでしょうか。なお、欧米のアマゾンでは3月17日の時点ですでに入荷制限を始めた、という報道がありました(↓)。
「マンガ図書館Z」赤松健氏が電流協アワード2020大賞を受賞〈HON.jp News Blog(2020年4月17日)〉
おめでとうございます。特別賞には、ニューブック、ブックウォーカー、フライヤー、文藝春秋の4社が。特別功労賞にはボイジャーの萩野正昭氏が選ばれています。
【更新】増進堂・受験研究社、参考書「自由自在」シリーズなどを期間限定で無料公開 〜 新型コロナウイルス感染拡大を受け〈HON.jp News Blog(2020年3月12日配信/3月31日更新/4月17日再更新)〉
無料公開予定が当初は3月31日までだったのが、4月17日まで、5月10日までと、小刻みに延長されています。
東野圭吾さんが7作を電子化 外出自粛「たまには読書でも」〈共同通信(2020年4月17日)〉
ニュースを目にして思わず「やっとか!」と声が出ました。他の未電子化作家もこれに続くと良いのですが。ちなみにHON.jpの記事アーカイブ(事業継承前)によると、2015年のAmazon中国Kindleベストセラー1位は東野圭吾氏のミステリー小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』中国語版だったそうです(↓)。海外では結構前から、電子版配信していたのですよね。
岡山大法学部で電子教科書導入 ガイダンス科目 オンラインで活用〈山陽新聞デジタル(2020年4月17日)〉
電子化作業と販売は生協が担当しているそうで、システムは「VarsityWave eBooks」と思われます。閲覧数や閲覧時間のデータも収集できるそうです。つまり学生の学習状況丸見え。こわっ。
ブロックチェーンで著作権管理 市場拡大の起爆剤に〈日本経済新聞(2020年4月19日)〉
TART、電通×角川アスキー総合研究所、博報堂×ケンタウロスワークスなど、ブロックチェーンを活用した事例がまとまっています。
海外
新型コロナウイルス予防対策不備でフランスのアマゾンが営業停止〈HON.jp News Blog(2020年4月17日)〉
出荷制限命令が出ましたが、アマゾンは上訴するそうです。フランスは、アマゾンなどアメリカの巨大IT企業を文化の破壊者であると敵視しているところがあるから、これがフェアな判決なのかどうかという疑問も少し。
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