「バイデン政権誕生で巨大IT企業はどうなる?」「音声のみSNS“Clubhouse”がブレイク」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #458(2021年1月24日~30日)

週刊出版ニュースまとめ&コラム

《この記事は約 15 分で読めます》

 2021年1月24日~30日は「バイデン政権誕生で巨大IT企業はどうなる?」「音声のみSNS“Clubhouse”がブレイク」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

政治

バイデン政権誕生でSNSが取り締まられ、GAFAが独禁法によって解体される可能性はあるのか?〈HON.jp News Blog(2021年1月25日)〉★

 1月20日、ジョー・バイデン氏が第46代アメリカ大統領に就任しました。ドナルド・トランプ氏のアカウントを永久凍結したツイッターなどのSNSや、独占禁止法の調査が始まっていたアマゾンやグーグルなどの巨大IT企業に対し、新政権はどう動くのでしょうか? 大原ケイさんの解説です。アマゾン・キンドルが独禁法の調査対象に 1月13日付けのウォール・ストリート・ジャーナルで、コネチカット州の司法長官がアマゾンのEブックビ...

 大原ケイさんによる、バイデン政権誕生による影響について。巨大IT企業への規制強化は恐らく避けられないので、その前に自主規制したり、殊勝な態度を見せたりしている、と。なるほど。またロビー活動が活発になるのでしょうか。

「コスプレが非営利目的なら著作権法に抵触しない」というのは本当か?(栗原潔)〈Yahoo!ニュース個人(2021年1月30日)〉

 おなじみ、弁理士 栗原潔さんによる丁寧で冷静な解説。共同通信が「コスプレ著作権ルール化へ」という記事を配信(↓)、そこに「コスプレが非営利目的なら著作権法に抵触しないが」などという記述があり、さすがにちょっとおかしいよね? というツッコミが入った形です。

アニメやゲームのキャラクターに扮するコスプレに著作権使用料が要るの?―。政府は、海外にも人気が広がる...

 コスプレのルール化という記述に関しても、知財事務局に説明を求めた藤末参議院議員によると、「政府としてルールを決めようという意図はなく、あくまでもコスプレ文化を守るために、どのような問題点があるかを整理するというのが趣旨」とのこと(↓)。いったいぜんたい、どこでどう曲がってこういう報道に……?

社会

公益財団法人新聞通信調査会、「第13回メディアに関する世論調査」の調査結果を公表〈カレントアウェアネス・ポータル(2021年1月26日)〉

 新聞通信調査会による毎年恒例の「メディアに関する世論調査」結果。信頼度得点は新聞がトップで、雑誌がインターネットより低い、というのは例年通り。とはいえ、同じ新聞でも読売と東スポじゃ段違いでしょうし、雑誌も同様。テレビだけNHKを別枠にしているというのは、なんだか釈然としない感じです。

 あと、Yahoo!などのポータルサイトには、新旧さまざまなメディアからニュースが配信されていることをどれだけの人が認識しているのでしょう? 例えばYahoo!ニュースには配信元の媒体名がしっかり書いてありますけど、どうもまったく目に入っていない人も多いみたいなのですよね。

漫画など海賊版サイト、アクセス急増 巣ごもりも影響?〈朝日新聞デジタル(2021年1月26日)〉

 インターネット上に漫画などを無断掲載した海賊版サイトについて、閲覧数の上位10サイトに昨年12月だけで日本国内から約2億回のアクセスがあり、約414億円分以上が「ただ読み」されたとみられることが、出…

 一般社団法人ABJの公式サイトはわりと頻繁に巡回しているんですが、こういう発表は見てなかったので「あれ?」と思っていたら、同日に「朝日新聞から取材があり、広報部会で対応いたしました。」というお知らせが(↓)。ABJによる発表ではなく、取材だったんですね。なるほど。

 2019年秋ごろから、複数のサイトが急激にアクセスを伸ばし始めたとのこと。昨年10月施行のリーチサイト規制と、今年1月施行のダウンロード違法範囲拡大によって、動向がどう変化するか? というのも気になるところです。

『怪獣8号』が第1位!2020年の”新作漫画”だけで集計した「コミックス第1巻 年間売上ランキング」発表〈ほんのひきだし(2021年1月26日)〉

新しい作品と出合うきっかけづくりのため、その期間に第1巻が発売されたコミックを、その第1巻の売上冊数だけでランキングにした「コミック第1巻売上ランキング」。ほんのひきだしでは、1月26日(火)、2020年1月~12月発売の新作漫画を対象にした〈年間ランキング〉を発表しました! この記事ではランキング第50位までの顔ぶれと、「続編・スピンオフを集計対象に含めたランキング」も公開します。 ※調査内容:

 2020年に1巻が出た作品だけのランキング。『怪獣8号』は昨年12月4日に1巻が出たばかりなので、1カ月満たない期間で1位に躍り出たということに。凄い! ちなみに2位は上期1位の『100日後に死ぬワニ』です。35万部発行は伊達じゃない、はず。

オーストラリア図書館協会(ALIA)、公共図書館の分館が少額の年間使用料を支払うことで出版社がオンラインの読み聞かせでの絵本の利用を許可する取組を試行:出版社に対し対象となるタイトルを募集〈カレントアウェアネス・ポータル(2021年1月27日)〉

 面白い試み。無断で読み聞かせ動画をネットにアップするのは公衆送信権の侵害となる可能性が高いのですが、昨年春の第1回緊急事態宣言のころに急増。出版社から「無断公開やめて」という呼びかけが行われたりしていました。

【NHK】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で自宅で過ごす時間が長くなっている子どもたちのために、絵本の読み聞かせ動画の投稿が広が…

 JASRACなど著作権等管理事業者と動画投稿サイトのように、包括契約が結ばれていれば……というのは当時も思ったことですが、要するにオーストラリアではそういう「事前許諾」のスキームを構築するに至った、ということに。まだ試行段階のようですが、うまくいくといいですね。

電子出版制作・流通協議会(電流協)、「電子図書館(電子貸出サービス)実施図書館(2021年01月01日)」を公表〈カレントアウェアネス・ポータル(2021年1月28日)〉

 昨年10月1日時点から3カ月で143自治体(29増)139館(28増)に。このままのペースなら、年始に予想した「10月1日時点で200自治体」は超えそう? 最近は毎日のように「電子図書館サービス開始」というニュースを見かけるようになりましたが、分母は自治体中央館1386館ですからまだまだ。やっと普及し始めたばかりです。もっともっと広がれ!

「インターネット白書2021」発刊、「ポストコロナのDX戦略」副題に〈INTERNET Watch(2021年1月29日)〉

 株式会社インプレスR&Dは29日、「インターネット白書2021」(編者:インターネット白書編集委員会)を発刊した。小売希望価格(税別)は、電子書籍版が2800円、プリントオンデマンドによる印刷書籍版が3200円。

 毎年恒例のインターネット白書。2014年から、前年のものが「インターネット白書ARCHIVES」で無料公開されるようになっていますが、昨年もその前も発売から1週間後だったので(↓)今年も同様と思われます。最新版が欲しい方は、買いましょう。

 株式会社インプレスR&Dは2月7日、『インターネット白書2020 5Gの先にある世界』を発行した。また、インターネット白書編集委員会は2月14日、昨年発行した『インターネット白書2019 デジタルファースト社会への大転換』の誌面内容を、ウェブサイト「インターネット白書ARCHIVES」にて無料公開した。 『インターネット白書』は、インターネットの最新動向を各分野の専門家の寄稿と統計資料によって報告するIT/デジタル業...

知識への公平なアクセス権を擁護する非営利団体“Library Futures Institute”が立ち上げられる〈カレントアウェアネス・ポータル(2021年1月29日)〉

 ちょっと気になる動き。制限付きデジタル貸し出し(CDL:controlled digital lending)の擁護などを提唱する団体とのことです。Internet Archiveが提携パートナーの1つになっています。Internet Archiveがコロナ禍対応で「National Emergency Library」を開始し、大手出版社から提訴されたときに、以前から図書館で行われていたCDLまで訴訟対象になってしまったんですよね。フェアユースを巡る綱引き、という感じ。

経済

2020年紙+電子出版市場は1兆6168億円で2年連続プラス成長 ~ 出版科学研究所調べ〈HON.jp News Blog(2021年1月25日)〉

 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は1月25日、2020年の出版市場規模を発表した。紙+電子出版市場(推定販売金額)は、前年比4.8%増の1兆6168億円。紙が1.0%減と小幅なマイナスだったのに対し、電子が28.0%増と大きく伸長した結果、2年連続のプラス成長となった。 紙の出版物推定販売金額は1兆2237億円で、書籍が0.9%減の6661億円、雑誌が1.1%減の5576億円となった。書籍は3月の臨時休校を受け、学参・児童書が...

 紙が微減、電子が激増で、合計すると前年比4.8%増。電子は年始に、上期の実績から「電子コミック3500億円、電子書籍(文字もの)385億円、電子雑誌110億円」と予想したんですが、結果は「電子コミック3420億円、電子書籍(文字もの)401億円、電子雑誌110億円」でした。電子雑誌はピタリ賞。文字ものは、思ったより伸びている感じです。

Spotify now has audiobooks on their platform〈Good e-Reader(2021年1月25日)〉

Spotify is going beyond music and experimenting with hosting digital audiobooks. The new section is available now and is called Audiobooks: Hear the Classics. All of the content are apart of the public domain and include titles such as David Dobrik narrating Mary Shelley’s Frankenstein; Forest Whitaker reading Frederick Douglass’ memoir Narrative of the Life of Frederick Douglass, an American S...

 Spotifyが音楽やポッドキャストだけでなく、オーディオブックの配信も試行しているそうです。初めての試みではないけど、今回はかなり真剣に取り組んでいるようだ、とマイケル・コズロウスキーさんの見解。

Google、脱「クッキー」加速 4月から広告主と試験運用〈日本経済新聞(2021年1月26日)〉

【シリコンバレー=奥平和行】米グーグルがインターネットの閲覧履歴などを保存する「クッキー」の利用制限に向けた取り組みを加速する。広告主と協力し、代替技術の試験的な運用を4月に始める方針だ。消費者のプライバシーに対する意識が高まるなか、ネット広告の効率維持との両立を目指す。プライバシーなどを担当するグループプロダクトマネジャーのチェトナ・ビンドラ氏が25日、ブログを通じて代替技術の開発状況につい

 Googleも2022年までに「Chrome」でのサードパーティークッキーを制限する方針ですが、代替技術を使っても95%以上の広告効果が得られたとのこと。すごい。広告はGoogleの収益の大きな柱ですから、開発にも力が入ったことでしょう。

Facebook Newsが英国でサービスを開始、キュレーションニュースポータルを初めて国際市場へ展開〈TechCrunch Japan(2021年1月27日)〉

英国が、大手テック企業をどのように規制すべきかの準備を整える中、Facebookは、英国の一般市民にメディアを提示する際の役割や、同国のメディア業界との連携方法について、大きなステップアップを図ろうとしている。

 Facebookがパブリッシャーへライセンス料を支払うサービスの、アメリカ以外で初めての展開。次のローンチは、時期未定だけど、フランスとドイツに決まっているとのこと。日本は予定外のままなのですねぇ。まあ、日本でFacebookはそれほど普及していない、というのもありそうですが。

Google、マイクロソフトらが設立、「Open Web Docs」を発表。MDNなど支援、Web技術のドキュメント化を推進〈Publickey(2021年1月27日)〉

オープンソースやテクノロジーを中心としたコミュニティの維持や発展を支援する組織「Open Collective」は、Web技術のドキュメント化を長期的に支援する取り組みとして「Open Web Docs」を発表しました。 Open We...

 GoogleやMicrosoftがスポンサーで、特にMDN(Mozillaプロジェクトの技術文書を扱うサイト)を優先的に支援するそうです。つまり、Firefoxに塩を送るのと同義……独占禁止法対策なんでしょうか?

音声版ツイッター「Clubhouse」 完全招待制で話題に〈日本経済新聞(2021年1月27日)〉★

「音声版ツイッター」と呼ばれる米国発のアプリ「Clubhouse(クラブハウス)」が日本で急速に広がっている。テキストでのやりとりや保存は一切できず、会話を聞いたり議論に参加したりと音声の交流を楽しむ。完全招待制のため一見「謎のSNS」と化しているが、現在はIT(情報技術)企業の会社員やインフルエンサーたちの利用が多い。米ツイッターも音声ツイートの実証実験を始めた。クラブハウスは「音声SNS」市

 数日前からTwitterやFacebookで急に見かけるようになり、なんだかよくわからないうちに流行り始めたサービス。フォローする/されるという非対称性はTwitterっぽいのですが、「音声だけのやり取り」「主宰者がルームを立ち上げる」「アーカイブが残らない」という特徴があるようです。録音やメモすら禁止という規約になっている模様。非同期コミュニケーション手段を意図的に排除し、リアルタイム性が強く求められる設計になっているようです。

 ……と、なぜ伝聞調なのかというと、アプリがiOS版だけ、招待に電話番号が要るとのことだったので、Google Pixel 4aがメイン機のぼくはお祭り騒ぎを指をくわえて見ていたのです。ところが、iPadでも使える(Androidでもアクティベートコードは受け取れる)ことが判明。とりあえずユーザーネーム(@ryou_takano)だけ確保しておきました。でも忙しくて、やってるヒマがない……。だいたいこういうとき、ぼくは最初の祭りを逃すのです。とほほ。

ポッドキャスト再び脚光 7人に1人「月1回以上聴く」〈朝日新聞デジタル(2021年1月27日)〉★

 7人に1人がポッドキャストを月1回以上聴き、半数が20~30代、この1年で新たに聴き始めた人が47%――。音声広告の「オトナル」(東京都中央区)と朝日新聞社が共同で実施した調査で、そんなユーザー像が…

 面白いことに、「Clubhouse」が話題になるのとほぼ同時に「ポッドキャスト再び脚光」という記事が。2020年に「音声コンテンツ市場の拡大」と予想していたのですが、1年早かったか。

YouTube 、新たに「ショッパブル広告」を導入へ:動画サイトの競争が激化〈DIGIDAY[日本版](2021年1月28日)〉

YouTubeが新たにショッパブル広告を導入する。親会社であるGoogleが1月第4週、新しいショッピング機能をYouTubeに試験導入することを正式発表した。この新機能は、この春に一部のクリエイターおよびブランドアフィリエート向けにローンチされるという。

 まだアメリカのみでの試験導入ですが、ついにYouTubeでも買い物が可能に。カナダのeコマースプラットフォーム「Shopify」との連携です。「視聴中の動画に関連した商品リストに誘導され、そこで商品を直接購入できる」という形のようで、動画内でいままさに紹介されている商品へピンポイントで誘導、というわけではなさそう。とはいえ、中国ではライブコマース市場が急激に成長しているという話ですから、YouTubeにもこういう仕組みが導入されるのは時間の問題だったと言えるでしょう。本を売りたいなあ。

メディアドゥ、子会社MyAnimeListと共同で、ビッグデータを用いたターゲティング広告をリリース〈株式会社メディアドゥ(2021年1月28日)〉

最先端テクノロジーと業界における稀有なポジションを活かし、電子書籍を中心としたデジタルコンテンツを世に広め、出版市場全体の拡大に最大限貢献することを目指しています。それにより、コンテンツが世に生み出され続ける“創造サイクル”を実現し、人々をコンテンツの力で豊かにしていきたいと考えています。

 MyAnimeListのユーザーデータを活用した、グローバル向けターゲティング広告メニューが登場。その名も「MALっと海外ターゲティング」……二度見してしまいました。面白い。マンガやアニメの輸出に大きな力となりそうです。

米グーグル、自社アプリでアップル追跡ツール使用を停止〈ロイター(2021年1月28日)〉

 Appleから提供されている広告用識別子IDFAの利用を停止し、利用者の同意を求めるポップアップ通知表示義務化を回避することに。前掲の代替技術が充分なレベルに達したからでしょうか?

技術

Kindle端末にクレジットカードを悪用される脆弱性〈PC Watch(2021年1月26日)〉

 アマゾンの電子書籍端末「Kindle」に、アマゾンアカウントをハッキングされる脆弱性があることをセキュリティ研究者らが発見した。「KindleDrip」と呼ばれるこの脆弱性は、すでに2020年12月に公開されたファームウェアバージョン5.13.4で解決済みとなっており、それを踏まえ、情報が開示された。

 昨年12月に配信されたファームウェアですでに解決済みとのことですが、いちおう注意喚起の意味でピックアップしておきます。Kindle端末がインターネットへ繫がる状態だと、強制的かつ自動的にアップデートがかかるので、恐らくほとんどの人は問題ないと思いますが。

ブロードキャスティング

 毎週ライブ配信している映像番組、1月31日のゲストは小池みきさん(ライター・漫画家)でした。上記のタイトル後ろに★が付いている記事について掘り下げています。番組のアーカイブはこちら。

 次回のゲストは嵯峨景子さん(ライター・書評家)です。配信終了後はZoom交流会もあります。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。

メルマガについて

 本稿は、HON.jpメールマガジンに掲載されている内容を同時に配信しています。最新情報をプッシュ型で入手したい場合は、ぜひメルマガに登録してください。無料です。なお、タイトルのナンバーは、鷹野凌個人ブログ時代からの通算です。

CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0

※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

広告

著者について

About 鷹野凌 595 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
タグ: / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / /