「アクセシブルな読書環境という理想と現実」「本にウソが見つかった時、米出版社はどう対処するのか」など、出版業界気になるニュースまとめ(2019年5月27日~6月2日)

出版業界気になるニュースまとめ

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 2019年5月27日~6月2日は「アクセシブルな読書環境という理想と現実」「本にウソが見つかった時、米出版社はどう対処するのか」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

マンガ・ノベルサービス「comico」のアプリが世界累計3000万ダウンロード突破 ~ サービス開始から5年7ヶ月で達成〈HON.jp News Blog(2019年5月27日)〉

 NHN comico株式会社は5月20日、同社が運営するマンガ・ノベルサービス「comico」のアプリが世界累計で3000万ダウンロードを突破したと発表。サービス開始から5年7ヶ月での達成となる。 ダウンロード数の内訳は、サービス開始が各国で異なるが、日本が1700万、台湾が560万、韓国が360万、タイが380万、スペイン語圏が7万、インドネシアが90万となっている。なお、これらはiOS・Androidの総計である。ダウンロード数の推移は、...

 世界累計3000万ダウンロード! うち日本は1700万ダウンロードです。凄まじい

「Renta!」のパピレスと「めちゃコミック」のアムタスが海外取次事業で共同出資会社を設立〈HON.jp News Blog(2019年5月29日)〉

 株式会社パピレスと株式会社アムタスは5月29日、海外への取次事業で共同出資会社を設立することを発表した。新会社名はアルド・エージェンシー・グローバル株式会社(英語名:Aldo Agency global.co.,ltd、略称:AAG)で、7月に設立予定。出資比率はパピレスが66.6%、アムタスが33.4%。パピレス代表取締役社長 松井康子氏が、新会社AAGの代表取締役となる。 アムタスは、企業向けITサービスとコンシューマー向けネットビジ...

 記者発表会の現地から速報配信。1番早かったみたいです。便利な正規版は、海賊版を駆逐します。頑張って欲しいですね。

誌面PDFをAIで自動変換、マイクロコンテンツ・リフロー化 ~ Kono Japanが「Smarticle」のパイロットプログラムを6月から展開開始〈HON.jp News Blog(2019年5月30日)〉

 アメリカ・台湾向けを中心に電子雑誌読み放題サービス「Kono電子雑誌」を展開しているKono Digital inc.は5月30日、日本にKono Japan株式会社を設立し、AI搭載PDF変換サービス「Smarticle」のパイロットプログラムを6月から展開開始することを発表した。 Kono Digital inc.は2011年にアメリカ・シリコンバレーで設立された、マシンラーニングやAI技術の開発などを手がけているテックカンパニー。「Kono電子雑誌」アプリはア...

 リリースを一読し、雑誌記事データをAIでマイクロコンテンツへ自動変換という仕組みにすごーく既視感があったのでメール取材。Kono Digital inc.は「マガポート記事サービス」(↓)に技術供与を行っている企業でした。なるほど、そういうことか。

今回のサービスで実現する「雑誌のマイクロコンテンツ化」とは、「雑誌1冊分のPDFデータ」を入稿するだけで、AIが「1記事ごとのHTMLデータ」に自動変換してくれるというものです。

オーディオブックが高速バスの旅のお供に ~ オトバンクとWILLER EXPRESSのコラボ正式スタート〈HON.jp News Blog(2019年5月31日)〉

 株式会社オトバンクは5月20日、WILLER EXPRESS株式会社が統括管理・運行する高速バス「WILLER EXPRESS」で楽しめるVOD(ビデオオンデマンド)サービス「WILLER THEATER」が5月15日から正式サービス開始したのに伴い、同社のオーディオブック作品を提供していることを発表した。 WILLER THEATERは、個人のスマートフォンに専用アプリ(Android・iOS対応)をインストールし、バス内のフリーWi-Fiに接続すれば、通信料なしで楽...

 長距離移動の電車・バス・飛行機などは、オーディオブックと相性が良さそうです。良いコラボ。

誰もが読書できるアクセシブルな環境という理想と、データ流出への根強い懸念という現実〈HON.jp News Blog(2019年5月31日)〉

 5月11日に都内で行われた日本出版学会 2019年 春季研究発表会で、私は「学術書のアクセシビリティ ―― 手話翻訳動画、テキストデータ提供の実践から」を聴講した。先駆的で興味深い取り組みだと思うのと同時に、データ流出への懸念などがさまざまな形で障壁となっている現状に、少し頭が痛くなった。今回のコラムでは、このことについて考えてみたい。前提として、研究発表は素晴らしかった 研究発表は上の写真のように、手話...

 月末コラム。日本出版学会の春季研究発表会に参加して感じたことを綴ってみました。恐らく、誰に尋ねても「アクセシビリティは大事」と答えるでしょうけど、それがビジネスになるかどうかは別問題、という。補助金・助成金をうまく活用すれば……とも思うのですが、申請が面倒なのと、申請が通るかどうかわからないのと、キャッシュが入るまでに時間がかかるなどの難題をクリアする必要もあり。悩ましい。

海外

ラジオ番組で新刊の間違いを指摘されたフェミニスト作家の対応〈HON.jp News Blog(2019年5月29日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/24932
 誤読を認め、指摘者に感謝するツイートをしたそうです。いっぽう日本では……?

歴史を扱う本にウソが見つかった時、アメリカの出版社ではどう対処しているのか?〈HON.jp News Blog(2019年5月30日)〉

 通史や歴史上の人物に関する重厚なノンフィクションといえば、ウォルター・アイザックソンの最新作『レオナルド・ダ・ヴィンチ』やユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』など、日本でもよく読まれています。 間違いや事実誤認の全くないノンフィクションの本を出し続けるのは、どんな出版社でも不可能でしょう。では、アメリカではノンフィクションの本を出す際に、どのような手順が取られ、どの程度校正をやり、それ...

 上記の記事をうけ、アメリカでの著者や版元の責任範囲について、大原ケイさんに解説コラムを書いていただきました。

 日本でもいちおう、書協の契約書ひな型(↓)には「第15条(内容についての保証)」というのがありますが、厳密には「いかなる権利をも侵害しない」であって、内容に虚偽や誤りがあった場合の定めではない感じです。「など」に含まれると、解釈できなくはないけど。

出版事業に関わる活動を行う一般社団法人日本書籍出版協会(JBPA)は、再販制度、著作権、出版契約などへの取組みを行っております。

 そういえばつい先日、東洋英和女学院の元院長・深井智朗氏の著書『ヴァイマールの聖なる政治的精神』(2012年)に捏造と盗用があるとして、岩波書店が絶版・回収するというお知らせを出していました(↓)。さすがにこういう事例だと「甲(著者)は、その責任と費用負担においてこれを処理する」のかな……?

小社 が2012年5月に刊行いたしました深井智朗氏の著書『ヴァイマールの聖なる政治的精神──ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』(以下、本書)を、絶版とし、可能な限り回収することを、本日、社として決定いたしましたので、謹告いたします。 2019年5月10日に公表されました東洋英和女学院大学調査委員会の報告書(以下、報告書)によりますと、本書には、研究上の不正行為にもとづく記述が含まれていること、具体...

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CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 596 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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